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世界を救い、そして滅ぼした魔女ニティア  作者: 月白
第2章〜 ギルドと白い影
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41 双剣に宿す二つの誓い


 ギルドを出て、魔道具店へと向かうフィニスとルシオ。


「怪我人がよく飲んだな……っていうか、なんで魔導具店なんだ?」


 武器屋を聞いたのに、魔導具店を案内してくるルシオに疑問を抱くフィニス。


「酒は百薬の長っていうだろ!それに、あれ?フィニス強くなりたくないの?」


 ふわふわと酔っ払いながら答えるルシオ。もちろん強くなりたい。ニティアが魔法の研究をすると言ったのもおそらくその為だろう。

 武器屋を聞いたのも、それを分かっていたフィニスは、いち早く新しい剣を入手し修行をしたかったからである。


「そうだよ。だから早く新しい剣にも慣れたいから武器屋に……」

「甘いですなぁフィニスくん」


 そんなフィニスの考えを見抜いていたのだろう。ルシオはにやにやしながらフィニスへ身体を向ける。


「確かに、折れない武器。何でも切れる武器があれば、それだけで充分有利に戦えるだろうが……そんな武器なんてそうそう無いだろ?」

「まぁな……」

「そこで魔道具なわけだよ。俺の盾と槍みたいにさ」


 そう言って胸を張るルシオ。


「でも俺は魔力無いんだぞ?だから使えないだろ」


 少しだけ恨めしそうにルシオを睨むフィニス。しかし、ルシオだってそんなことは重々承知している。


「魔道具にはな、基本4つの種類があるんだよ」

「ん?」

「まず1つ目。魔道具自体が空気中の魔源(マナ)を吸収することで、永続的に魔法効果を発動するもの。これはこの間の遺跡の壁みたいなやつだな。ずっとうっすら光ってただろ?」

「あぁ確かに」

「あれはそのタイプだ。でもその代わり、吸収できるのなんて微細なマナだから、効果としても微弱な魔法しか発揮できない、まぁ一般家庭や便利グッズとして使われるタイプの魔道具だな」

「ふむ」

「そんで、2つ目。これが俺の持つ盾や槍みたいに、使用者の魔力を利用して効果を発揮するタイプの魔道具だ。一般的に冒険者が使うのはこれが多いかもな」

「でもそれは俺使えないしな」


 少しだけ偉そうになるルシオ。


「そこで、3つ目だ」

「3つ目?」

「使用者の魔力は使わずに、魔道具そのものが魔法を発動するタイプ!」

「なに!そんなのもあるのか!」

「まぁ条件があったりするけどな。一度使うと壊れるとか」

「ふむ」

「あとは、任意の魔法。例えば俺の盾みたいに、あらかじめニティアに魔法を込めてもらって、特定のタイミングで発動するタイプもあるぞ」

「めっちゃいいじゃんそれ!」

「でも、戦闘中に相手の魔法を吸収するとかっていう器用な方法では使えないし、一度使うと込めた魔力の量に応じて、数日や数ヶ月。場合によっては数十年使えなくなったりもするやつもある。他にも色々あるけどな」

「何とも言えない微妙さ!」

「まぁ、でもあるのと無いのだと全然違うぞ?特にお前みたいな魔力の無い戦士が1発でもいきなり魔法使ってきたら相手だってびっくりするしな」

「確かに……」

「まぁ、あとは4つ目だな。これはそうそうお目にかかれないけど」

「ん?」


 魔道具店の前についた2人。


「精霊の力を込められる魔道具だ」

「え?」

「もちろん、これも純粋な精霊術とは違って込められる力も一つ限りだけど……これは3つ目のとは違って、使用後のインターバルも短い……らしい」

「らしいって……ってか、もし持ってたらリヴァレーから力借りれたのかな」

「俺も見たことないからな。多分借りれたんじゃないか?気に入られてたみたいだし(笑)」


 話し終えた2人はドアを開け、魔道具店へと入っていった。


チリーン


 魔導具らしい少し埃っぽい匂いが店内を充満している。


「……」


 店の奥のカウンターには、店主と思われる老人が一度こちらを見た後、何も言わずに手元の書類に視線を戻していた。


「さてさて、いい感じの掘り出し物があるといいんだけどねぇ♪」


 陽気に店内を物色し始めるルシオ。とりあえずフィニスも武器の品定めを始める。


 異様な装飾が施されたナイフ。

 無駄に大きな石が柄に埋め込まれたロングソード。

 禍々しい模様のサーベル。


 近接武器だけでも様々なものが置かれていた。

 魔力を持たないフィニスには、どの武器がどんな効果があるのかもわからずに、まじまじと見ていると、一対の双剣がフィニスの目に入った。


「お、どれどれ……」


 ルシオがその双剣を手に取り、じっと見つめる。


「おじさん。これってあれ?変更ができないタイプのやつ?」


 ルシオが店主に声をかけ、店主がゆっくりと視線をあげた。


「一応……ガードの魔石を交換すれば変えられるが……」

「まぁ、そんなピッタリの魔石なんて無いもんな」

「うむ」

「もちろん未使用でしょ?」

「当たり前じゃ」


 2人のやり取りに首を傾げるフィニス。それに気づいたルシオが、その双剣をフィニスに渡す。


「これはさっき言った3つ目のタイプの双剣なんだ。ただし、この剣に込められる魔法は1種類のみ。一度魔法を込めたらその魔法が永続的にこの剣の魔石に記憶されるんだ」

「ん?んん?」

「まぁ、2つだけこの剣に魔法を登録して使えるようになるってことだな」

「なるほど!」

「もちろん強力な魔法ほどインターバルも長くなるけどな」


 双剣を構えたフィニスは一度大きく息を吸い、目を閉じる。

 思い浮かべるは、双剣を持った白髪の魔族と……天才魔法使いの泣きじゃくる顔

 双剣を握る手に力を込め、ゆっくりと目を開いた。


「これ、買えるかな?」


 ルシオがふっと笑う。


「その分働いて返せよな」


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