第百七話 破動竜植物
ファイたちは進化したプラントドラゴンとずっと対峙していた。
ファイたちは街の物陰に身を潜め隠していた。一瞬の隙を狙うために。
「おっさんは、多分大丈夫だ。あんな一撃で死なねーぜ」
ファイが眉間に皺を寄せながらいった。となりにヒョウがいた。ウィードも奥手の後ろにいる。
「だといいが、どうする? 奴の攻撃がみえないぞ」
ヒョウが悔しそうに舌打ちながら言う。
ファイは一歩前に踏み出し構えた。
「死角を狙うんだ。何か弱点があるはずだ」
ファイがそういった矢先だった。
「それで、隠れたつもりか、街のどこにいようと我の植物感なら目を閉じればわかる」
そういい、プラントドラゴンは目を軽く閉じた。
「植物感?」
後ろにいたウィードが小声でぼやいた。
「風が動く、どんなに遠くにいようと、隠れてまいが、我には手に取るようにわかるぞ」
そういったときだった。
「畜生、ふざけやがって、それなら本体ごと燃やしてやる!」
ファイが物陰から飛び出て、プラントドラゴンに突っ切っていく。
「ファイ! 一人じゃ無理だ」
「止めるな、みんなが傷つくの見てられねー」
ヒョウの制止をファイは振り解き、突貫していく。
「俺は、やると言ったら、やる!」
ファイはそういい、宙に飛翔した。
ファイの炎の紋章にラスタが集っていく。
「はぁあぁぁ、#炎動波__フレアドライブ__#連撃!」
炎の波動が複数発、次から次へとプラントドラゴンの方にファイはお見舞いした。
だが、プラントドラゴンはニヤリと不敵な笑みを見せ嘲笑った。
「ほう、炎の技か、波打っておる。小賢しい、弾いてくれる」
ファイには何か算段があるのか、続けて何発もフレアドライブを繰り出していく。
その直撃するフレアドライブをプラントドラゴンは弾き返そうと手を出したときだった。
「く、手が燃えた」
ファイは敵の装甲を見抜いていた。いかに強いものであれど、体の素材は植物だったからだ。熱に対しての防御力が弱かったのだ。
「耐性だ、植物だから熱に耐えうる耐性が奴にはないんだ」
ウィードが感心したように後ろから横やりを入れた。
しかし、動じず、プラントドラゴンは冷笑した。
「なるほど、触れた瞬間に熱源体のエネルギーで我が植物の身体を燃やそうという魂胆か」
「だったら、どうした!」
ファイはそういうと、空中高く飛翔した。
ラスタが集束していく。
「そらよ、連撃! おまけにこいつもとっとけ!」
「#炎拳__フレアナックル__#」
ファイは左拳を握り、掌を返すと、そこからは五発の炎のエネルギー弾がプラントドラゴンに向けて繰り出されていく。
それは見事にプラントドラゴンにぶつかり、ぶつかったところが熱の作用で燃えてなくなった。
だが、この攻勢にもひるむことはなかった。動じず、不敵な笑みで哄笑した。
「いかに、熱源で、我が体を燃やそうと、我はいくらでも再生することが可能なのだよ」
「こんな風にな」
「なに? くそ、また体が再生しやがった」
ファイが手を止め、呻いたとき、ダメージを与えて、燃やしたはずのプラントドラゴンの身体が元通りに再生していた。
雄叫びをあげると、プラントドラゴンはゆっくり宙を旋回した。
「くははは、余興はこれまでだ」
SHU!
プラントドラゴンは一瞬姿を消し、魔剣士たちがプラントドラゴンの本体を探すのをかく乱した。
「どうあがこうと、植物の竜に進化した我には勝てるはずはない」
奴の姿をキャッチした時、宙に飛翔し続けていた。
「空高く飛んだ?」
一瞬だった。
「いけない、何かする気だ、僕が止める」
「#風魔弾__ウィンドブリッド__#!」
ウィードは風の魔剣から遠隔操作ができる念動弾をプラントドラゴンに叩き込んだ。
五、六発程度、瞬時にラスタが噴出している魔剣の口から発した。
瞬足にそれはプラントドラゴンの飛翔に追いついた。
「もらった、いけ、風の弓よ、『かまいたち』」
ウィードはウィンドブリッドを視点にし、例の風の技をお見舞いした。
「く、体が切れる! だがしかし、この程度!」
プラントドラゴンの身体が無残にも幾重にズタボロに切られていく。
プラントドラゴンには、動揺の色は一切なかった。
「再生!」
ほんの瞬きする間だった。
完全にウィードが風の術でつけた傷を、全くといっていいほど皆無にし、元通りに戻っていた。植物の再生力が並みではない。
ファイはこの模様をじっとみていた。
「だめだ、一瞬しか奴の再生を防げない。また元通りになってしまう」
「ウィード様、その一瞬で十分だ!」
いうと同時にファイは動いた。
莫大なラスタがファイに収束していく。
これはもしや?
「#炎竜波__フレアドラゴン__#!」
あのヘルムンガンドを苦しめた大技だ!
炎の竜波がプラントドラゴンに向かっていく!
「なに、炎の竜だと」
そのときだった!
「もらったぁ、アイスザンバー」
「ぐあぁ、しまった下半身が」
なんと、ヒョウが下から頭上にいたプラントドラゴンの下半身目掛けて、氷の刃靭を繰り出していた。繰り出した刃靭は見事に下半身を切り落とし、それは一瞬に凍り、地面に落ち、粉々に砕けた。
「今だ、ファイ!」
このチャンスをファイは見逃さなかった。
「おう、いけぇ」
炎の竜波がプラントドラゴンに向かい、直撃しようとしたときだった。
「#植物壁__プラントウォール__#」
何と、瞬時に、プラントドラゴンは当たる直前で、植物の厚い壁を目の前に発生させた。
一瞬のタイムラグを起こし、そのうちにプラントドラゴンは違う場所に消えた。
ファイはすかさず、居場所をキャッチし、瞬時に炎の竜波の向きを変えようと手を動かした。
「なに、植物の壁! だがそんなもの、燃やし尽くしてやる!」
「どこに逃げようと、無駄だ」
ファイは大きく腕を振り被った。
その瞬間炎の竜波が大きく動いた。
「旋回、フレアドラゴン!」
至る所で防ごうとした、プラントウォールをすべてファイは燃やし尽くしていく。
時間稼ぎの壁でしかなかった。
プラントドラゴンは、わざと時間を稼いでいるようにみえた。
何か秘策があるのか、後ろに飛び退いた。
「埋め尽くしてやる、この街を我が植物生命体で」
炎のドラゴンが後少しでプラントドラゴンにあたるときだった。
「#破動竜植物__プラントリファイン__#!」
凄まじいエネルギーがプラントドラゴンから発せられた。
その瞬間だった。
大地が動き、町中に植物が出でて一瞬のうちに包み込まれていく。
手でもがけないくらい、巻き付くと凄い威力だった。
「な、なに、植物が至る所に」
「な、足が、くそ、なんだ、この植物はどこから?」
ウィードが足を取られたそのときだった。
異様な光景がファイたちの目に入った。
☆☆
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今日また更新します。
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読み物として、更新していきます。
まだまだ物語は続きます。




