表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の異世界征服記  作者: 伊簑木サイ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/7

《犬の嗅覚は人間の一億倍です》

《犬の嗅覚は人間の一億倍です》


 私を襲っているのは、犬だった。それも、私よりかなり大きな犬。感覚的に、熊ぐらいありそうだ。毛皮特有の匂いがする。

 視線が合った水色の目がガラス球みたいに綺麗で、知的にすら感じたが、それも数瞬で、すぐに濡れた鼻を首筋に押し付けてきた。

 一瞬、噛みつかれるかと冷やりとしたが、ふんふんと匂いを嗅いでいるだけのようだ。

 動くに動けず、凍りついたようにじっとしていたら、べろーりと喉を舐め上げられ、ひっと息を呑みこんだ。

 犬の顔が上がる。口の筋肉がぐいーっと上がり、犬歯が露出する。

 笑われた!? 犬に、笑われた!?

 そんなまさかと犬の歯に目が釘付けになっていたら、今度は口から眉間にかけて、またもやべろーりと舐め上げられる。

 とっさに目をつぶった間に、気配が動いて、胸の間に鼻を押し付けられた。ふんふんふんふんと、胸の上を通って脇に行き、わき腹を辿って途中からお臍。くすぐったさに身をよじっていたら、そこから真下に下りていきはじめた。

 私は嫌な予感に、頭だけを上げて、犬が何をしようとしているのか見ようとした。

 犬といえば、相手を識別するために、お尻の匂いを確認する。犬によっては、執拗に鼻面を押し付けたりする。それが嫌だった。

 ところが、別の件で愕然とした。犬は、大きな布をまとっていたのだ。……というか、あれはマント?

 しかも、よくよく見れば、肩にかかった手には手袋をしている。でも、腕は毛むくじゃら、首から下ももふもふ。顔は犬。

 何これ。犬な形の知的生命体!? こういうの、なんて言ったっけ。

 えーと。……そうそう。獣人。

 なんてことを考えている間に、犬の鼻が足の間に到達した。しかも遠慮なく、そこに鼻を突っ込んでこようとする。

 知的生命体ということは、無邪気な犬の本能以上の何かもあるかもしれないわけで。

 羞恥と危機感と、推定痴漢行為に対する怒りとで、かーっと頭に血が上ってくる。

「やめろ、馬鹿わんこ!」

 私は飼い犬を叱るときのように、低く冷たい声で鋭く命じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