6歳編 その10
次の日の朝。
僕はいつものように、4時半に起床する。
まずは、ステータスのチェックから始める。
☆血縁スキル
・成長ーーーレベル35
・育ちの手ーレベル40
☆先天性スキル
・テイムーーレベル35
・探索ーーーレベル25
☆後天性スキル
・速読ーーー レベル50
New製薬ーー レベル1
New香水作成 レベル1
New札結界ー レベル12
New札術ーー レベル5
New創作ーー レベル10
New修復ーーレベル10
・鑑定《品質》ーーー レベル35
・鑑定《魔物》ーーー レベル35
・鑑定《植物》ーーー レベル40
・威圧ーーーーーー レベル20
・魔法武器《銃》ー レベル34
・魔法武器《弓》ー レベル32
・変声ーーーーーー レベル30
・隠蔽ーーーーーー レベル32
まあ、昨日は製薬と香水作成はしてないから、レベル1なのは予想していた。
……こう見るとまあ、後天性スキルに偏ったステータスであることは丸分かりだ。
やっぱり、後天性スキルの隠蔽は最低でも、レベルを最大値にしないとまずいかもしれないな。
さて、ステータスチェックは終わりとして、次はあの子達を起こして、温室の管理をしに行かないといけない。
寝起きがいい組(意外にもサクアとククル)を起こした後、他の子達を起こすようにと頼み、僕は温室へと移動する。
製薬のレベルを上げるため、水やり用の回復ポーションを製作し、丁寧に、そしてできるだけ早く水やりを済ませ、朝食を作るまでが朝の一連の流れである。
全ての支度を済ませ、現在7時半を少し過ぎた頃、少し一息ついていると叔父様でも、圭介さんでも、朝陽くんでもない足音が聞こえる。
殺意がないから、叔父様が中に招き入れたんだろうな。僕に用のある人が今日訪ねてくる予定でもあっただろうか?
「零様」
「ああ、雪兎さんね。誰かと思ったよ。今日は調合の勉強の日でしょ。わざわざどうして……?」
後、30分もしないで雪兎さんとの勉強会で顔を合わせると言うのに。
「命じてください」
……何を? どのように命じろと??
「……私は、王家に忠義はありません。ですから、あなたの命令で動きたい。……ただ一言、私に申してくださいませ、第一王子を毒から助けろと!」
……命がかかっているんだから、何をこだわっているんだと叱るべきなんだろうけど……、彼の境遇は知っている。
王家に恨みがあることも知っていた、それでも薬師として役目を果たそうとしている。
ここには、瞬間移動と言っても過言ではない運び屋の彼がいるし、重篤な状態であったらここには寄らず王都に行っているはずだから。
「雪兎」
ご希望に添えて命じてあげよう、普段面倒を見てくれているお礼をあげないといけないからね。
「第一王子の命を助けなさい、これは君の主人である僕の命令だ。……できるね?」
「もちろんでございます、すぐに貴方の命令を叶えて見せましょう」
清々しい顔になったね。
この一言で、雪兎さんが命を助けなかったことを後悔しなくて済むのならそれで良い。
彼には、ここに寄り道をしても確実に命を助けられるくらいの速さで移動できる友人がいるから、王子を絶対に助けてくれるはずだ。
※※※※※※
「満足したろ? 行くぞ」
和羽はこの屋敷の玄関で待っていて、私の姿を捉えたと同時に内心を読んだからのようにそう言いました。
彼は知っています、私が王家に対してどんな感情を抱いているかを。
ですから、私のこの行動を止めなかったのです。
それに、この行動を止めなかった理由は他にもあります。それは和羽には第一王子が毒が回る前に、そして後遺症が出る前に私を現場に届ける自信があったからだとも言えます。
「ほら手、寄越せよ。……一瞬で届けてやるから、お前を人殺しになんか俺がさせない」
彼の移動は、〝一瞬〟なのだから。
彼が行ったことがあるところへの移動は、まるでドアを開けるかのように一瞬で望んだところに向かうことが出来るのです。
それが彼の先天性スキル『瞬間移動』。誰かと移動する際には彼の体の一部に触れている必要があるので、彼はスキルを使うときに手を寄越せと言うのです。
「ん」
差し出した手に自分の手を乗せれば、和羽は息を吸うようにスキルを使いました。
何度このスキルを体験しても慣れず、条件反射で目を瞑れば、次に目を開いた時には倒れている王子がいる教室に着いていていました。
さすが、『瞬間移動』ですね。
