6歳児 墓守の森編1
今月から、偶数月のみ水曜・土曜の週二回更新となります。
学業優先なので、支障が出たらこの試みを終わりにします。その際はお知らせ致しますので、ご了承ください。
強制休息日を終えて初日。
僕は今、冒険者ギルドの依頼板から墓守の森の収集系の依頼、季節の関係上採取できない物以外の依頼を片っ端から回収し、どの依頼を受けるのか受けないのかを決めている最中だ。
今日くらい程々にしておけよとも言われたが、そういう訳にもいかない。恐らく前世の精神的問題でああなっただけで身体は健康だったんだから、強制的休息日にされてストレスだったし、動きたい。
それに、採取系の依頼ばかり受ける彼も国からの依頼でいないし、収集系の依頼はたまる一方なので僕が消費しておかないと依頼主が困るからね。それに冒険者ギルドにある採取の依頼は、薬草について勉強した僕には大して難しくない依頼だ。
時間もかからず依頼を達成することができるから、大した負担にはならないからし、お金にもなるからね、受けたところで損にはならないし。
(あ、この薬草、孤児院裏の森にもあったなぁ。今時期ならこれくらいの量を採取しても、彼らの生活にも支障はないか)
これはあの子達用の依頼板に移動だなと考える。あそこの孤児院の子達は冒険者の素質を持つ子が多いからなぁ、出来そうな依頼からまず経験させてあげることが今出来る支援だろうからね。
でも、出来る依頼は良い経験になるけれど、命をかけるような無謀をさせるのは命を奪うだけで身にならない。何よりも偶然成功した時に自分の力を過信してしまう天狗にさせるだけだからさ、そこは周りの人間が言動で見せてあげないといけない。
間違っても墓守の森に行かないように依頼内容の場所の書き換えと、採取しすぎないように適量の表現を変えるように雷紀さんに伝えないと。
それから、しばらくは墓守の森での探索、戦闘での経験値を稼ぐことを集中的に行いたいからなぁ、僕が引き受けていた分の清掃系の依頼を一時的に彼らの依頼板に移行しておこう。
僕がこの街にいなくても継続できないようじゃ、この街から去った後、今の清潔感を保てず、この街が大変になるからね。
(……うーん、ギルドの職員の仕事量は多いし、これ以上仕事量を増やせばよろしくない状態になるのは目に見えているし……)
出来る支援として孤児院の三つ子らを学園に入れる。冒険者になるための支援をする。問題は冒険者になりたくない子の支援だったけど……、やっぱり希望者にはギルドの職員の勉強をさせるべきかな。
(おっと、思考が斜め上に行ってしまった)
休めと言われた期間中、僕は何をしていたかと言うと、休めの言いつけを破った時の方が怖いので数日大人しく過ごしましたとも。
すっかり綺麗になったゴールデンレトリーバーのコハク(琥珀色の毛並みをしていたため命名)とすっかり野性味を捨てたカラス君と戯れた、そんな休息日だった。
そうしたおかげで朱基さんから動いて良しとすんなりゴーサインが出たので、兼ねてから興味の対象であった墓守の森の探索に集中することができる日々がしばらく続くことになると思う。
理由としてその1、朱基さんと雷紀さんの4〜6歳のうちに入れておきたい鍛錬は終了したこと。
理由その2、次の段階に進むためには少し準備に時間がかかると言うこと。
理由その3、決め手として調合師の他に取りたい資格を取ることが出来、調合の学びもひと段落ついたから勉強時間も少なくなったから。その3つから、僕が次に何をすべきかを考えた結果がこうなった。
元々、分担で教わるとは言え、叔父様が僕の先生になるはすだったんだけどね? 思いの外僕よりもハッサク達の指導に熱が入ってしまったみたいで、圭介さんと手を組んで指導しているそうだ。
つまり、僕の鍛錬プランを考えているのは叔父様ではあるけど、現段階では先生と言えるのは朱基さんと雷紀さんだと言える。
なので、何もすることもないので経験を積むことにしたのである。
今日のお供は暇を持て余した湖波さんです。
