第9話 選んだ答えは変えられる
進路選びは誰でも悩んでしまう
翌朝、俺は学部の仮希望用紙を忘れずに持って家を出た。
正確には、忘れないように昨日の夜から鞄の一番上に入れていた。
これで忘れたらもうどうしようもない。
学院へ着いて教室へ入ると、前の方で何人かが同じ用紙を見ながら話していた。
「第一どこにした?」
「戦闘魔術」
「やっぱり?」
「お前は?」
「身体機能研究」
似たような会話があちこちから聞こえる。
今日が提出日だから当然だ。
俺も席へ座り、念のため鞄から用紙を出した。
第一希望、精密魔術研究。
第二希望、戦闘魔術。
第三希望、魔法工学連携。
昨日書いたまま。
「結局それにしたんだ」
隣へ来たミラが紙を覗き込む。
「ああ」
「第一、精密魔術なんだね」
「一番得意だからな」
「戦闘じゃなくて?」
「迷ったけど」
戦うのも好きだ。
強くなりたいとも思う。
でも、俺が一番時間を忘れるのは、多分もっと細かいことをやっている時だ。
右足の小指だけを強化して三時間使ったり。
魔力を何本まで分けられるか試したり。
普通なら面倒だと思うようなことを、俺はあまり面倒だと思わない。
「ミラは?」
「これ」
用紙を見せられる。
第一希望、魔法戦術。
第二希望、上級魔法研究。
第三希望、魔法陣応用。
「魔法陣?」
「意外?」
「少し」
「便利だし」
「俺と同じ理由?」
「レンと一緒にしないで」
「何でだよ」
「私は自分で魔法当てられるから」
「喧嘩売ってる?」
「事実」
何も言えない。
「でも戦術が第一なんだな」
「うん」
「上級魔法じゃなくて?」
「強い魔法覚えるだけなら、今でも研究室でできるから」
「なるほど」
「どう使うかの方が興味ある」
公開日の実演を思い出す。
火で進路を塞いで、その先へ別の魔法を置く。
確かにミラらしい。
「二人とも出したか?」
前からカイルの声がした。
「今から」
「俺もう出した」
「戦闘魔術だろ」
「第一から第三まで全部戦闘系」
「そんな分け方できるの?」
「近接、集団、対魔法」
「細かいな」
「お前が言うな」
それもそうか。
やがて担当教師が教室へ入り、用紙の回収が始まった。
前から順番に集められていく。
俺の番。
紙を渡す。
それだけ。
「……終わった」
「何が?」
ミラが聞く。
「もっと何かあると思ってた」
「仮希望出しただけだよ」
「そうなんだけど」
何かを決めた感じが全然しない。
紙一枚。
第一希望を書いて出しただけ。
「これで精密魔術研究に決まるわけじゃないんだよな」
「当たり前でしょ」
「分かってる」
「変更もできるし」
「分かってるって」
でも少しだけ安心した。
選んだら戻れないような気がしていたからだ。
実際にはそんなことはない。
やってみて違ったら変える。
それくらいでいいらしい。
◇
午前の授業が終わったあと、俺はオルフェン先生の研究室へ向かった。
今日はミラはいない。
魔法科の追加実習があるらしい。
代わりに、鞄の中には昨日書いた五号の設計図が入っている。
研究室の扉を叩く。
「入れ」
中へ入ると、先生は小さな魔法陣を机の上に置いていた。
「何してるんです?」
「見れば分かるだろ」
「分からないから聞いてるんですけど」
「温度測定」
机の上の金属片に触れると、横の板へ数字が出た。
「三十七・二」
「何の温度です?」
「魔石」
「何で測ってるんです?」
「昨日から妙に熱を持つ」
「壊れかけ?」
「まだ分からん」
「面白そうですね」
「触るな」
「触ってません」
「目が触ってる」
「そんな表現あります?」
先生は俺を無視して記録を書いた。
「今日は何だ」
「五号」
「もう設計したのか」
「仮です」
紙を出す。
先生が受け取る。
しばらく黙って見る。
この時間は少し嫌だ。
