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世界を救い、そして滅ぼした魔女ニティア  作者: 月白
第2章〜 ギルドと白い影
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22 賢者の見ていた世界


 急に声をかけられ、驚いた2人。

 その声の主は、以前魔物から助けた行商人であった。


「まさかここでお会いできるとは!」

「あの時の行商人のおっちゃん!」


 その反応を見た店主は、ふっと笑った。


「ちょっと混んできたし、知り合いなら同じテーブルでいいかい?」


 構わないと言うフィニスと頷くニティア。

 フィニスが隣を空けて、そこに商人が座った。


「それでは、この方と同じ物を1つと、あとはワインをください」


 オーダーをした商人がニコニコ顔で2人に話しかける。


「いや〜…まさかもうお会いできるとは……あの時は本当にありがとうございました!ここは私が持ちますから、好きな物を頼んでください!」


 そう言って自分の胸をドンと叩く商人。


「もちろん、甘いものやデザートも、好きなだけ頼んでいいですからね!」


 その言葉にピクッと肩が反応するニティアに、フィニスはぷっと笑ってしまった。


「いや、ありがとうおっちゃん」

「あ……ありがとうございます……」


 商人は、前回会った時とは明らかに様子の違う2人を見つめた。

 こんな時間に、2人だけで食事をしているのも気になる。

 

「して……こんな時間に……どうかされましたかな……?」


 商人はワインを一口飲み、少しだけ言葉を選ぶように視線を落とす。

 目を合わせたフィニスとニティア。ニティアがゆっくり頷いた為、フィニスはここに至るまでの事情をゆっくりと話し始めた。



「そのような事が……」


 目に涙を溜め、ワインを一気に飲み干す商人。すぐさま店主を呼びおかわりを注文する。


「それで、世界を回る為に旅を始めたと言うわけですか……」

「……うん」

「……とりあえずは、先生がよく行っていた王都に行こうと思ってるんだ」


 その言葉を聞いた瞬間に立ち上がる商人。


「おおお!でしたら私の馬車に乗っていきませんか!?」


 突然の大声にびっくりする2人。

 商人はそんなことお構いなく、話を続ける。


「ちょうど、私もこの町での商いが終わり、王都に戻るところでして……。それに、助けていただいた際、次お会いした際にお礼は必ずすると言ったはずです。命を助けてもらったお礼が、この食事だけだなんて……商人としての名が廃れてしまう!」


 フィニスが少し間を置いた後、ふっと笑った。


「……?」


 ニティアは首を傾げていたが、フィニスはそのまま商人の手を取った。


「わかった、それじゃお願いするよ!」

「もちろんです!」


 そうして、翌朝に商人の馬車に乗り、王都へ行ことが決まった。



 店から出て、宿へ向かう2人。


「何で、馬車に乗って行けって言ってたときに笑ったの?」


 先に沈黙を破ったのはニティアだった。


「ん?……あぁ」


 一瞬何のことか分からなかったが、理解したフィニスがニティアに向かい笑って答える。


「いや、あの時さ。きっと先生も、たくさんの人を助けて、こうやって助けた人に助けられたりもして……そうやって世界を回ってたんだろうなって思ったら、なんか嬉しくなっちゃってさ」


 それを聞き、空に浮かぶ月を眺めるニティア。


「私たちも……できるかな?」


 同じように空を見上げるフィニス。


「それをやって行くんだろ」


 ニティアも優しく笑う。


「そうだね」

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