娘を愛するまっとうな親、のはず
「いやぁ、うちの天使の破天荒なこと!
ありゃ多分、勇者の再来だな!15年以内に魔獣暴走が起きるぞ!
徴収されても平気なように、鍛えておけよ!」
「「はぁっ?!!」」
「だから、俺がコイツらに基礎を教えて鍛えるのは良いことだろう!」
辺境伯様は先生にどや顔で宣言するが、
「ええっと、情報が多すぎて、何がなんだか……」
私とお兄様は困惑してお互いに顔を見合わせてから、先生に助けを求めるように顔を向けた。
「ええ、全く言葉が足りてませんね!説明させて頂きます!
センバ一族の直系には、百年に1度の周期で、勇者の再来と言われる者が生まれます。
そうすると、大体その者が20歳になるまでの間に魔獣暴走が起きるのです。
魔獣暴走の対応のための神の采配か
勇者の再来が魔の森を刺激しすぎるから魔獣暴走が起きるのか。
まぁ、最近では、
百年もたてば魔の森の奥で魔獣が増えて来るだろうし?
勇者の再来じゃなきゃ魔の森の奥まで行かないし?両方なのではないか、という見解です」
そこまで先生が説明してくださった所で、辺境伯様が身を乗り出してきた。
「で、俺の愛娘、俺の天使が、多分、勇者の再来なんだな!
スゴいぞ!3歳で俺の身体強化をみて真似したし、そこから軍にちょこちょこ顔出して新人と一緒に走り始めたな、と思ったら、今年4歳で兎型魔獣を一刀両断したぞ!
天才で天使って最高だと思わんか!
そうだ!王都のお土産は新しい剣を買って帰らねば!いや、まだ体が小さいからな、タガーの方が良いか?でも身体強化出来るんだから、やっぱ剣だよな!いや、グリップとかの調整が必要だし、むしろ良い鍛冶屋がいたら連れて帰」「ストップ!!辺境伯様、まずは奥様に相談です」
良いですね?と、念を押して先生は続ける。
「勝手にやって、いつも怒られるでしょう?
もし、可能であるならば、王都にいる奥様にお二人をご紹介してくだされば。
そうすれば、辺境伯様がご領地にお戻り頂いても、王都のお屋敷に奥様の護衛がたんまりいらっしゃるでしょう。
1人ぐらい、お貸しください」
「テン爺、遠回しに俺に領地へ帰れ、と言っているか?」
「察して頂けてようございました。
辺境伯のお嬢様が勇者の再来なら、話は別です。
貴方が帰らないで、誰が勇者の再来を抑えるんですか。
今、魔獣暴走起きたらどうするんですか!
せめてあと10年は、魔の森の奥にお嬢様を行かせないで下さいよ!!一緒になってはしゃいで行かないで下さいよ!!ああ、奥様というストッパーの居ない辺境の地。恐ろしすぎる」
「なんか、大変な事になってるなら、僕達の事は、お構いなく?」
「「そんなわけ、行かないだろう!」でしょう!」
辺境伯様と先生の声がハモった。
「うむ、まずは、俺の女神と相談する。安心しろ!俺の女神は素晴らしいからな!
万事上手く考えてくれる!」
……つまり、丸投げですね?




