4-1
「えへへ……うへへへへ……」
生徒会室を後にし、廊下の窓から差し込む夕陽を全身に浴びながら、上機嫌でスキップする。
いつもならこんなことはしない。むしろ、人の目を避けて日陰ばかり通っている。
けれど今は違う。
もうみんな帰った後だし、なにより胸の高鳴りが止まらない。体が勝手に踊り出したくなるほど、心が浮き立っていた。
世界が輝いて見えて仕方がない。
喜びを分かち合うように、大事な人形と一緒にくるりとターンする。地面を蹴って、満面の笑みで宙を舞った。
今日は人生の中で一番いい日かもしれない。
私はステップを踏みながら、頭の中で一時間前の出来事を反芻した。
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「無理です」
「断れる立場かー?」
一時間前——。
夕日が始まる手前の、まだ明るい日差しが生徒会室を照らしていた。
まるで死刑宣告されたような気分で顔面蒼白になりながら、食い気味に即答する。頭を大きく横に何度も振った。
気づいたら、また嗚咽を漏らしながらだらしなく涙を流していた。
「ぐすっ……うぅっ……男の人が好きだったんですねっ」
「違うし、気になるところそこ?」
ポロポロとこぼれ落ちる涙。
今まで数ヶ月間、彼を遠くから見守って隅々まで調べてきたのに、まさかの同性愛者だったなんて……! フラれるのも無理もない。パーカーの袖で涙を拭うも、全然止まらない。
「うぅっ……えぐっ……勘弁してくだひゃい……何が悲しくて、好きな人の好きな人を口説かないといけないんでしゅか……ひぐっ……それならまだ死んだ方がマシでしゅ」
「うん、わかった。わかったから、短剣を自分の首に当てるのやめなさい。ていうか、どこから取り出した」
泣きながら隠し持っていた短剣を取り出して自分の首に当てると、慌てて止められた。さっきまで脅してたのに、こういう優しさを見せる会長に胸キュンが止まらない。
「はぁ……俺の言い方が悪かった。えーっと……生徒会書記だったスコット・レイウッドを覚えているか?」
「? ぐすっ……はい」
『スコット・レイウッド』という名前を聞いて、途端に冷静になった。涙を拭いながらコクッと頷く。
「……えっと、確か不正を行ったので退学させられた元生徒会の方ですよね……えっと……詳しい話は聞いていないんですけど……」
記憶を巡らせながらそう答えると、琥珀色の瞳が何かを見据えるように細められた。けれど、すぐににっこり笑うと、彼は満足げに頷いた。
「そう、だから生徒会の役員が一人足りないんだよ。だから、ある少年を俺の代わりに勧誘してほしいんだ……」
そう言って会長は制服の襟のポケットから写真を取り出すと、私に渡してきた。
「オズワルド・ウィズダム。情報保管都市『カプシリアン』のロード代理だ」
「ロード……代理?」




