その4!
さっき調合した回復ポーションは、世間一般的には回復ポーション(小)と表記されるものだ。
調合した薬に表記される(小)と言うのは、“どれだけ効果がでるか”を表しているよ。
薬の品質は効果関係なく、統一されているらしい。上から順に一等品〜六等品に分かれている。数字が小さければ小さい程、品質が高いということになっている。
まず、一等品
・まず、一般人が調合で出せるレベルではない。
・雑味が全くなく、回復ポーション(小)の効果を例に考えると、一等品は回復ポーション(中)の四等品と同等の効果が出るらしい。
・品質が上がれば、基本効果(五等品が基本とされている)よりも上乗せされて効果が出るらしい。
・高品質すぎて、市場では価格を狂わせてしまうため、薬剤店など“貴族が来る可能性”がある店で売り出すのが基本らしい。
・品質がよければ、基本価格(市場で売られている平均品質は五等品。五等品の価格に上乗せするか、値引きするか決めるらしい)に価格を上乗せするのがこの世界の価格決めらしい。
市場価値が狂うのは品質が高い品物が売られている時と、他にはあとは値段が上がるのは薬草の栽培状態が良くない時くらいかな。
次に、二等品
・稀に、薬師を目指す一般人が出せる品質レベル。基本的に薬師にしか出すことが出来ない品質レベル。
・一等品に比べて雑味が多少増え、回復ポーション(小)の効果を例にあげて考えると、回復ポーション(中)の五等品と同じくらいかまたは少し高い効果が出るらしい。
・二等品も市場に出さないで、薬剤店に売り出すのが基本らしい。
※一等品、二等品に関しては基本的に薬剤店で売り出すのが常識。
その次に三等品
・薬師を目指す一般人が出せる、一番高いとされる品質レベル。
・有名な冒険者、裕福な国民が購入するくらいの価格。一般的な家庭が月に1本買ってしまうと家計が切迫してしまう価格
・回復ポーション(小)の中で一番高いランクで、回復ポーション(小)としては一番高い効果とされている。
(一等品、二等品の回復ポーション(小)は効果的には回復ポーション(中)扱いとなるため)
・市場で売られる最高品質
三等品くらいならまあ、市場が狂うことは免れるだろうね。まず、よっぽどの重体な怪我をしてない限り、市場を利用する人はいないから売られているところは少ないけれど。
次に四等品
・薬師を目指す一般人が出せる、平均品質。
・基本的に国民が購入できる一番高い品質レベル。
・3本で骨折した骨をくっつけられるくらい?
その次に五等品
・薬師を目指さない一般人が出せる、平均品質。
・軽症くらいの傷を癒すことができる。
・国民が良く購入する品質レベル
最後に六等品
・調合と相性が悪いと出てしまう。
・滅多に市場に売り出されることがない。
(‥‥う〜ん、こうすると市場に売り出すとなると品質の高いものは売り出せないし、僕は薬師になりたいわけじゃないしなぁ。……あくまでも趣味だし、とりあえず品質を調べてみるか)
氷水につけていた回復ポーション(小)を手に取り、鑑定《品質》を発動させれば、なんと三等品(中)だった。
(‥‥三等品にもランク分けがあったのか‥‥!)
他の回復ポーション(小)を全て調べてみたけど、鑑定《品質》によると全て三等品(中)と表記されていた。
市場に売り出される最高品質だけど‥‥、売り出すべきじゃないなと思う。
うーん、果物風味の回復ポーション(小)を作ってみて、加熱による調合した回復ポーション(小)を市場で売り出すかを決めよう。
結論! 加熱による調合した回復ポーション(小)は売り出すことは出来ない!