何を考えているのか分からない。
「減ったな」
「端子?」
「ああ」
「十二から五にしました」
「理由は」
「魔力操作自体は俺がやります。装置は待機位置を維持するだけ」
昨日考えたことを説明する。
右腕。
左腕。
右脚。
左脚。
必要なら体幹。
そこへ魔力を流すのではなく、使う直前の位置へ置いておく。
「それなら戦闘中に一から運ばなくていい」
「昨日やった魔力待機か」
「はい」
「装置の役割は?」
「待機状態の維持」
「自分でもできるだろ」
「できます」
「なら必要か?」
「長時間だと集中力使うので」
昨日の授業でも、一分維持するだけで意外と面倒だった。
戦闘中ならもっときつい。
「装置がそこだけやってくれれば、俺は相手を見ることに集中できます」
先生がもう一度設計図を見る。
「前よりはいい」
「本当ですか」
「ああ」
「もっと褒めてもいいですよ」
「調子に乗るから嫌だ」
「少しくらい」
「ただし」
来た。
「安全装置が足りない」
「三つあります」
「数ではないと教えただろう」
「一応別ですよ。電流、魔力流、温度」
「停止方法が一つしかない」
「……あ」
全部異常を検知したら電源を切る。
そこは同じだ。
「電源が切れなかったら?」
「手動停止」
「それも同じ回路を通っている」
「じゃあ回路を別にする?」
「少なくとも一つはな」
先生が紙に線を足す。
「主電源とは別の物理遮断。ここを切れば、蓄電部から端子まで完全に離れるようにする」
「なるほど」
「それと、電気を切ったあとに魔力が動き続けた前例がある」
「四号」
「ああ」
「そこはまだ対策思いついてません」
「無理に装置で止める必要はない」
「え?」
「異常を感じたら装置を外せるようにしろ」
単純だった。
「……それでいいんです?」
「何か不満か」
「もっと凄い仕組み必要だと思ってました」
「安全装置は凄ければいいわけじゃない」
また同じようなことを言われる。
「一番確実なのは、危険なものから離れることだ」
「腕輪だと外すのに時間かかります」
「だから試験機では固定するな」
「落ちません?」
「寝た状態で試せ」
「ああ」
俺はずっと、装着した状態で立って使うことを考えていた。
試験なら寝た状態でもいい。
また最初から完成形を考えていたらしい。
「先生」
「何だ」
「俺、意外と頭固いですかね」
「意外ではない」
「否定してくださいよ」
「変なところでは柔らかいが、決めた形にこだわる癖はある」
「例えば?」
「魔法使い」
一瞬、何のことか分からなかった。
「……そこに来ます?」
「子供の頃からなりたいんだろう」
「まあ」
「だから魔法陣を使うことに抵抗があった」
「ありましたね」
「魔術でも同じだ。自分で全部操作することにこだわっていた」
言われるとそうだ。
「別にこだわるのが悪いとは言わん」
「じゃあいいじゃないですか」
「それしか見えなくなるなと言っている」
「……はい」
先生は設計図を俺へ返す。
「この形なら試験機を作っていい」
「本当ですか?」
「ああ」
思わず紙を見る。
「今日から?」
「今日は駄目だ」
「何で?」
「右腕」
「装置付けないですよ」
「作り始めたら試したくなるだろ」
「試しません」
「信用がない」
まだ戻っていなかった。
「いつから?」
「部品選定と外部制御部の製作だけなら今日から構わん」
「端子は?」
「作っていい」
「接続は?」
「人体へ繋がなければ」
「分かりました」
十分だ。
作れる。
「先生」
「まだあるのか」
「学部の仮希望出しました」
「そうか」
反応が薄い。
「聞かないんです?」
「聞いてほしいのか」
「少し」
「どこだ」
「第一が精密魔術研究。第二が戦闘魔術。第三が魔法工学連携」
先生の顔は変わらない。
「妥当だな」
「それだけ?」
「何を期待している」
