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世界を救い、そして滅ぼした魔女ニティア  作者: 月白
第2章〜 ギルドと白い影
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27/78

27 玉座


 城の中に入り、玉座の前の大きな扉の前に立たされる2人。

 先ほどの兵士が2人の元へ走ってきた。


「内容が内容なだけに……急な謁見を申し込んできた。くれぐれも粗相のないようにお願いします……」

「粗相ってなんだよ……」


 その言葉に身体をガチガチにして困惑するフィニスに、ニティアは小さなため息をつく。


「失礼な態度は取らないようにってこと。とりあえずは私の真似して」


 そう言い、開いた扉の中へ入っていく。


 玉座前まで歩いて行き、ニティアが片膝をついて頭を下げた。

 フィニスもニティアの真似をして、片膝をつく。


 王が険しい顔で2人を見下ろしながら口を開く。


「兵からジャヌスの件は聞いた。そんなことを知っているお主らは何者じゃ」

「私はニティア。そしてこっちはフィニスと申します。私たちは……えっと……」


 2人の名前を聞いた一部の兵たちがざわついた。


「陛下。横から失礼致します。ニティアとフィニス。この名前はジャヌス様の手紙によく書かれており。一緒に暮らしていた孤児の2人かと」


 手紙の内容を思い出したのか、王は頷く。


「なるほど……して……何があったのじゃ?」



 ニティアが時々言葉に詰まらせながらも、全てを王に伝える。

 一瞬の沈黙のあと、王の顔色が変わる。


「あのジャヌスが……なぜ……?これから隣国に……どうする……」


 ボソボソと独り言を始めた王が、突然2人の方に目を向けた。


「そういえば……ジャヌスの手紙には主ら2人のことがこう書かれていたな」


 フィニスの方をじっと見て……


「国の騎士にも匹敵する実力を持ったフィニスと、自分を遥かに凌ぐ才能の魔法使い……ニティアと」


 ニティアを見て笑った。


「どうじゃ?2人とも……王国騎士と王国魔導士となり、国のために働かぬか?」


 ジャヌスの死。そして今の反応に対し、違和感を感じたフィニス。片膝をついたまま口を開いた。


「申し訳ないが、それは遠慮させてもらいた――」

「陛下!その申し出は大変嬉しく思います!」


 フィニスの言葉にニティアが大きな声で被せる。

 ギロリとフィニスを睨むニティア。顔を再び王の方へ向け、話を続ける。


「私たちは、ジャヌスさんが殺された理由が知りたい。ジャヌスさんが調べていた魔女のことが知りたい。なにより、ジャヌスさんのように、困っている人たちを助けて、いろいろな世界を見てまわりたいと思っております。国に支えられることは大変名誉なことですが、まだ自分たちには何の実力も、実績もありません。なので、このお返事は今しばらくお待ちいただけたらと思います」


 ニティアがこんなに真面目に話せるのを初めて知った。そう感心するフィニスと、困惑した顔の王。

 続けてニティアが言う。


「陛下。ジャヌスさんの件を調べるためにも、私たちに図書館の使用をお認めくださいませんか?」


 まっすぐ王を見つめるニティアに、王はため息ついた。


「……よかろう。使用を許可しよう」


 その言葉に目を見開き、フィニスを見つめるニティア。

 今度は自分の番だなと言わんばかりに、ニヤリとニティアに笑い返した。


「陛下。俺たちも図書館で調べ物をしている間、この国……そして城下に貢献がしたいと思います!可能であればギルドの加入の推薦をもらえないでしょうか?」


 突然の発言に驚くニティア。フィニスが変なことを言わないかそわそわし始めた。


「自分はこの通り、礼儀も知らない人間。そんな人間が王国ギルドに入ったのでは、仮に推薦いただけたとしても、陛下の顔に泥をぬってしまいます!なので、まずは城下のギルドで世間を学び、国に貢献させていただきたいです」


 "国への貢献"この言葉に気分をよくした王は、それについても快諾してくれた。



 城を出た2人。

 ニティアは大きくため息をつき、その場にしゃがみ込んだ。


「緊張した……」


 その様子を見て笑うフィニス。


「お前……あんなふうに喋れたのな(笑)」


 その言葉にジッとフィニスを睨みつけた。


「図書館に連れてきてもらってた時に……ジャヌスさんに国の兵士や役人さんに失礼がないようにって教えてもらってたの!」

「あ、そうなの」

「それよりも……」


 視線を落とすニティア。


「国に貢献ってなに?最終的に……旅もやめて、家にも帰らないで……フィニスは王国騎士にでもなりたいの?」

「そんなつもりは毛頭ないな」


 その言葉にニティアは顔を上げ、ゆっくりとフィニスを見上げる。


「なんかさ……信用できなかったんだ」

「王様?」

「あぁ」


 フィニスはニティアから視線を外し、ゆっくりと城を見上げた。


「先生の死。悲しむと言うよりも……なんか違う心配と言うか。国のことを思っていたのかも知らないけどさ……何より、お前の魔力とかそう"力"に目が行ってた気がした」


 ニティアへと視線を戻すフィニス。


「だから、向こうが利用しようとするなら、こっちも利用しようと思っただけだよ」


 そう言って、フィニスはいつものように笑った。ニティアはそんなフィニスから視線を外し、胸元の赤い石を一度強く握りしめ、笑いながら口を開いた。


「でもさ……国のトップにそれはヤバくない?」


 一瞬の間。


「まぁ……なんとかなるだろ」

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