貴族である僕が市場の相場を狂わせることも、薬師の存在意義を危うくさせてはいけない。
まあ、僕が薬師になれば話は簡単だけど、なるつもりはないし、そうなれば市場に出すのは良くない。
加熱による調合した回復ポーション(小)は基本三等品(中)の品質をキープしていたし、果物風味の回復ポーション(小)に関しては四等品(上)〜三等品(下)を行ったり来たりしていた。
果物風味の回復ポーションの四等品や三等品はまず、僕のように“薬師を目指さない一般人”には出すことは出来ない。
さらに! その品質を出したのは、スライムではなく水による果物風味の回復ポーションだ。これは市場価格を狂わせてしまうため、またマジックバックへお蔵入りと言うことになる。
思わず、はぁ‥‥とため息をつけば、心配そうにシアンが頰スリスリを再開した。
「ありがとう、シアン。大丈夫だよ〜」
安心させるため、頰スリスリをするシアンを撫でれば大丈夫だってことが伝わったのか、頰スリスリをするのをやめた。
まあ、災害が起きた時の蓄えが出来たと思うことにしよう。別に、懐を温めたくて薬を調合している分けじゃないし。
うーん、やっぱりスライムタイプの回復ポーションが一番購入者の負担が少ないのかもしれない、一通り実験してみて思ったけど。
そうなると、スライムの需要が高くなるのかぁ。スライムが絶滅危惧種になる日も遠くはないかもしれないなぁ。
と言っても、対処のしようがないって言うか、回復できる料理とか作れるようになる他ないよね。うーん、回復料理とか挑戦してみるかぁ。
回復ポーションは大量にあるし‥‥、材料にも困ってないしね〜。回復料理とか聞いたことないから、手探りでやってみるしかないよね。
とりあえず、明日から一部野菜や果物の一部に回復ポーションを水に混ぜて作ってみよう。
前世でも、えさに何か混ぜることによって、お肉の味が変化したって話聞いたことあるし、加熱して調合した回復ポーションを混ぜてみるか。
明日からは普通のジョウロでの作業かぁ、大変だけどしょうがない。ひらめいちゃったんだもん、実験するしかないでしょ!
「上手くいくといいなぁ」
僕の顔周辺で飛ぶもふもふ、シアンとククルを指先でつっつきながらそう呟けば、ククルがつっつき攻撃を器用によけ、僕の鼻先に体当たりしてきた。
それはまるで上手くいくよ、大丈夫って言っているかのようだった。
「ありがと、ククル」
そう言った後、ククルを掌の上に乗せ、お礼の意味を込めてキスを一回贈った。
僕のその行動に照れたのか、小刻みに震えた後、ものすごい勢いで飛び立ち、僕の頭の上に着地した。
(‥‥かわいい)
チート能力をもらわなくて正解だったなぁ。こんな和やかに過ごせて、可愛い従魔に囲まれて、良い人と出会えて、十分幸せだ。
こんな和やかな日々を過ごすためにも、僕はせめて自分のことを守れるくらいにはならないといけないなぁと改めてそう思う。
有難いことに、この世界は努力をすればするほど答えてくれる世界だ。まあ、最初から才能がある人には負けてしまうけど、それでもチート能力をもらわなくて良かったと思う。
それは、チート能力をもらえば自ずと、大きな使命を負うことと同然だ。
僕にはそれに耐えられるほど、強靭な精神力も、それを乗り越えるための忍耐力も備わっていない。だからこれで良かったと思う。
「さて、叔父様そろそろ帰って来てるかなぁ」
ククル、ハルク、リリア、シアンのことも相談したいし、帰って来てくれていることを祈るしかないなと考えながら腰を上げ、ハッサクが調合した石鹸やら香水やらを回収する。
もう今日は夕方になったし、調合作業もこの辺にしておかなきゃなぁ。
あー、今日は長時間調合していたし、あとでアナウンスラッシュが来ると思うとステータスを開くのも億劫だ。
最近わかったことなんだけど、ステータスのことを意識しないくらい集中している時、レベル上がったことを知らせるアナウンスは、次にステータスを開いた時にアナウンスされることがわかったんだよね。
それでも、後回しにしていると後々大変だろうし、寝る前に確認しておかないといけないな‥‥と考えながら、帰路を歩き出すのだった。