「要請に応じていただき、感謝する」
王子の護衛兼執事である、彼の親衛隊隊長は淡々と一言そう言いました。
君はいつもそんな感じの人でしたね。ですが、愛想はあまり良いとは言えませんが、君は一回も平民だからと差別したことはない、そんな人です。
だからこそ、君を悲しませたくないから、君が側にいる王子が毒殺されそうだと聞いて要請に応じると決めました。
友人のためとは言え、油断すると復讐の気持ちが戻ってくることが怖くてたまりませんでした。
……だから、零様に頼りました。
私が貴族の中で友人と慕うのは君だけですが、私の主人は零様だけ。零様の言葉があれば、復讐心に負けることは絶対にあり得ないことですから。
「緊急依頼を受けましたのは、友人である君の主人だからです。君を悲しませることは、王子であろうと許せないことですからね。……勘違いしないでください、依頼をしてきたのが君であったからと僕の主人が〝王子のことを助けよ〟と命じられたからここに来たのです。本当は癒しの位の方々に頼んだらって断れたら楽でしたのにね?」
「……それは重々承知だよ、王家は。俺がいたから君に依頼をしたのだから。そうでなければ、王家の代替わりと取引しない限りは依頼を受けないだろう? それを受け入れざる終えないことをしたこと、王家は理解しているからこそ君に依頼はしない。……お前は本当にタチの悪いことを言う、癒しの位の方々は身体や心を癒すお手伝いは出来ても毒や麻痺の状態回復が出来ないことを理解しているだろう?」
わかっていればいいんですよ。
君の関係者だから依頼を受けるんだと理解していれば。
タチが悪い? ふふっ、そうですよ? 知りませんでしたか? わかっててそう言ったんです。……あの方々が状態回復が出来ていれば、僕は家族と幸せに暮らせていたかもしれないと言う、もしもこうだったらと言う考えからくる嫌味ですよ。
そう嫌味を言ってしまいたかったけど、この友人には関係がないことだ。彼は緑水の位に仕える分家であり、何もしていないのだから八つ当たりはいけないと内心だけで嫌味を留めておく。
「確実に治せるのは、君しかいないと理解していてもな。自分達はそれくらいのことをしたと理解しているのだから。……王子のことを頼む。この方を助けられるのはお前しかいないんだ」
……僕の腕くらいの人材は、この国には十数人いるはずですからつまり、彼が求めているのは口に閉ざされた血縁スキルの方……。
「……友人サービスだからね」
私は彼の言いたいことを理解し、王子の近くに行き、胃がある辺りに手を置いた途端、その瞬間、何故彼が僕に血縁スキルの方を求めてきたのかがわかりました。
内心、なぜと言う疑問が頭の中でぐるぐると回りながらもなんとか切り替え、
「……『状態回復』」
同時に診察のスキルを発動させながら、神経をスキルを使うために費やすことが出来ました。
淡い光が、胃の中の毒物を吸入するかのように優しげな光が治療が進むごとに毒々しい光に変化していくのが目に見えてわかり、命が救えたことに一安心しました。
王家であろうと、患者には変わりません。それに、彼はここに生まれたくて生まれた訳ではありません、恨むべきなのは彼の親世代だけなのだから。
この子は王家の人間です、……それでもこの身体がどれだけの苦痛を味わっていたのか光から感じ取った時、この子もまた被害者だったのだと思うことが出来ました。
次に、彼が抱えている体質。
そして、彼が持つ命の危険すらある貴重な才能。
これは、同じ性質を持つ私だから気づくことも出来ました。
そう考えているうちに光が徐々に消えていき……、完全に毒が抜けたと同時に光は消え、僕は友人である彼に飛びかかるように胸ぐらを掴む。
「どういうつもりだ!」
僕は滅多に声を荒げることがないから、焦ったように遠くで治療を見守っていた和羽が駆け寄ってきて、胸ぐらを掴む手を掴み、
「何があった、落ち着け!」
宥めようとするが、私の気が収まりませんでした。
「どうして、王家の人間が僕と同じ血筋を持っている! 答えろ! 僕の血筋は僕が死ねば途絶えると決まっていたはずなのに!」
予想外の出来事に声を荒げることでしか、動揺を隠す手段が思い浮かばなかったのです。
空野雪乃です。
思った以上に雪兎視点が長くなりそうでしたので、続きの話も雪兎視点から始まります。
よろしくお願い致します^ ^