「向いてるとか」
「精密魔術は向いている」
「戦闘は?」
「悪くない」
「魔法工学」
「事故を減らせれば」
「そこ言います?」
「一番大事だ」
間違ってはいない。
「先生ならどこ選びます?」
「お前なら?」
「はい」
「知らん」
「ここまで聞いて?」
「選ぶのはお前だ」
またこれだ。
「でも、どれか一つに決める必要はない」
「学院的には?」
「専門は決める。ただ、学ぶ内容まで一つにする必要はない」
先生が机の端に置かれた測定器を指した。
「これは魔法工学」
次に、さっきの温度測定陣。
「これは魔法陣」
自分の腕を軽く持ち上げる。
「測定対象は魔力の性質だ。分野を一つに分ける方が本来は無理がある」
「じゃあ学部って何のためにあるんです?」
「教える側が楽だからだ」
「そんな理由?」
「半分はな」
先生が少し笑う。
「専門性は必要だ。ただ、専門以外を知らなくていい理由にはならん」
それを聞いて、少し安心した。
「じゃあ今のでいいですかね」
「仮希望だろう」
「そうですけど」
「違うと思ったら変えろ」
簡単に言う。
でも多分、それくらいでいい。
◇
先生の研究室を出たあと、そのまま第四工房へ向かった。
今日は五号を作る。
正確には、五号試験機の外部制御部。
久しぶりにちゃんとした工作ができる。
それだけで少し気分がいい。
工房へ着くと、作業台の上に必要なものを並べた。
配線。
抵抗器。
小型蓄電部。
制御板。
温度測定用の端子。
魔力流測定器は学院のものを使うので、今は接続口だけ作る。
「さて」
設計図を見る。
最初に安全側から。
先生に言われた通り、主回路と物理遮断を別にする。
主電源を切る。
それでも止まらなければ、別のレバーを引く。
すると端子側との接続そのものが切れる。
「これなら」
少し考える。
切断後に端子自体が帯電していたら?
小さいとは思う。
でも。
紙に追加する。
放電経路。
「……考え始めると終わらないな」
安全を考えるほど、次の危険が見える。
四号までは、どう動かすかばかり考えていた。
止め方を考えるのは後。
今は逆だ。
ちゃんと止まるか。
壊れた時どうなるか。
そこを考えてから動かす。
作業は遅くなる。
正直、少し面倒でもある。
でも。
右腕を見る。
事故の時の痛みを思い出す。
「……必要だな」
作業を続ける。
しばらくして、後ろから声がした。
「何してる?」
「うわ」
振り返る。
カイルだった。
「急に話しかけるなよ」
「普通に声かけたぞ」
「集中してた」
「また補助環?」
「五号」
「できた?」
「まだ外の箱」
机の上を見る。
「大きいな」
「試験機だから」
「腕に付けるの?」
「これは机」
「じゃあ補助環じゃなくない?」
「最終的には小さくする」
「何する箱?」
説明する。
魔力を待機させる。
そこまでを補助。
「つまり、勝手に強化はしない?」
「しない」
「じゃあ俺でも使える?」
「安全確認終わったらな」
「本当に?」
「先生の許可出たら」
「予約しとく」
「またそれかよ」
カイルは作業台の横に立った。
「手伝うことある?」
「ない」
「即答?」
「配線分かる?」
「分からない」
「じゃあない」
「運ぶくらいならできる」
少し考える。
机の下に置いた金属ケース。
「それ取って」
「これ?」
「ああ」
カイルが持ち上げる。
「重いな」
「試験機だから」
「さっきからそれ便利に使ってない?」
「本当だから」
ケースを机へ置いてもらう。
「ありがとう」
「お前が礼言った」
「言うよ」
「珍しい」
「最近みんなそれ言うな」
「普段言わないからだろ」
「言ってるって」
多分。
「そういえば学部どうした?」
「お前まで聞くのか」
「俺言っただろ」
「精密、戦闘、工学」
「一番は?」
「精密魔術研究」
