6歳編
あれから2年が経った。
冒険者に絡まれてから周りの過保護さは加速し、あの日以降から鍛錬はさらに厳しくなってしまった。
当時のステータス状態はこんな感じだった。
↓
☆血縁スキル
・成長ーーーレベル6
・育ちの手ーレベル8
☆先天性スキル
・テイムーーレベル5
・探索ーーーレベル6
☆後天性スキル
・速読ーーーレベル10
・栽培ーーーレベル15
・調合ーーーレベル8
・調理ーーーレベル8
・鑑定《品質》ーーーレベル9
・鑑定《魔物》ーーーレベル3
・鑑定《植物》ーーーレベル8
そこら辺にいる子達にでも、負けてしまいそうなくらいの弱さだった僕。……でしたが、なぜかさらに過保護になった朱基さん、雷紀さん、叔父様のバージョンアップした修行によって予定していたスキルレベルよりも、強くなりすぎてしまった。
過保護になったのはその3人だけではなく、雪兎さんも和葉さんもで、かなりの量の調合師に関わる知識を2年間で詰め込まれることになった。
(……別に僕が絡まれたわけじゃないのになぁ、どうしてここまで過保護になる必要があるんだろうか)
厳しく鍛錬(どのくらい厳しいかと言われると、リアルで血反吐をするレベル)する割には、討伐系のクエストは保護者同伴または圭介さんの同伴がなければさせてくれない。
戦わなくても、せめて薬草採集を……って思ったんだけどそれすらも保護者同伴または圭介さんの同伴なければさせてくれない。
こっそり行こうとすれば、周りにいる冒険者たちに「姫はそんな物騒なことをしなくて良いんです!」なんて言って、討伐系の仕事は奪っていくんだよ。
なんなら、僕の席をわざわざ開けて、寒い日は膝掛けにあったかい飲み物まで用意してくれる。お姫様対応にもほどがある。
(……僕も一応、冒険者なんだけどねぇ)
同伴って言うのは、見張りとしてではなく、例えば圭介さんを例にして言えば、圭介さんもチームとして加えて、攻撃可能な状態じゃないといけないってこと。
そしたら、危ないから見てろと言わんばかりに、圭介さんが討伐対象を全て倒してしまうじゃないか。それが護衛だからね。
だから、受けられたのは緊急クエスト用のギルドからの調合依頼、普通の調合依頼、やらなくて良いとはいわれるけど町の清掃の依頼をやったりとかね。
ここまで強い冒険者しかいないと町の清掃を依頼として受けることは少なく、それもあってかこの町の衛生環境は良くない。
本来ならば、この街を管理する貴族の血縁ではないのだから、介入すべきではないことだ。
しかし、ここには子供も多いし、孤児院も多い。免疫力が低い彼らのためにも綺麗にし、尚且つ生活が楽になる方法は何か。それは朱基さんと相談して、町の清掃の依頼のみ孤児院の子らでも受けられるようにしてもらうことだって。
孤児院の子らが受けられる依頼は、寄付で依頼板を製作し、そこある依頼だけとした。依頼を受けるためには本人とその子が所属する孤児院の責任者の名前を書くことで、依頼が成立するシステムとした。
違約金はなしと言うことで、調合依頼が少なければ、子供らがしっかりやっているか見守る意味でも、同じく依頼を受けている孤児院の子らと一緒にやったりね。
少しでも、国民の皆が過ごしやすい環境になれば良いと思うんだ。それは、自分の領民だけとかは関係ない。
有栖家は貴族内を束ねる貴族の人柱だからこそ、人として純粋に国民の皆の幸せを願いたい。
貴族だから、周りが過保護になるのもしょうがないよ。しょうがないかもしれないけど、そろそろソロでの冒険者活動を許して欲しいの! 圭介さんの護衛付きで良いから、危ない時は手を出しても良いから、実戦をさせてほしい。
僕だって、そろそろスキル上げだけじゃなくて、実戦の経験をしたい。僕は、攻撃系の先天性スキルを持つ努力している他の貴族には勝てない。
だからこそ、実戦経験を積みたい。
現段階のスキルレベルがあれば、夜光の森や墓守の森なら、無茶をしなければ危ないことはないはず。
今の僕のステータスはこれくらいになっているんだから。
↓
☆血縁スキル
・成長ーーーレベル35
・育ちの手ーレベル40
☆先天性スキル
・テイムーーレベル35
・探索ーーーレベル25
☆後天性スキル
・速読ーーーレベル50
・栽培ーーーレベル50
・調合ーーーレベル30
・調理ーーーレベル50
・鑑定《品質》ーーーレベル35
・鑑定《魔物》ーーーレベル35
・鑑定《植物》ーーーレベル40
New威圧ーーーーーーレベル20
New魔法武器《銃》ーレベル34
New魔法武器《弓》ーレベル32
New裁縫ーーーーーーレベル35
New変声ーーーーーーレベル30
New隠蔽ーーーーーーレベル32
威圧は2年前のあの日、冒険者に絡まれた後、手に入れた。
