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ほのぼのと7日目あんど8日目!

 

『続きましては、従魔のスキルレベルアップのお知らせです。ハッサクの調合のスキルレベルが、27に上がりました。……レベルが上がったことによる効果は今回はありません。ハッサクの信頼度が70に上がりました』


 続きまして、と脳内に響いた後、


『次にサクアのお菓子作り、共食いのスキルレベルが29に上がりました。レベルが上がったことによる効果は今回はありません。サクアの信頼度が70に上がりました。

ククル、ハルク、リリア、シアンの信頼度が50に上がりました。……この4匹につきましては、ハッサクとサクアとも違い、信頼度が上がれば手に入るスキルも存在しません。その点もお気をつけてください』


 どうやら、スキルレベルアップのナレーションも終わったようだ。明日は水やりしてから遊びに行く予定だから、早く寝ないと。


 ※※※※


 春の28日。

 寝ぼける僕の家族達を起こした後、朝食を手早く作り終わらせた。

 朝食メニューはこれだ。ハムエッグ、野菜スープ、パンを叔父様の分まで用意し、ゆっくり食べた後、出かける支度を整える。


 昨日作った回復ポーションを、普通の水が入ったジョウロに入れ、温室中に水撒きをしていると‥‥、


「おはようございます、零姫。お早いお目覚めですね。春中盤とは言え、まだ朝は冷えますから、この上着を着てくださいませ」


 圭介さんの早い到着と態度の丁寧さの違いに驚きながら、肩にかけられた上着に腕を通していると、「ん?」と彼は呟いた後、すぐに、


「零姫、いつのまにかテイムをしてらっしゃったのですね。1匹、緑色のもふもふが増えたのですね。お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」


 とそう聞いてきたから驚いた。昨日のように、全員が全員姿を隠す時と、何らかの理由から誰かに見えるようにしている時もあるのかぁ。

 その基準はどこから来ているのかは、この子達じゃないからわからないけれども。


「おはよう、圭介さん。そちらこそ早いね、眠かったりしない? 大丈夫?」


「平気ですよ、零姫」


 僕の心配をよそに、圭介さんは爽やかに笑った。幻覚で見えているわけではなさそうだ。

「それから、上着ありがと」と感謝の気持ちをまず伝えた後、彼から投げかけられた質問に答えることにした。


「その子はククル。……他にも3匹いるんだけど、この種族は臆病な性格みたいでね、姿を隠す力を持っているんだ。叔父様にはどの子も全く姿を見せない状態だったから、驚いたよ」


「そうなんですか? 理由はわかりませんが、嬉しいですね。ええ、勿論です。他にはどんな子がいらっしゃるのですか?」


「他にはオレンジ色のもふもふのハルク、コバルトブルーのもふもふのリリア、紫色のもふもふのシアンがいるよ。……慣れてくればきっと、ハルクとリリアには会えそうだけど、シアンは特に臆病な性格みたいだから、気長に待ってあげてよ」


 そう話しながら、相変わらず僕の頭上に乗るのが好きなククルは、何となくの感じだが、とても上機嫌なように感じた。

 圭介さんが気に入っているみたいだね。まあ、僕から離れる気はないみたいだけど。


「そうなんですか。了解しました。ちなみに今日のご予定にご変更はないでしょうか? 確か孤児院、学校の訪問でらっしゃったと思うのですが、そちらでよろしいですか?」


「ないよ」


(あ、ジョウロの水なくなっちゃった‥‥)


 水保管機能がついたジョウロから、ジョウロに水を移し、マジックバックから回復ポーション(小)を取り出し、ジョウロに入れようとした瞬間‥‥、慌てたように圭介さんが蓋を開けようとする僕の手を止め、


「そんな高価な物をなんて使い方をするんです⁉︎」


(‥‥と言われてもねぇ。これは僕が調合した回復ポーション(小)だし、そこまでお金がかかっていないんだよね。まあ、僕が調合したものだって知らないから尚更、こういう反応するのは当たり前か)


「これは僕が栽培した薬草から、僕が調合したものだよ。実験で、手間をかけて調合したから、市場で売るには相場を狂わせてしまうからね。安心してほしい、お金の無駄遣いはしていない。……お蔵入りになりそうなところ、閃いたからこうしてまた実験をしているんだ。止めないで」


