第三話 出発
翌日、俺は兵士によって扉を叩かれて起こされ、運ばれた朝食を食べた。食事は、パン、サラダ、スープという簡単なものだったが、異世界だからと言って特に見た目や味が変というわけでもなかった。
朝食を食べ終わり、しばらくぼんやりとしていると扉が叩かれた。
「リョウイチ様。王様がお呼びです、重大なことだとのことです」
俺は、不安を胸に玉座の間に向かう。だけど、昨日、王様は、出来る限りのことはすると言っていた。せめて、仲間の一人二人は集めてくれたはずだ。扉の前につくと兵士は扉を開けると俺に一礼して去っていた。
中には、王様がで玉座に座っていた。奥には、兵士の姿も数人見える。すると突然、王が話し出す。
「リョウイチ殿、申し訳なかった……リョウイチ殿が学術の勇者だということが噂でひろまってしまったらしく……誰も仲間になろうというものが現れなかった。本当に申し訳ない!」
王が、また頭を下げる。
「せめてもの償いとして銀の剣と盾を進呈いたす。支度金も他の勇者の倍、2000ゴールド出そう。仲間は道中で探してもらいたい」
「ええ!?そんな……」
結局、これかよ。しかし、仲間が一人も集まらなかったって……どんだけ、頼りにされていないんだ。俺だって、俺だって、勇者なんだぞ!
「謝っても謝りきれぬ……。実は今日、勇者全員とその仲間の者で出陣式を行う予定だったのだが……リョウイチ殿に恥をかかせるわけにはいかぬ。他の三人とは違う切り札の別動隊ということにしておくゆえ……早めに出発してくれぬか?」
「は、はあ」
「それと、緊急時には、街の中央の鐘が鳴り響くゆえ、リョウイチ殿もどうか駆けつけてくだされ。心配なさらずとも、学術の勇者がその……他の勇者と基礎能力が違うことは、儂らしか知らぬこと。勇者だということを知らせれば、仲間はすぐ集まる!」
本当かなあ? まあ、それでも仕方がないか、じゃあ出発するとしよう。
「わかりました。それじゃあ、荷物をまとめて、出発します」
「おお!では、この銀の剣と盾、それとこの道具袋を……この袋には、魔法がかけてあって、なんでもいくらでも入れることができる。支度金もそこにはいっておるゆえ……」
王様は、足元に置いてあった銀の剣と盾、そして道具袋を俺に渡してきた。剣は、立派な鞘付き、盾は、片手で持てるサイズの小さな盾だ。
「それではリョウイチ殿、出発の準備をお願いいたす。頑張ってくだされ!」
王様がこういうと、奥に控えていた兵士たちが、俺をもといた部屋へ案内し始めた。
部屋に戻ると俺は、出発の準備を始めた。といっても、持ち物なんて、ここに召喚されたときに持っていた謎の古びた本と茶色のローブしかないのだが……
本を魔法の道具袋に入れ、ローブを羽織り、剣と盾を携えると俺は、外に控えていた兵士たちに外に案内してくれるように頼んだ。
先導されて、しばらく城内を歩き続けると、大きな扉が見えた。案内の兵士達がその扉を開けると、外が見えた。橋のかかった堀の向こうには城下町もある。
「それでは、リョウイチ様。私達はこれにて……」
どうやら、案内はここまでらしい。俺は、外に一人残された。
悲しみがこみ上げてくる。せっかく、せっかく、異世界で人生やり直そうと思ったのに……なんで、魔術の勇者としてちゃんと召喚しなかったんだよ……。
俺は、トボトボと城下町をまっすぐ歩き続けた。しばらく、ボーッとしながら歩き続けていると、前方に城門が見えてきた。
監視役だろう兵士がこちらを見つけ、敬礼をしてくれた。嬉しいのではあるが、やはり心は晴れない。城門を抜けるとそこは……大草原だった。奥には森も見える、
ちょっと、今の実力を試してみるか。俺は、大草原へと歩みを進めた。
次話、ヒロイン登場します。




