6歳になりました
エアトル家存続の危機茶会以降、夫人が張り切ってくれた。
セバスが家令に、アンが侍女長に昇格した。
ギャリクソンは、生物学上の父親が住んでいる別邸の家令となった。
夫人曰く「そんなにあの馬鹿が可愛いなら、身近で教育しなさいよ」との事だ。
そして、新しい執事と、それとは別に、お兄様には新しい従者がついた。
「エミリオ様!昨日も睡眠時間削って読書しましたね?!
何度言ったらわかるんです?!寝てください!チビのままで良いんですか?!」
「オマッ!それ関係なくねぇ?!」
「いいえ!関係あります!寝る子は育つ、と言いますでしょう!!」
「迷信だろ?」
「お兄様、ハジカミの話、あながち嘘でもないのですわ。寝てる間に体が成長するための準備をするのです。寝ないと準備出来ないのですわ(成長ホルモンとか言っても私が説明できないし)」
「ディまでハジカミの肩を持つの?!」
「違いますわ!私は、一から十までお兄様の味方です!でも、お兄様には体を労って欲しいのですわ!
疲れたお兄様ではなく、カッコいいお兄様で居て欲しいのです!!」
良く言った!!とハジカミが私に拍手しております。
「ユーディリア様に身長を追い抜かれたままで良いのですか!カッコいい兄の威厳が台無しです!!
そんなわけで寝室の本は片付けておきます。
さぁ、さっさと朝食を召し上がってください。
今日は記念すべき、辺境伯のお嬢様との初対面でございますからね!」
「いつも思うけど、ハジカミの態度は主人を敬う従者の態度と思えない」
「何をおっしゃってるんです!私ぐらいエミリオ様の健康を思ってる従者はいないですよ!
このぐらいグイグイ行かないと、エミリオ様言うこと聞いてくれないじゃないですか!」
「健康を、って限定しやがったな。
だから主人に言うこと聞かせようとする従者がおかしいんだって。
従者が主人の言うこと聞くんだって」
「失礼な!ちゃんとエミリオ様のお仕事のお手伝いしてますよ!」
ぎゃぁぎゃぁと言い合いながら食堂へ向かう二人。
そんな二人を見ながら、お兄様、丸くなったわぁ、などと感慨深くなってしまった。
「って、ディ?!なに微笑ましく見てるの?!違うからね?!」
「ウフフ。お兄様!大好きですわっ!!」
と、嬉しくなってお兄様に抱きついた。
「うん、全く脈絡が無いけど、そんなディも可愛いから許す!」
お兄様と二人でクスクス笑いながら食堂へ入って朝食を食べた。
朝食後、辺境伯のお屋敷へ伺う用意をする。
そう、私にも専属メイドが2人出来た。
セリとミツバである。
それからお兄様と私のための護衛として、サンショウとワサビが来た。
ハジカミと同様、辺境伯から来た人材である。
紹介された時「薬味一門?」とつぶやいてしまったのは仕方がないと思う。
しかし、何故か彼らはこの言葉が気に入ったらしく、お兄様と私に付くことになった人材をまとめて「ヤクミ一門」と呼んでいるらしい。
「セリとミツバは、辺境伯のお嬢様にお会いしたことはあるの?」
着替えさせてもらいながら尋ねてみる。
「ございます。
辺境の領地でお嬢様付きになれそうな子の募集がありまして、私とセリもそれに応募したんです。
そこで、辺境伯のお嬢様のパワフルさに付いて行ける子が領地のお屋敷に残ってそのままお嬢様付きに。
無理な子でも、希望者には別な場所への斡旋があるから頑張れと言われました。
どうしても無理なら、家に帰っても良いと言われまして。
辺境伯のお屋敷で見習いとして、メイドの仕事を学んだり、戦闘訓練を受けたり、あ、ですので、私もセリも一通りの護身術使えますよ。ユーディリアお嬢様に不埒な輩は近づけさせませんから!!
そう、戦闘訓練を受けたんですが、魔の森に初めて入って、魔獣と戦う辺境伯のお嬢様を見て、心が折れました。
当時3歳ですよ?!私達より5歳も年下なのに、レベルが違いすぎるんです。私達は足手まといなんです。私達を庇いながら戦うお嬢様を見て、この方のお付きはムリだと思いました。
でも、せっかくメイドの仕事を学んだし、可愛いお嬢様を着飾るのは楽しかったし、普通の騎士団位なら倒せるしで、別の場所を希望したら、もう少しメイドの仕事を覚えなさい、と言われて、頑張って、ここで雇ってもらえました。
んもう、ユーディリアお嬢様は可愛いし、お優しいし、私達が魔獣から守られるなんて本末転倒な事は起きないし、暗器の訓練も楽しいし、ここに来れて良かったです!
ね、セリもよね!
ですからお嬢様、一生、ついて行きますから!!」
ミツバは拳を握りしめ、セリは高速でうなずいていた。
……騎士団なら倒せるとか、暗器とか、ちょいちょい不穏な言葉があった気がするけど、大丈夫よね?