 そう説明すれば、渋々と言った様子で僕から手を離していき、


「相場を狂わせてしまう、それはもっともなご意見です。しかし‥‥!」


 と何かを言いかける途中、僕は人差し指を自分の唇に当てれば、圭介さんはその先の言葉を飲み込んでくれた。


「孤児院や両親の病気により働けなく、貧困な人に寄付したらと言いたいんだろう? 一時的な効果は確かにある。しかし、貧困層が住んでいる地域は衛生環境が悪い。それはまた、病気になる原因となりうることなんだ」


「ただ、援助しただけでは状態は変わらないということですか?」


「……そういうこと。それを改善しない限りは、回復ポーションの寄付は一時的な効果としかなり得ないと思う。まず始めるべきは、衛生環境の改善だよ」


 遠目から見た感じ、所謂スラム街の衛生環境はあまり良くはなかった。政治的には行き届いているけど、衛生環境にはあまり手が加えられていないように見える。


 有栖家が管理する土地では下水道にはスライムを住まわせている。

 スライムは雑食だ、そしてこの世界ではお掃除屋さんと言われている。それはゴミや下水といったものを綺麗に食べてくれるからだ。

 しかし、人の目が届いてないとただの野生のスライムでしかない。そうならないため、スライムマスターを雇い、管理してもらうのが基本だね。

 

 スライムマスターとは?

 スライムを管理し、スライムを判別でき、なおかつスライムから好かれるのを条件になることが出来る。

 スライムの飼育係みたいな役割の人

 先天性スキル

・コンタクトーーーー魔物と会話し、指示ができる。

 このスキルを持っていることが最低条件。

・スライム判別は知識を得て、経験を積むことにより、判別ができるようになる。

・スライムに好かれるだけではなく、魔物に好かれやすいのが理想かな。

・テイムのスキルがあると尚更よし。


 ゴミを食べるスライムと、下水を洗浄してくれるスライムは種類が違う。それを見分けられるのもスライムマスターだけだ。

 スライムによる衛生環境の整備を行うためには、スライムマスターを雇うしかない。

 他にも衛生環境の整備の仕方はある。しかし、最もこの街に向いているのはこの方法だろうね。

 1日、見て回った感じ、掃除はされていた。掃除はされていても、利用者の使い方が悪い。


 だから、問題は貧困層だけの問題じゃないよ。この街は僕が住む領地と比べて、全体的に衛生環境が悪すぎる。

 衛生環境が原因となる感染症はないわけじゃない。誰か1人がかかれば、強く伝染してしまう感染症だったら? それはこの町全体の問題になるよね?

 回復ポーションの寄付をしたくないわけじゃない。ただ、まだその段階ではないと言いたいだけなんだ。


「そこまで汚くはないと思うのですが‥‥」


 はぁ‥‥。もしかして、他の領地もそんな感じなんですね、そうですか。


「あんまりね、他の領地の口出しはしたくないけど、このままだったら感染症になるよ。有栖家の人間の趣味は調合だから、視野を広げるために多少の勉強はしたけど、衛生環境は大事だよ。

まあ? ここは僕の家系が管理する土地ではないし、発言をする権限もないから、独り言していたと捉えるのも良し、行動するのも良し、好きにしたらいいよ。

それと圭介さん、僕は聞かなかったことにするけど、普通の貴族・・・・・なら、やろうとすることに意見や反抗するだけで不敬罪になるんだから、気をつけてよ。貴族の中では、有栖家のような考え方をする人は数少ないんだからさ」


 感染症の伝播性を舐めてかかると痛い目に合うんだから。そうなる前に、衛生環境を正した方がならなくて良い病気にかかることを未然に防ぐことができるからね。

 はあ、やっぱり調合レシピの感染症に関する治療薬と毒、解毒薬を作れるようにした方が良いか。

 いつ、感染症が発症するかわからないし、いつ毒を盛られるかわからないしね‥‥。

 まあ、毒は暗殺を疑われるから、持ち歩かないようにしないといけないけど。


(‥‥予定変更。今日は孤児院、学校訪問はなし。来週の予定に変更だな)


 一昨日行けなかった本屋に行こう。感染症、毒、解毒剤に関する知識が記されている本を買いに行こう。

 それから、僕のランクで作ることのできる調合レシピを雪兎さんに見繕ってもらうことにする。


「‥‥衛生環境についての問題は、遊騎さんに掛け合ってみます。ご忠告、ありがとうございます」


「‥‥いいよ、他の貴族では気をつけてよね。……予定変更。本屋と薬剤店に行って、調合できるレシピのできるジャンルを広げることにする。悪いけど、来週に必ず訪問するってことを伝えて」


 予定変更を伝言してもらうことにしたのだった。

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