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41 残念な光景

「ではレクスさん、よろしくお願いしますね、ローパー討伐クエスト」

「ああ」


 ローパー、無数の触手を持つ魔物で、本来この辺りには生息していない魔物である。

 だが以前、闘技場に運んでいた魔物が逃げ出すという惨事があった際に、解き放たれていた魔物がまだ町の周辺に残っていたようだ。


 そして本日、レクスがこのローパー討伐クエストを選んだ理由は、もちろんファイを同行させないためである。


 無数の触手を絡みつけてくるローパーは、女性冒険者にとっては出来れば戦いたくない相手。

 そしてローパーは弾力のある柔らかい体を持つため、打撃攻撃が効きづらく、武闘家にとっては非常に戦いづらい相手である。


 つまり、このローパー討伐クエストに女の武闘家がついてこようとする可能性は限りなく低い…とレクスは考えた。

 しかし…


「それじゃあ師匠、ローパー退治、張り切っていきましょうっす!」

「いや、お前なんで行く気なんだよ。ローパーだぞ、ローパー」

「何も問題ないっす」

「触手絡みつけてくるんだぞ」

「自分はそういうの平気っす」

「駆け出し武闘家の打撃なんて、まず効かんぞ」

「そこは気合でなんとかするっす」


 レクスは理解していなかった。

 ファイは女の武闘家である前に、やたらと前向きすぎるおバカであるということを。


「じゃあ師匠、魔物のいる場所に…」

「来るな。お前はブロンズらしく薬草採取の護衛でもやっとけ。こいつが護衛探してたぞ」

「えっ? そういえばわたくし、そんなこと言いましたっけ?」


 レクスはシオンが薬草採取の護衛の話をしていたのを利用して、ファイをシオンに押し付けることにした。




 そしてやって来たローパーの出現場所。


「さあ師匠、いよいよバトルっすよ」


 結局ファイはついてきた。


「お前、何で来てんだよ! 薬草採取の護衛やっとけって言っただろ」

「それはもちろん分かってるっすよ。だからシオンちゃんにはこの辺で薬草採取してもらえば、護衛クエストと討伐クエストをとまとめてこなせるうえに、姐さんも師匠の雄姿を見られて一石三鳥っす!」


 ファイはローパーの出現するこの場にアナとシオンまで勝手につれてきていた。


「護衛対象をわざわざ危険な場所につれてくる馬鹿がどこにいる」


 ここにいた。


「ロ…ローパー? あわっ…わわわわわっ…」

「アナさん、大丈夫ですの?」

「あうぅっ、ロー…パー……」


 アナは冒険者ギルドにいたとき、しばらく意識がもうろうとしていたため、今回の討伐対象がローパーだということを知らないままここに連れてこられてしまった。

 そして先日、金貨八十枚で売られていた異界の書で、ローパーという魔物がとてもいかがわしい存在であるということを知ってしまったため、かなり怯えている様子。


「大丈夫っすよ、姐さん。この程度の敵、自分と師匠にかかればいちころっす」

「いや、お前は手を出すな。足手まとい…」

「じゃあ行くっすよ!」

「おいこら、待てっ!」


 そしてファイはレクスの言うことなど聞かず、勝手にローパーに突っ込んでいってしまった。

 その結果……


「うわぁぁっ! な…何するっすか! このっ、このっ、うわわわっ、わあぁぁぁっ!」


 ファイの攻撃はローパーには一切通用せず、ファイは実にあっけなくローパーの触手にとらわれてしまった。


「なんて予想通りな…」


 あまりにも分かりきった結果になってしまったことに、レクスはあきれている。

 そしてアナは…


「ファイさんがいかがわしい目にっ!」


 あのえっちな異界の書の内容と重ねてしまいそう思っているが、ファイのキャラもあってか、正直それほどいかがわしい光景ではなかった。


「師匠、これものすごくぬるぬるするっすよ。あひゃっ、あひゃひゃひゃひゃっ! く…くすぐったいっす! あひゃひゃひゃひゃっ…」


 ローパーに若い女冒険者が捕らえられているという光景にもかかわらず、ちっともエロさを感じないというこの状況に、レクスはさらにあきれていた。


「なんて残念な触手なんだ…」

「レクスさん、さすがにそれは失礼ですわよ」

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