「やっぱり」
「何が」
「お前、戦闘系よりそっちな気がする」
「そう?」
「戦ってる時より、変なこと試してる時の方が楽しそう」
ミラにも似たようなことを言われた。
「でも強くなりたいんだよ」
「別に研究やったら弱くなるわけじゃないだろ」
「それはそうだけど」
「むしろ変な魔術作って強くなればいい」
「簡単に言うな」
「右足の小指強化する奴ならできるだろ」
「それを基準にするのやめてくれない?」
もう俺の代表みたいになっている。
◇
その日は、外部制御部の半分くらいまで作ったところで終わった。
まだ動かない。
電気も流していない。
ただ配線して、停止機構を組んだだけ。
それでも満足だった。
「今日は試さないんだな」
帰り支度をしていると、カイルが言った。
「動かないからな」
「動いたら?」
「先生呼ぶ」
「本当に変わったな」
「お前まで」
「前なら一回くらい電気流してたろ」
「人体には繋がないぞ」
「でも機械だけなら?」
「……」
多分流していた。
「今は?」
「明日先生に見せる」
「偉い」
「その言い方やめろ」
ミラと同じだ。
◇
工房を出ると、ちょうど夕方だった。
今日は一人で帰る。
ミラはまだ追加実習。
カイルは別の訓練場へ行った。
学院の大通りを歩く。
夕方でも人は多い。
魔法科の制服。
魔術科の制服。
研究用の白衣を着た上級生。
剣を持った生徒。
大量の紙を抱えた人。
少し遠くでは、大型の運搬車が魔法陣の光を出しながら荷物を運んでいる。
普通に見慣れた景色。
そのまま歩いていると、治療区画の近くを通った。
入口から担架が一つ入っていく。
訓練で怪我でもしたのだろう。
その横を白い魔力を持った治療科らしい学生が走っていく。
俺は何となく右腕を見る。
もう普通に動く。
見た目だけなら怪我しているようには見えない。
でもまだ強化できない。
「あと何日だっけ」
一か月。
分かっている。
数えると長く感じるから、最近はあまり考えないようにしている。
代わりにできることをやる。
五号。
魔法陣。
魔力待機。
授業。
やることはかなりある。
それでいい。
◇
翌日の午後。
五号試験機の外部制御部を、オルフェン先生の研究室へ持っていった。
「重いな」
第一声がそれだった。
「試験機です」
「便利な言葉だな」
「カイルにも言われました」
机へ置く。
先生が中を見る。
「物理遮断は?」
「ここ」
「放電は?」
「切断後にこっちへ逃がします」
「温度測定」
「接続口だけ。センサーはまだ」
「魔力流」
「学院の測定器借ります」
「電流異常」
「主回路側」
先生が順番に確認する。
少し緊張する。
「悪くない」
「本当ですか?」
「ああ」
「じゃあ電気流していい?」
「まず負荷を繋げ」
「人体じゃないですよ」
「分かっている」
先生が棚から小さな試験用装置を出した。
魔力の代わりに電気負荷を見るためのものらしい。
「これを端子側へ」
「はい」
接続する。
「主電源」
「入れます」
スイッチ。
小さな表示灯が点く。
「正常」
電流値を見る。
設計通り。
「停止」
切る。
止まる。
「次、物理遮断」
もう一度入れる。
今度は別のレバー。
小さな音。
端子との接続が切れる。
「放電」
数字が下がる。
ゼロ。
「……できた」
「そこまではな」
先生は冷静だ。
「故障を作る」
「故障?」
「ああ」
「壊すんですか?」
「壊さない。異常値を入れる」
温度測定部分へ仮の信号。
設定値を超えたことにする。
主電源が自動停止。
「次」
魔力流の異常。
停止。
電流。
停止。
全部動く。
「先生」
「何だ」
「ちょっと嬉しいです」
「見れば分かる」
「やっぱり顔ですか」
「ああ」
もう諦めた。
「これなら次、端子作れます?」
「いい」
「人体試験は?」
