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棄義名分

2020年、アメリカ合衆国はアメリカ連邦共和国という名称に改称、欧州連合や世界各地の国々を支援、あるいは軍事力により強制的にア連に編入し、続々と州や共和国を増やしていった。


ア連の発展は最高潮に達し、 その軍事、経済、思想、あらゆる勢力は、ロシアや中国でさえ小国に思える程に肥大化した。


コルウィは、その中でも生物兵器事件の影響で2038年に旧ロシアから独立し、ア連に編入された共和国だ。


ロシアとアメリカの間を、まるで黒海の流れ藻のように漂流する国、コルウィ。


カーネルが率いるこの部隊は、コルウィ国家保安庁対テロ作戦情報本部に属する下部極秘組織だった。


通称、正義(ユースティティア)の使者。東欧を中心とし、裏世界を闊歩する闇の部隊だ。


ああもう、日も暮れてきた。


アスファルトに舞う砂塵に、

霞む夕陽が悲愴を物語る。


カーネルが両方の瞼を手で覆う。


「アメリカが我々の国を統治し始めてから、海兵隊がこの国を守るようになった。」


「そう、私達の軍はアメリカに併合されたのだ。だが、私達は影のレジスタンスだ。アメリカが陸海空軍を潰した中で、諜報機関だけが形を留め残った。その秘匿性を最大限に発揮し、アメリカに対抗する術を探し出す。この国の命運は、私達ユースティティアに託されている」


コルウィの兵士が、クロスボウをエリックに近づけ、うながす。


「ハンドガンとプライマリのマガジンを抜いて、ホールドオープンの状態にしろ。ポーチとベストを脱いで武器を全部出せ」


エリックは不服そうな表情を見せながらも、言われた通りにする。


「おい、お嬢には触れるな……」


向こうで優雅に対して武装解除をする兵士に対してエリックがそう声をあげる。


カーネルはニヤけ、顎をなでながらいう、


「彼女は、まだ若い。ところで、ここらには宗教国家樹立を目論む過激派が蔓延っている。そうだなあ、銀髪(プラチナブロンド)にこの若さ……軽く見積もって15000ディナールで売れるだろうか……さしずめ、戦争ポルノ(スナッフビデオ)か売春に使われ、壊れたところで臓器売買され捨てられるだろう。いやあ、違う、私達が正義の使者でなければそうされていただろうなあ。」


カーネルは顎を撫でていた指を人差し指を天に立て、いう。


「だが── 一つ提案があるスペツナズの諸君。 私達の、正義の使者に、参加してはくれないか?」


「いやあ、提案といえど君達はこの提案をのまなければいけない。受け入れるか、この場で死ぬかだ。ははは。」


エリックは手を頭に当て、優雅と、倒れているエゴールを見て葛藤しながら口を開く。


「エゴールは助かるのか?それに、ソ連、いや、多くの国の交戦規定では、降伏や敵への情報提供、加担は絶対に禁止されている。それを承知の上で言っているのか?」


カーネルは余裕の表情でいう。


「全部解決できるさ。」

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