77 宿す前に
「魔力枯渇……もう無理……」
エラリスが砂場の上で座り込んだ。
『全く……なんでボクがこんな暑いところで……』
「まぁまぁ、リヴァレーも水源があるほうが点々と移動ができるし便利だろ?」
『よくもまぁ……こんなこも思いつくわよね』
『うぬ』
エラリスの肩に手を当てて、魔力を少しずつ送り続けるニティア。
「ありがとう……ニティアの魔力を借りれなかったら私死んでたよ……」
「いや、これは流石にエラリスの負担がやばすぎでしょ……私でもしんどいもん」
そう言って目の前に視線を映す。
「よくこんな案を思いついたもんだよな…ルシオ……」
「えぇ……確かに便利にもなりますし、新たな収入源にもなるかもしれませんが……」
坑道があった場所をモラティの許可の上でニティアが丸々つぶし、地面を抉り取る。固い岩盤や水分を蓄える魔石をその抉り取った下層に敷き詰める。ゼフィリアの力を借りたエラリスが風の力で砂を吹き飛ばして水路を作り、ニティアの魔力を借りたエラリスがリヴァレーを召喚。遠くの河川から水を引き込んでいくと……
「これでオアシスの完成だ!」
ルシオがにっこりと笑う。
「広大な砂漠の中に巨大なオアシス。これで観光やら漁業やた……もしくは土壌も安定していけば作物なんかも育てられるようになるんじゃないか?」
「でもいきなり、こんなの作ってオシスの人には何て説明するつもり?」
エラリスに魔力を送り終えたニティアが、オアシスを眺めながらルシオを見る。
「魔族と戦ったらこうなったで行くしかないでしょ!」
『あんた、地図を書き換えるレベルの事をしておいて……私が言うのも、随分と大胆よね……』
『うぬ……』
「まぁ、これで一件落着ってことで!」
ルシオがにっこりと笑っていた。
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オシスの街に戻ってきた一同は、街の長に坑道には魔族が住み着いていたこと。その魔族を討伐するにあたり坑道が埋もれてしまったこと。そして……その結果、坑道跡地にオアシスが出来た事を伝えた。
いきなりの事で、長も信じれなかったのだろう。魔族討伐のお礼と共に、調査団を派遣するので、それらが戻ってくるまでしばらくこの街に留まっていて欲しい旨を伝えられ、フィニス達はとりあえず宿を取った後、食事を摂るために例の飲食店を訪れた。
「お、いらっしゃい!」
「おねぇちゃんたち!もぐらさんに会えた?」
店主とリヴちゃんが店を訪れたニティア達に気付き、席を案内する。
「ちゃんと会えましたよ!ありがとうございました」
「おばちゃん、とりあえず冷たい飲み物ちょうだい!」
「あと肉……」
「あいよ!ちょっと待ってな!リヴもおいで!」
「はーい」
厨房へと消えていく店主とリヴを手を振りながら見送るアルテア。2人が見えなくなったところで、ふとフィニスの剣が視線に入り、話を切り出した。
「そういえばフィニスさん、剣に回復魔法を組み込む件ですが……本当に宜しいんですか?」
アルテアの言葉に、チラッとニティアを見た後に首を縦に振るフィニス。
「今回みたいにアルテアが近くにいない時とか、やっぱり回復ができると安心だろうしな」
「……別に私は怪我したわけじゃないんだけど……」
結果としてフィニスを騙した事により、そういう考えにさせてしまった事に対して少しだけ責任を感じ、俯きながら答えるニティア。フィニスは小さく笑いながら、ニティアの頭に手を乗せた。
「いや、別に人に使わなくてもさ。例えば無茶な戦い方とかして大怪我しても、自分で自分を治せるわけだろ?」
「まぁ……そうかもしれないけど……」
「あ、でもフィニス。その回復魔法はどのレベルを組み込むんだ?」
「どのレベル?」
ルシオの言葉に首を傾げるフィニス。
「軽い傷を治す程度なのか、骨折とかそこそこの出血を治療する規模なのか……はたまた戦闘不能レベルを治療する大規模のレベルなのか……回復魔法は俺の盾では取れ込めないから、インターバルもわからないぞ」
「確かに……そうなると専門店に行って調べてもらう必要があるんでしたよね?」
ルシオの言葉に、アルテアは顎に手を当てながら小さく首を傾けた。
「あぁ、勿体無いしいいよ。組み込むのは戦闘不能レベルで。一度でも使えればそれでいいと思ってるし。もちろん!何度でも使えたほうがいいだろうけどさ、それを当てにしてたら、それはそれで俺の戦い方も雑になりそうだしな(笑)」
フィニスの言葉に小さく笑うアルテア。
「わかりました。私の最大級のものを組み込みますね」
「頼んだよ(笑)」
そう言い、一本の剣をアルテアに預けるフィニス。普段フィニスが両手で振り回している剣。普通の剣よりもやや短めであり、アルテア自身も杖を持ち歩いているため、軽い気持ちで受け取った剣の重みが、両方の手にのしかかる。
「っ!」
一瞬だけ剣の重さで受け取った腕が下がったが、すぐに受け取った高さまで持ち上げ、笑顔で応える。
「それでは始めますね」
「おう」




