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星の栞 -慟哭するひとつの導‐  作者: 白石さくら
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     ◆     ◆     ◆



 ―――……………!


 意識の闇に、一筋の光が見える。

 だれ、だれ、だれ。この名を呼ぶのは。この声の主は。

 このくらい迷路の中で、誰が呼ぶの。誰が指してくれるの。一筋の道導を。



 ―――あなたを、愛しています……


 静かに伝えられた言葉は、わたしが病だと分かる前。そして彼は言うのだ。


 ―――お前を愛したのが間違いだった


 その瞳を、憎悪と悲しみに染めて。期待はずれも甚だしいとでも言いたげな憎悪の瞳と、どうしてあなたがとでも言いたそうな悲しみ。双方が入り混じり、怒りと恨みをわたしにぶつけるしかできなかった。だから、甘んじてそれを受けた。


 ―――あなたが病だからと……っ


 泣き悲しむ両親になど、良心は痛まない。だって、育ててくれたわけじゃない。両親がわたしを育てたわけじゃない。ならばわたしが報いるべきは親じゃない。

 たった一人の、あの人のために――。



 ―――大ばか者だよ、お前は……


 あの人の悲しみと絶望に染まったあの瞳を、きっとわたしは忘れない。忘れられない。

 いくらいいのといったって、あの人はその瞳をわたしに向けていた。

 この病はわたしのものじゃない。だってこれは、血族の血を以てしてあの人の不治の病を引き受けたものだから。

 肺結核――労咳とも呼ばれている病に似た症状だが、この病は現代でも治療法が見つかっていない病気。だから引き受けた。

 あの人が死ぬなんて、考えられない。考えたくなんて、なかった。



 けれど、あの人は死んでしまった。

 わたしが、あの人の病を引き受けてしまったことによる、自責の念に苛まれて、その命を、自ら絶ってしまったのだ――――。



     ◆     ◆     ◆




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