変声と隠蔽については、手に入れたのは朱基さんとの鍛錬であったが、それからは実際に古参の冒険者さんとの実戦訓練で鍛え上げたものだ。
孤児院の子らとの清掃活動ではリーダーシップ性のある兄貴分のような少年を演じ、変装をする。
ボランティアでの学習指導では落ち着いた敬語を使う少年に、絵本の読み聞かせでは聡明な令嬢を、調合や植物の育て方については有栖零として指導をするようにした。全て隠すステータスを変えて、2年間手を開いている時間に行い続けたことによる努力の賜物が『変声』や『隠蔽』のレベルに出てきている。
勉強を教えていたのもあるし、朱基さんや雪兎さんとの勉強もあり、速読がレベル50まで上がったが、それ以降から全く上がる気配がないのは、後天性スキルの限界値は50と言うことなんだろう。
ここまでレベル上げが出来たのも、レベル上げがしやすい小さい頃から鍛錬できるように手配してくれたお父様、鍛えてくれた皆のおかげだって理解しているからこそ、それを無駄にしないために僕は実戦がしたいんだ。
「叔父様、そろそろ僕のソロ活動を許してください。僕は他の人より努力しなければ強くなれない、だからこそ誰よりも実戦での経験が必要だと思います。居場所特定の道具だって付けます、通信機の道具も持ち歩きます。なんなら森の入り口まで護衛付きで行ったって良い、だからそろそろ討伐系……いや、せめて採集系の依頼を受けさせてください。お願いします」
最敬礼まで頭を下げて、叔父様に頼み込む。
「駄目……「いいんじゃねーか? 姫は無茶をするようなタイプじゃないし、姫のいうことも一理ある。ここまで努力と気力だけで強くなったんだ、2年前のか弱いだけの姫じゃないぜ。信用してやれよ」
拒否をしようとする叔父様の言葉を遮るように、Aランクチームの1つであるリーダーが言った。その後、続けてそのチームの副リーダーが、
「お前がここまで姫に対して過保護になるのも、理由を知っているから気持ちもわかります。それに、姫は国民優先に考える貴重な貴族です。私もそんな彼を失うことは惜しいとも思っています。だから、彼がこうして言いだすまでは、そろそろソロでの冒険者活動をさせた方が良いとお前に助言をすることを控えてました」
叔父様の言う通りにしていた理由を話した後、彼はこう話しを切り出した。
「そろそろ、彼の今あるスキルは実戦でのレベル上げが必要な時期になっていると思います。うちのリーダーが言うように、季水のように無茶をするようなタイプではありませんし、自分の身の丈に合わないような行動をするような子ではありません。……そして、年上からの助言を突っぱねるような子でもありません。これはまだやめとけと言われたら、理由を話せば了承する素直な子です」
「それはっ、そうだが……!」
「夜光の森や墓守の森以外に彼を見つければ、即刻連れ帰ることを約束しましょう。もし、彼が拐われるようなことがあれば、私たちチームはすぐに探索チームに名乗りをあげることを約束します。なぜそこまでするか、姫が生き抜くためには実戦経験をしておくことは必要不可欠だからです。だから、姫のためにそろそろ、ソロでの冒険者活動を許してやってくださいませんか」
僕の言い分を擁護してくれた。意外にも、他の冒険者たちも同意を示すように、うんうんと頷いてくれていて、僕がこう言い出せば擁護するつもりで皆は居てくれたんだと今初めて知った。
多数対1人ではこれ以上は無理だなと呟いた後、
「……わかっていた、このままでは自分の判断が零の命を危ぶませるって。……1年前から朱基さんと雷紀さんには言われていたんだ、そろそろ実戦をさせろと。それを引き延ばしてきたのもそろそろ限界だろうし、零は夜光の森と墓守の森では死ぬようなレベルではなくなったし、この2つの森での採集依頼を受けることん認める」
「……叔父様!」
「……ただし、討伐依頼は採集依頼に慣れてからだ。その代わり、無茶をしないこと! 俺が認めた場所以外の依頼は受けないこと! 森の入り口までは護衛を付けること! 居場所特定、通信機の道具を付けること! この約束全てを守ることが条件だ。いいな?」
「はい! 叔父様、ありがとうございます! 冒険者の皆さんもありがとう!」
満面の笑みを振り撒けば、冒険者の皆さんは照れたような顔しながら、ぎこちない笑顔を返してくれた。
「零。今のお前は、セミロングまで髪を伸ばし、後ろでくくっていることで見た目はさらに女の子さが増している。そんな状態で愛想を振りまくんじゃない、危機感を覚えろ。……だから、姫呼びが定着するんだ」
あーあ、厳重注意されちゃったよ。まあ、本気で怒ってないあたり、ここに所属している冒険者たちを信頼しているんだろうけど。
それはまあ、置いといて。やっと許された、ソロでの冒険者活動だし、実戦での経験値を地道に、コツコツと頑張っていくぞ!