「まだだ」
「聞いただけです」
「端子単体の誘導試験。次に魔力を持つ試験素材。最後に人体」
「試験素材?」
「魔獣組織か、人工魔力材」
「そんなのあるんですか」
「ある」
知らなかった。
「借りられます?」
「申請すれば」
「高い?」
「学院の研究なら無料だ」
「便利ですね」
「壊せば記録には残るぞ」
「壊しません」
「お前の場合は言っておいた方がいい」
信用が本当にない。
「先生」
「何だ」
「人工魔力材って何です?」
「魔力を保持できる人工素材だ」
「どうやって作るんです?」
「魔法工学の三年以降でやる」
「今知りたい」
「図書館へ行け」
「教えてくれないんです?」
「全部私に聞くな」
「少しくらい」
「自分で調べろ」
仕方ない。
でも、それも少し楽しそうだ。
◇
研究室を出る前。
先生が俺を呼び止めた。
「エルド」
「はい」
「学部の件だが」
「何です?」
朝はほとんど何も言わなかった。
「精密魔術研究へ行くなら、今のうちに一つ覚えておけ」
「何を?」
「細かくできること自体には、ほとんど価値がない」
少し嫌な言い方だった。
「……俺の得意なところなんですけど」
「だから言っている」
先生がこちらを見る。
「右足の小指だけ強化できる。結構だ」
「馬鹿にしてます?」
「していない。それで何ができる」
「……」
答えに詰まる。
できる。
だからやった。
それだけ。
「研究は、できましたで終わらない」
「じゃあ何が必要なんです?」
「何のためにやるかだ」
五号を見る。
「細かい操作で魔力消費を減らす」
「はい」
「待機位置を分けて発動を速くする」
「はい」
「それなら意味がある」
先生は少し間を置いた。
「ただ珍しいことができるだけでは、珍しいだけだ」
「……なるほど」
「まあ、最初はそれでもいいがな」
「どっちです?」
「面白そうだから始める。それ自体は悪くない」
先生らしい。
「ただ、いつかはその先を考えろ」
「分かりました」
少し考える。
「先生」
「何だ」
「右足の小指だけ強化する意味、今から考えてもいいです?」
「好きにしろ」
「何か使えそうな気がする」
「無理に使おうとするな」
「でも」
「そういうところだ」
怒られた。
◇
帰り道。
先生に言われたことを考える。
何ができるか。
何のためにやるか。
俺は今まで、できるかどうかばかり考えていた。
小指だけ強化できるか。
魔力を十二本に分けられるか。
逆方向へ同時に流せるか。
できたら面白い。
だからやる。
それでも十分楽しかった。
でも、専門としてやるならその先がいるらしい。
「難しいな」
誰もいないのに声が出た。
精密魔術研究。
第一希望。
紙に書いて出した。
それで何かが決まったわけではない。
でも、少しだけ見るものが変わった気がする。
できる。
できない。
その二つだけではなく。
できたあと、何に使うのか。
五号は多分、その最初になる。
魔力を細かく操れるから作るのではない。
俺が戦う時、少ない魔力を無駄にしないために使う。
発動を速くするために使う。
そう考えると、前より分かりやすい。
正門へ向かいながら、右足を見る。
「小指は……」
何に使えるんだろう。
考える。
靴の中で少し動かす。
身体強化は使わない。
普通に小指を動かすだけ。
「……姿勢?」
走る時。
曲がる時。
足裏で地面を掴む時。
小指も使っているはずだ。
「いや」
そこまで行くと本当に細かい。
でも。
気になる。
帰ったら調べよう。
足の骨。
筋肉。
走り方。
図書館で本を借りればいい。
そう思ったところで、自分でも少し笑った。
結局。
何のためにやるかを考え始めても、やっていることはあまり変わらないらしい。
気になった。
だから調べる。
今は、それでいい気がした。
私気になります!




