第百十話 バリラード森林地帯
ファイたちはプラントドラゴンを倒し、街の人を魔法や回復アイテムで助けると、ヴォルスング都市を出発し、長時間、テアフレナの移動魔法でずっと空を飛んでいた。
テアフレナが、移動魔法を構成している四次元光を出すため、両手から魔力をズット投じていた。そして、考察したようにテアフレナはいった。
「もう、そろそろ、エトワル帝国領だ」
「まずいな、死の境界線がある」
キュラはあごに手をやり、懸念していることを顕わにした。
確かに、デッドラインがある限り、魔王の魔力でモンスターが出るのは必至だった。
そして、一呼吸おいてまたキュラは言葉を紡いだ。
「手強い敵が出なければいいが」
「おそらく、奴らは俺たちのラスタや生気を感知している。必ず出る」
キュラの言葉にヒョウが答えた。
すると、座っていたレギンが膝に手を置き、半目で微笑みながらいった。
「どうやって、戦わずしてその場を乗り切るかだな」
「おとりか?」
「ファイ、お前、誰がなるんだよ、一人だったら死ぬの覚悟じゃないか」
ファイの言葉に隣にいたレイティスが目の色を変えて、言い放った。
「わりぃ、わりぃ」
ファイは頭の後ろに両手をやり、答えた。
みんな、この作戦をきいて、すぐに首を縦に振るものはいなかった。傾げていた。
ファイが答えた瞬間だった。
「私がなってもいいが」
「そ、そんな、キュラ様が、冗談でいったつもりなんだ。なら、俺が囮になる」
「そのアイディアは却下だ、ファイ」
「へへ、すまねぇ」
「仲間に死ぬの覚悟させて、それを知っていて見殺しには出来ない」
「その通りよ、キュラ」
一部始終を聞いていたイーミ姫様が説得力のある声とおももちでいった。
すると、隅の方に座っていたエリューが身を乗り出した。
「わたしもそう思います」
「私もだ」
テアフレナがそういった矢先だった。ウィードが話し出した。
「だけど、上手く乗り切れば、デッドラインを越すことができれば、もう帝国領内部です。その先には、北西に進むとザラディア山脈があります。山脈を越せば、バルトカムという機工都市がありますよ」
「あの、機械技術が発展している凄い都市か」
無口なアザレが珍しく声音を発した。何か知ってるようだが。
「……」
ファイが言葉を聞いて、無言で固唾をのんでいた。
そのときだった。
魔力を投じているテアフレナの表情が変わった。
「みんな、気を付けて、瘴気が強くなってきたわ」
「デッドラインに近いんだ。どうする?」
ヒョウがテアフレナの言葉をきいて、唐突にいった。
レイティスが続けて言葉を発した。
「移動魔法で空を飛んでいけば、早いが、魔力を感知される」
「一旦、地上に降りようぜ。その方が安全だ。あの森の向こうなんだろ、ウィード様、ザラディア山脈って」
「そうです。このバリラード森林地帯を抜ければザラディア山脈です」
ファイの言葉にウィードがすぐさま答えると、キュラが動いた。
瘴気が強くなったことで、緊迫感がひしめいていた。
誰の顔にも、不安と心配が過っていた。
今までに幾度となく、デッドラインで襲われた過去があるからだった。
「よし、テアフレナ、地上に降りてくれ。あの大きく広がってるところに」
「わかりました」
キュラの言葉に従い、テアフレナは緊急着陸しようとした。
森の木々が生い茂ってない場所に着陸し移動魔法を解いた。
☆☆
テアフレナが移動魔法を解き、地上に全員、身を下ろしていた。
ウィードが先頭を歩きだした。どうやら、地理を知っているようだ。
「皆さん、僕が誘導します。ついてきてください」
「ウィード様の生地か。詳しくしってるはずだ」
キュラはそういうとウィードの後をついていった。
ファイたちや、他のみんなもキュラの後をついていく。
レギンが胸板を叩きながらいった。
「なぁ、坊主、敵が出ようが、どんとこいだな」
「ああ、おっさん。返り討ちにしてやるぜ」
「怖いもの知らずもいいが、ファイ、無駄な戦いは避けろ。それも戦術の一つだ」
「へ、わかってるぜ」
そうキュラに答え、ファイはへへと不敵な笑みを見せ鼻の下を照れたように指でこすった。
しばらく歩き、森の中程まで乗り出していた。
ヒョウが懸念した顔で声音を上げた。
誰の目にも悪い予感というものが浮かび始めていた。
「森が深くなってきたな」
「瘴気を感じる」
ファイがヒョウの言葉に答えると、キュラが目を瞑り、瘴気を感じ取っていた。
「匂うな」
キュラが眉間にシワを寄せていうと、ファイの近くにいたエリューが身体を震わせながらいった。
「こわいですぅ」
「また、いかついモンスターがでるどんか」
「ボン、お前もネコもんじゃねーか」
「失敬な、猫防人をそこらのモンスターと一緒にされては困るドン」
ファイの方にやかましそうにまくしたてると、ファイの肩にとまっていたニミュエが、ファイの目の前
に飛んできた。
「大丈夫、あたしにはファイがついてるもん」
「よせよ、ニミュエ照れるじゃねーか」
ニミュエがファイの頬を手で触ると、ファイは振り解こうとし、照れ笑いをした。
しばらく歩いていたのか、辺りが暗くなってきていた。
気が生い茂り、空が見えないほど枝が張り、森の深層部付近まできているように思えるほどだった。
「暗くなってきたな。これ以上進むのは危険だ。みんな、今日はこのあたりで野宿だ」
キュラがそういった時だった。ぎゅるると何かの音がなった。
ほとんど同時にもっと大きな音がなった。
「すまねぇ、腹の虫が鳴いたぜ」
「坊主お前もか」
どうやら、レギンとファイのお腹空いたサインの音だったようだ。
二人とも腹を抱え、ニコリと笑った。
キュラがほほ笑んだ。
「とりあえず、腹ごしらえだな。うーん、ここらの森の地理はわからないな、さすがに」
「ウィード様、知りませんか」
「テアフレナさん、ここから、西にいけば、池があります。そこに魚がいると思います」
「そうですか、よし、ファイ、レイティス、オネイロスは魚を取りにいってくれ。エリュー、ニミュエは?」
キュラは一瞬、エリューとニミュエの方を向くと、どうしようかと首をかしげた。
エリューは瞬時にキュラの意図を理解して話し出した。
「わたしたちは、山菜を探しますよ、食べれるきのこもあるかもしれないですし」
「よし、じゃぁ、そうしてくれ」
ファイたちの夕食探しの任務が始まった。
しかし、野宿、モンスターが生息するとすれば、寝込みを襲われる可能性も大だ。
いかに、姫様を守り、デッドラインのテリトリーを突破するかが問題だった。
☆☆
おはようございます。
遅い時間帯でも早い時間帯でも読んでくださっている方ありがとうございます。
作者何となく判るのでうれしいです。
今日また更新します。
プラントドラゴンを倒した後の話です。
まだまだ物語は続きます。
ブックマークや感想していただけるとうれしいです。
よろしくお願いいたします。




