壊疑論者
『午後、2時、33分、2秒をお知らせします』
……
『こちら県警本部 現在、新潟市、桜吹雪』
……
『4-2-9桜吹雪中等学校で立て籠もり事件が起きたとの入電あり』
……
『マル秘は矢を射出する武器で武装、学校を占拠している。死亡者或いは安否不明者429名、現場近くのPMは直ちに急行せよ』
……
『現場PM、応答せよ!』
…………
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時はもう夕暮れに近かった。
近郊では、怒声やサイレンが鳴り響き、パトカーの中にいる吐血した亡骸の近くで無線が鳴いている。
多くの人間が死んだような雰囲気で、静けさという音がなりひびく。
カーネルは依然として、校庭に佇んでいた。
足下には兵士にねじ伏せられたテレスが居る。
カーネルはしゃがみ、
人参を地中から抜き取るように、
テレスの白金の髪を掴み、言う。
「銀髪の少女、君に真実を教えてやろう。全ての真実だ……」
テレスは、自分の髪を掴んでいるカーネルの手を掴み、痛い痛いと嘆く。
カーネルはお構いなしに話を続ける。
「現在、2014年、そして日にちは6月29日。
疑問に思ったことはないか?
なぜ、日本の神道や仏教が、全く宗派の違うキリスト教の西暦を使っているのか。
君ならわかるだろう。
そう、西洋の神学や天文学は日本より優れていた。日本の方が天文学的に欠陥があったから日本は明治時代に西暦を受容した。
"日本は西暦に侵食された"
そこからだ。日本が偽りの歴史を紡いでいったのは。
そうだ、世界は現在の日本よりもずっと進歩している。
跋扈する情報の中で先進国と謳われる日本は、実際世界より20年以上も遅れている。
現在日本で使われている情報は、
20年前にアメリカが記録した出来事に過ぎない。
アメリカの諜報機関が、常にパスポート所持者の個人情報を握り、行動を全て監視している。
交通機関、乗り物の運転手、電車の客、ホームステイ先の家庭、通りすがりの親切な人間……
全て虚構だ。
全員、諜報員や工作員、偽情報。
日本はアメリカが作り上げた、動物園の一つだ。
動物は檻の中では放し飼い、檻の外に見える外の世界が手に取るように見えると感じる。
でも違う。
だって、その動物は動物園で生まれたのだもの。
知らない世界を想像できるわけもない。
だが、実際は檻のある動物園でさえも外の世界の一部。
動物園は何個でもあるのだ。
動物にはそれを理解できないだろう。
アリが哲学を理解できないように。
まさに、日本という生き物は井の中の蛙というわけだ。
一方現在の世界では、
ロシアが崩壊し、アメリカは世界を支配している。
冷戦の後は、
静戦の時代だ。
生物兵器を戦地にバラ撒き、120Db以上の音を感知すると人間は死ぬようになっている。
生物兵器により、感染症が発症した人間は、必ず死ぬ。
そう、敵軍の発砲を禁止できるのだ。
4ヶ月でその生物兵器は自動的に壊れ、証拠は隠滅される。
これが、アメリカが世界を支配する為に使う武器の真実だ──」




