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世界を救い、そして滅ぼした魔女ニティア  作者: 月白
第2章〜 ギルドと白い影
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21 パンケーキの灯り


「そうかい……ジャヌスさんが……」


 お世話になった人達にジャヌスの死。

 そして、旅立ちの挨拶をする為、早朝から村を訪れていた。


「辛かったね……」


 そう言い、そっとニティアを抱き寄せる牛飼いのおばさん。

 目を赤く腫らしたニティアは、再び目から涙をこぼしていた。


「何か必要なものはあるかい?」


 道具屋のおじさんがフィニスに問いかけた。



「また近くに来たら寄るから!」

「本当に……おせわになりました……グスッ……」


 一通り、お世話になった人達に挨拶を終えた2人は、最後に大きなお辞儀をし、村を後にした。


 しばらく歩いたあと……


グスッ……グスッ……


「……いつまで泣いてんだよ……」

「……う゛る゛さ゛い゛」


 声が掠れているニティア。


「……ねぇ、フィニス……グスッ……」

「ん?」

「またいつか……あの家に戻ってこようね……」


 前を向いたまま歩くニティア。


 フィニスは一度だけ、村の奥にある家の方を振り返った。

 そして再び前を向くと、鼻を啜りながら歩くニティアの頭に、ポンと手を置いた。


「そうだな」


 2人はそっと笑い、歩き続けて行った。



 森を抜けた2人。


 辺りはもう薄暗くなり始めていた。


「やっと街が見えた……」


 つい先日、フィニス達が薬を売りに来ていた街が目の前に見えてきた。


「……疲れた」


 目を腫らしながら、とぼとぼと歩いているニティア。


「飛んで移動したほうが良かったか?」


 その問いに対して、ニティアは首を左右に振った。


「私も、ちゃんと見てまわりたい」


 その言葉にふっと笑うフィニス。


「それじゃ後少し、頑張ろうぜ」

「……うん」



 街へ着いた2人。

 すでに日は沈み、辺りは街を照らす灯りで照らされていた。


 ひとまず今日泊まる宿を取り、荷物を置いた後、食事をするために外に出る2人。


「……」


 いつもは明るい時間に物を売り、明るい時間に食事をして、明るい時間に歩いていた街並み。

 どうしても、ジャヌスと来ていた思い出が脳裏に浮かび、互いに無言。


 気がつけば、自然と、とある店の前で足が止まっていた。


 店の明かりがついていることを確認したフィニス。


「王都に行く前に、もう一度食べて行くか?パンケーキ」


 その言葉にニティアはゆっくり頷いた。


「食べる」


 ふっと笑い、フィニスが店のドアを開ける。


「いらっしゃーい!」


 賑やかな店内に響き渡る店主の声。


「……って、フィニスと……ニティアちゃん?!こんな時間に珍しいわね!」


 びっくりしている店主が、席に案内した。


「いつものでいいのかい?」


 無言でこくりと頷くニティア。


「それでお願いします」


 軽く頭を下げるフィニス。


「……ちょっと待ってな!」


 いつもの元気が無い2人に気がついた店主。

 しかし、それ以上何も言わずに、厨房の奥へと消えて行った。


 しばらくすると……


「はいよおまち!」


 いつもより豪華に果物が盛り付けられたパンケーキと、溢れんばかりの肉が挟まったパン。そして、温かい紅茶がテーブルの上に並べられた。


「とりあえずいっぱい食べな!」


 そう言い、満面の笑みを浮かべ、別のテーブルの方へと歩いていった。

 店主の元気な顔をみて、くすりと笑ったフィニスがニティアに視線を合わせる。


「食べようぜ」

「うん」

「ふわふわのやつを食べる前に、ちゃんと味覚えておかないとな」

「……うん」


 食べ始める2人。


「いらっしゃい!」


 しばらく食べていると、店主が隣の空いているテーブルに1人の男性を案内してきた。


 その男性がテーブルに着こうとする直前、チラッとフィニス達を見て、声をかけてきた。


「あなた達は……もしかして……?」

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