第五話 買い物
異世界に来て二日目の夜は、宿屋で過ごすことになった。一泊10ゴールド。高いのか安いのかはわからない。
翌日、朝食を食べて宿屋からチェックアウトすると俺は、真っ先にに防具屋に向かった。昨日は、何も考えず城門の外に飛び出して行ってしまったが、よく考えれば、危険すぎる。支度金も多めにもらったことだし、鎧でも買おう。
街の中心街を歩いてみると、防具屋は案外簡単に見つけられた。とりあえず、中に入る。
「いらっしゃい!」
いかにお、防具屋のおやじといった感じの店主が声をかけてくる。
「予算、1000ゴールドでいい鎧ないか?」
なぜ、予算を1000ゴールドにしたかというと、宿泊代などのことを考えたからだ。
「うーん、1000ゴールドねえ。じゃあ、この鉄の鎧が980ゴールドだな」
……。どこの国でも、考えることは同じなんだな。やっぱ1000ゴールドっていうより、980ゴールドっていったほうが割安感が出るからだろうか?
「じゃあ、それを頼む」
俺は、おやじに980ゴールドを道具袋から取り出し、渡す。
「ありがとよ!ここで着てくかい?」
「ああ、はい」
更衣室へ向かった俺は、鉄の鎧を早速、装着してみた。召喚されてから来ていた服は、道具袋の中に突っ込む。うん、やっぱこういうことにすると、勇者っぽいよな。
「おお、かっこいぜ、あんちゃん」
おやじに褒められる。
そういえば……この武器屋のおやじ、俺が勇者だってこと気づいてないよな。まあ、王様は、俺は別動隊って言ってたから、顔とか知らなくて当たり前か。
「そういや、あんちゃん。珍らしい服着てたけど……どっか、ほかのところから来たのかい?」
「ああ、実は……」
一応、おやじに事情を説明すると……
「なるほど、ってことは……あんちゃんが例の別動隊の勇者か!」
よかった、よかった。やっぱり王様は俺がが弱いってことは、言わなかったみたいだ。むしろ、そうじゃないと困ったことになるんだが。
「他の勇者さんも来てたぜ!」
他の勇者か……。あの三人、どうしてるんだろうな。
「ところで、あんちゃん。冒険者ギルドには行ったのかい?」
「い、いえ」
「じゃあ、行ったほうがいいぜ。いくら勇者といえども冒険者の一員だからな。それに、冒険者としての人脈もあったほうが有利だろ?」
冒険者ギルド? おいおい、王様……そんな重要なことを話し忘れるなんて、うっかりした爺さんだよ。
俺はおやじに礼を言うと防具屋を出て、冒険者ギルドを探し始めた。




