3
◆ ◆ ◆
―――……………!
意識の闇に、一筋の光が見える。
だれ、だれ、だれ。この名を呼ぶのは。この声の主は。
このくらい迷路の中で、誰が呼ぶの。誰が指してくれるの。一筋の道導を。
―――あなたを、愛しています……
静かに伝えられた言葉は、わたしが病だと分かる前。そして彼は言うのだ。
―――お前を愛したのが間違いだった
その瞳を、憎悪と悲しみに染めて。期待はずれも甚だしいとでも言いたげな憎悪の瞳と、どうしてあなたがとでも言いたそうな悲しみ。双方が入り混じり、怒りと恨みをわたしにぶつけるしかできなかった。だから、甘んじてそれを受けた。
―――あなたが病だからと……っ
泣き悲しむ両親になど、良心は痛まない。だって、育ててくれたわけじゃない。両親がわたしを育てたわけじゃない。ならばわたしが報いるべきは親じゃない。
たった一人の、あの人のために――。
―――大ばか者だよ、お前は……
あの人の悲しみと絶望に染まったあの瞳を、きっとわたしは忘れない。忘れられない。
いくらいいのといったって、あの人はその瞳をわたしに向けていた。
この病はわたしのものじゃない。だってこれは、血族の血を以てしてあの人の不治の病を引き受けたものだから。
肺結核――労咳とも呼ばれている病に似た症状だが、この病は現代でも治療法が見つかっていない病気。だから引き受けた。
あの人が死ぬなんて、考えられない。考えたくなんて、なかった。
けれど、あの人は死んでしまった。
わたしが、あの人の病を引き受けてしまったことによる、自責の念に苛まれて、その命を、自ら絶ってしまったのだ――――。
◆ ◆ ◆




