38 ダンジョン攻略パーティー
新たなるダンジョンの出現により、そのダンジョンを共に攻略するパーティーメンバーを探す者が、今冒険者ギルドに大勢集まってきている。
そして新米冒険者である武闘家の少女ファイ・レディーゴも、そんなダンジョン攻略を目指す冒険者の内の一人である。
「もしかしてパーティーメンバー募集中っすか? 自分も参加したいっす」
「武闘家か? ランクは?」
「ブロンズっす」
「悪いが、前衛アタッカーは間に合ってるんでな。ブロンズを入れる余裕はない」
「そんなっ!」
冒険者のランクは、駆け出しのブロンズ、一人前のアイアン、そこそこ実力者なシルバー、上級冒険者のゴールド、そしてトップクラスに位置するプラチナ…と、主なのはこの五つ。
そして冒険者のパーティーでの役割といえば、剣士や武闘家などの前衛アタッカー、敵の攻撃を引き付け味方を守るディフェンダー、弓使いや攻撃系魔導師などの後衛アタッカー、そして回復や支援の魔法を使いこなす光属性魔導師…ヒーラーなどがあるが、その中で圧倒的に数が多いのが前衛アタッカーである。
ゆえにダンジョン攻略のために強いパーティーを組もうとしている者たちからすれば、前衛はそれなりに高ランクの者が十分にそろっているため、わざわざ足手まといになりそうな低ランクの者を入れる理由がないということである。
これが数の少ないヒーラーであれば、たとえブロンズランクであろうともあちこちから引っ張りだことなるが、余りがちな前衛でブロンズランクとなると、こういう状況ではさすがに需要がない。
「あのー、パーティーメンバー…」
「ん? うちはもう前衛アタッカーの枠は埋まってるんだが、ディフェンダーに転向なら…」
「自分、何でもやるっす!」
「……でも嬢ちゃんじゃさすがに無理そうか」
「何でっすか!」
「いやぁ、だって嬢ちゃん軽装だし体も大きくないし、そんなんで敵の攻撃受けたらやばいだろ」
「うっ…」
「まあ嬢ちゃんがシルバー以上のランクだっていうのなら…」
「ブロンズっす…」
「じゃあダンジョンに行くのはやめときな。命がいくつあっても足んねえぞ」
「そんなぁ……」
こうしてどのパーティーにも入れてもらえなかったファイは、一人で受付カウンターへとやって来た。
「ダンジョン行きたいんすけど」
「だめよ。ブロンズランク一人でダンジョンに入るのは認められていないわ」
冒険者がダンジョンに入る際には事前に冒険者ギルドで申請をする必要があるが、その際にダンジョンに入るための条件が満たされているかどうかが確認される。
それは低ランクの冒険者が実力に釣り合わない高難度のダンジョンに入ってしまうことで、死亡したり大けがを負ったりしないための措置である。
なおダンジョンに入るための条件は、そのダンジョンの難易度ごとにそれぞれ定められているが、まだ出現したばかりで難易度のはっきりしていないものに関しては、シルバーランク以上の者を含むパーティーが条件となっている。
「ダンジョンに入りたいのなら、誰かシルバーランク以上の人がいるパーティーに入れてもらいなさい…と言いたいところだけど…」
「どこも入れてくれないっすよ」
「じゃあまだパーティー組んでないシルバーの人を探して…って言っても、もう大体みんなどこかに所属してるかー」
そう、すでにほとんどのシルバーランク以上の者はどこかのダンジョン攻略パーティーに所属しているため、まだフリーのシルバーランク以上の者など残っていなかった。
ある人物を除いて。
「あっ、でもまだパーティ組んでないシルバーランクいたわね」
「ほんとっすか? 強い人っすか?」
「うーん、どうだろう。あんまり他の冒険者たちからは実力を認められてないけど、討伐クエストは結構難易度高めのものでも、いつもソロできっちりこなしてくるのよね」
「つまり隠れた実力者ってことっすか?」
「ああ、そういえば、これはクエストでじゃないんだけど、こないだオーガを倒したとかなんとか…」
「マジっすか? それもうゴールド以上の実力じゃないっすか。ぜひその人とパーティー組みたいっす」
「そう。じゃああの子に聞いてみなさい」
「あの子?」
「おーい、ベルー! この子パーティーメンバー探してるから、あとよろしくー!」
「はーい」
こうしてベルが他の受付嬢からファイのパーティーメンバー探しを引き継いだところにレクスがやって来た。
「というわけで、こちらのファイちゃんが一緒にダンジョン攻略してくれるパーティーメンバーをお探しなので、レクスさんどうですか?」
「よろしく頼むっす」
「組まねえし行かねえよ」
そして当然のごとくレクスは断った。




