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EISENWALD ONLINE《アイゼンヴァルト・オンライン》  作者: うっちー
MAGAZINE01 鉄と火の街アイゼンヴァルト

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3/7

BULLET3:初期武器受領


転送された先には、先が見えないほど長いカウンターが並んでいた。

その奥の壁一面に、無数の武器が掛けられている。

拳銃。剣。槍。斧。

種類だけなら訓練施設より遥かに多い。


「初期武器を選択してください」


システムアナウンスが流れる。


ガヤガヤガヤ


周囲では既にプレイヤーたちが武器を手に取り始めていた。


「どれ選ぶ?」


「見た目でよくね?」


「リボルバー格好いいな」


「いや、弾少ないだろ」


「近接武器もいいよな」


賑やかな声が飛び交う。

始まったばかりのゲームらしい空気だった。


ジョンはゆっくりと武器棚を見渡す。

初期装備用らしく、どれも扱いやすさを重視した構成だった。

大型ハンドガンや大口径マグナムのような“ロマン武器”は見当たらない。

それ故、極端な性能差はない。

だが違いはある。

装弾数。反動。重量。適性距離。取り回し。

数字に表れない個性が確かに存在していた。

だからこそ迷う。

そして好き嫌いが出る。


ジョンは銃器のラックへ近付いた。

まず目に入ったのはリボルバー。


無骨な回転式拳銃。

重い。

重心は気持ち前寄り。

引き金はやや重い。

構えた時の安定感は悪くない。

そして何より無骨で堅牢。

故に信頼が高い。

だが弾数が6発ほどとすこし心許ない。


次はポリマーフレームの自動拳銃。

軽い。

扱いやすい。

装弾数も多い。

万人向けだろう。

だが扱いやすいがゆえに手に残る感触が薄い。


ジョンは数回スライドを引く。

悪くない、だが何か違う。

棚へ戻した。


軍用モデルもあった。

こちらは少し大型。

反動を抑えやすそうだ。

サイトも見やすい。

誰でも使え、どんな環境でも扱えるように設計されているだけあって、性能だけで考えれば十分候補になる。

だが決め手がない。

ジョンは武器を置いた。


ふと周囲を見る。

プレイヤーたちは思い思いの武器を選んでいた。

巨大な戦斧を抱える者。

長槍を振り回している者。

二丁拳銃を見つめている者。

どれも楽しそうだった。


ジョンは少しだけ笑う。

こういう時間は嫌いじゃない。

最強を選ぶ時間ではない。

相棒を選ぶ時間だ。

だから自然と慎重になる。

武器棚の奥へ視線を向ける。

そこで手が止まった。

黒鉄色の拳銃。


『M1911A1 コルトガバメント』


古い設計。

百年以上前に生まれた拳銃。

角ばったシルエット。

無骨な金属フレーム。

現代的とは言い難い姿。

だが不思議と目を引いた。


ジョンは自然と手を伸ばす。


ずしり。金属の重量が掌へ伝わる。

冷たい。そして心地良い。

グリップを握る。

しっくり来た。

まるで最初からそこに収まるべきだったみたいに。


「……やっぱりな」


小さく呟く。


何度も映画で見た。

何度も資料で見た。

しかし、実銃に触れたことはない。

だが、この銃だけは昔から知っていた気がする。


スライドへ手を掛ける。

カシャッ。

乾いた金属音。


思わず笑みが漏れた。

良い音だった。

ただそれだけなのに妙に気分が良い。


サイトを覗く。

自然と腕が伸びる。

違和感がない。


トリガーへ指を添える。

握った瞬間の安心感。


重量。重心。全てが好みだった。

性能だけ見れば優秀とは言えない。

装弾数は少ない。

リロード速度も特別速くない。

反動だって現代的な拳銃より大きい。

それでもジョンの中では既に決まっていた。


その時だった。

後ろから声が聞こえる。


「やっぱ1911だよな」


振り返ると同じようにM1911を持ったプレイヤーが笑っていた。


「分かる」


ジョンも笑う。

すると別のプレイヤーが口を挟む。


「うわ、渋っ」


「古いやつ選んだな」


「今ならもっと使いやすいのあるだろ」


言いたいことは分かる。

性能だけ見ればそうだ。

だがジョンは肩をすくめた。


「好きなんだよ」


それだけだった。

相手も納得したような、していないような顔をする。

だが深追いはしてこなかった。

ゲームだからだ。

好きな武器を選ぶ理由としては十分だった。


ジョンは再びM1911A1を見る。

武器というより、道具。

派手さはない。

だが長く付き合えそうな気がした。


「これにします」


そう言った瞬間。

視界にウィンドウが表示される。


【初期武器を登録しました】


【M1911A1 コルトガバメント】


拳銃が淡く光る。

登録完了。

これで正式に自分の武器になったらしい。

ジョンは腰のホルスターへM1911A1を収める。

カチリと小さな音。

不思議と気分が良かった。

最強だから選んだわけじゃない。

効率を考えたわけでもない。

ただ好きだった。

それだけだ。

だが、それで十分だった。


ジョンは武器ラックから離れる。

次はいよいよ街だ。

この銃を持って。

この世界を歩く。

そんな当たり前のことが、少しだけ楽しみだった。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。


本作が初めての作品となります。

まだまだ拙い部分も多いかと思いますが、楽しんでいただけましたら嬉しいです。


ご感想や応援の★をいただけると、とても励みになります。

一章は①から⑤まで5日連続で投稿します。

これからも少しずつ更新していきますので、ぜひお付き合いいただければ幸いです。



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