珍しくソロでの依頼を(晴乃さんの主夫のお仕事が忙しく、相手にされず拗ねているためソロ活動)するらしく、狩活動は別行動でいいのでソロ活動の条件の1つである護衛の役割をしてもらえるかを頼み、快諾をもらったからだ。
もちろん、森に入れば別行動。湖波さんは、普段は手がかかるけど冒険者のスキルは、僕では超える壁が高すぎるくらい能力が高い人であり、足を引っ張ってしまうことは目に見えている。
「依頼は決まったか?」
「うん。依頼受理してもらってくるね」
受ける依頼と孤児院の子らに回す依頼を胸の前で抱え、受けない依頼は受理した後に返そうと考えていると、
「こっちは俺が返しとくな」
そう言って返事も聞かず行ってしまった。
(……そう言うとこだぞ! 晴乃さんが貴方の側にいるのはそう言うとこ! 無自覚なのがタチが悪い)
はあ……とため息をついた後、受付に行き、雷紀さんに孤児院の子ら用の依頼にするための修正箇所を伝えた後、依頼を手渡す。
それから受ける依頼を受理してもらって、湖波さんと合流して墓守の森の入り口まで一緒に移動するのだった。
討伐系の依頼を片っ端から受けている湖波さんとは一先ず別行動。僕はまず、受けた依頼を消費するために探索を使う。
事前に地図は頭の中に入れてあるし、描かれていた地図の範囲までは問題なく探索は使えているようだし、探索を使ってわかったことを1つできた。
ーー描かれていた地図以上に墓守の森は広いってことがわかったことは、大きな収穫だろう?
探索を使いながら、鑑定《品質》《魔物》《植物》を同時に使っていく。朱基さん曰く、僕はスキルを同時に使うことに長けているらしく、同時に7、8個スキルを使っても集中力を維持できることは珍しいことらしい。
(きっと、裁縫と札作りとか、ポーション作りとか短時間で大量生産するために集中することが多かったから鍛えられたんだろうな、きっとそう!)
それよりも! いまは依頼を消化することに集中しないとね。初心者向けの狩場で魔物種類は少ないとは言え、油断は禁物だからさ。
夜にはタチの悪い魔物がいるのも事実だからとりあえず今日の目標は、依頼をできるだけ消費することだからね。安全第一だよ。
墓守の森にいる魔物は3種類。
ゴブリン、ゾンビ、……そして1番タチが悪いのは物理攻撃の効くことがない幽霊の3種類だ。だから、経験の浅い僕はここで夜に野営をしない方が良いってことだ。
幽霊が出るのは前世でもお決まりの夜。ゴブリンが眠ることで目覚める。それまでに僕はこの森から出なくてはいけないからね、鑑定全種類をフルで使って、採取系の依頼を済ませないといけない。
「さっさと終わらせるかな」
独り言を呟いた後、探索の能力を最大限に活かしながら依頼に書かれた薬草を探していれば、早速依頼に書かれた薬草を発見し、出来るだけ品質が良いまま維持できる方法で採取をする。
(……やっぱりあんまり品質が高くないな。この森の土壌の問題か、それとも僕らが育てたものが以上に高くなっているだけか……よくわからないな)
しかし、相場の高いものを混ぜる訳にもいかないだろうし、そうなると依頼もそれに伴って上がっていくだろうから温室から採取して楽しちゃダメだよね。
あんまり1カ所から採取しちゃうと生態系を壊しちゃうし、次の採取候補場所へ移動しよう。
そう考えた瞬間、壊れたドアのような鳴き声が近くから聞こえた。後もう少しで来る、来る方向は分かっているから、そっちの方へ体の向きを向けて姿が見えるのを待つ。
(やっぱり、君か)
「僕は君の弱点を知ってるよ。……君の正しい戦い方も知っている」
(とある勇者の話で読んだからね)
「もう、眠れないことに苦しまなくて良いんだよ。おやすみ、ゾンビ」
アイテムボックスからポーションの入って風船を取り出して、ゾンビの頭を目掛けて投げ、ぶつかった衝撃で風船が割れ……。
ゾンビの頭が一瞬で弾けた。
それでもゾンビは動く。前へ前へ進もうとした。
「来世ではゾンビにならないことを祈るよ」
そう呟き、キューブの真ん中についているボタンを押し、銃に変化させた後、氷の弾でゾンビの心臓を貫いた。




