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『必ず、あなたを守るから』
——その言葉を、私は守った。
チャールズの遺体はマダムに相談して庭師と一緒に隠してもらった——自分がチャールズを殺した、という前提で。エリスには、その夜のことを思い出させないよう、記憶が混濁するベルナイトのお香を毎晩嗅がせた。あの子が朝に目を覚ますたびに靄がかかったような顔をするたびに、胸が痛んだ。でも止められなかった。
全部、この子を守るためだった。
そのはずだった。
まさかマダムが——脅しに転じてくるとは、思っていなかった。娼館に都合の悪い人たちを消すために、私が利用される日が来るなんて。
断れなかった。断ったら、エリスのことが明るみに出る。
だから、初めて人を殺した。
——楽しかった。
そう思ってしまった瞬間、自分の中で何かが崩れる音がした。崩れたのか、それとも最初からそこに亀裂があったのか——もうわからなかった。チャールズが死んだあの夜、あの赤を見て喉が鳴った瞬間から、きっと私はもう、壊れていたのかもしれない。
殺すたびに、罪悪感が薄くなっていった。
いつもよくしてもらっていた庭師のリックさんを口封じのために殺した時もなんとも思わなかった。
それが怖かった。だから肌を傷つけた。痛みで正気を繋いだ。それでも毎晩、夢の中で赤い色を見た。
だから——誰かに止めてほしかった。
ヘンリーさんに娼館を怪しむよう仕向けた。オズくんの捜査に小さな糸口を残した。マティアが勘付いていると気づいた時、怖かった。けれどそれ以上に、どこかで安堵していた。
それでも最後まで、エリスのことだけは隠した。
ごめんなさい。
心の中で、誰かわからない何かに向けて謝り続けた。
エリスだけは。どうかあの子だけは——あの夜のことを、思い出させないで。
あの子は私の光だった。チャールズに壊されたあの夜から、生きていてよかったと思わせてくれた、唯一の理由だった。
母親失格だとわかっている。それでも祈ることだけは、やめられなかった。
——どうか神様。
あの子の未来だけは、どうか。




