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ほのぼのと7日目!

 

「料理、お上手なんですね」


 片付けをしようとしたら何か手伝いたいと言うので、皿拭きを手伝ってもらってる中、そう言われた。

 料理上手まではいかなく、家庭料理くらいしか作れないけど料理をするのは好きだから、上手だと褒められるのは悪い気はしない。


 しかし、前世は謙虚で遠慮がちな国民性。


「それほどでもないよ、でもありがとう。僕の場合、普通の薬師なら使うであろう器具を使わないで、調理器具で薬を作っているから、料理とは相性が良いのかもしれない」


 まあ、有栖家のあのダークマターを食べたことがある人にとっては僕は料理上手なのかもしれないけど。


「いえいえ、お世辞抜きでお上手だと思います。味付けも丁度良く、食べ過ぎてしまいました」


 うんうん、いっぱい食べてくれてたよね。食べさせがいのある食べっぷりで、見てるだけでも嬉しい気持ちになったよ。


「そう? ありがとう。味付けも遊騎さんの舌にあっていたなら良かった。また、一緒に食べてくれると嬉しいな」


「はい! 零様が望むのであれば喜んでご一緒させて頂きます。……それにしても薬を調理器具でお作りになられるんですか? 珍しいですね。ですが、それなら後天性スキルの調理を取得していらっしゃいそうですが……」


 どうなのかって聞きたいってこと? そんなに遠慮しなくても、切り札じゃないから教えてあげるのに。


「うん、取得してるよ。ステータスが公開される前から得意だったんだ」


「そうなんですか、すごいですね! 夜兎様は嘆いてましたよ、ダークマターを製作しても扱いはクスリ扱いでレベルが上がるのは調合だって。しかもですね、有栖家の方のほとんどは調理のスキルを何をやっても手に入れられなかったそうですよ」


(‥‥あはは。どうやら僕以外の調理不得意な星に生まれてしまったんだな、有栖家の人達は)


 でも、4歳の誕生日を迎えて、前世の記憶を思い出す前からさっきも言ったとおり、“零”だけは調理は出来ていた。

 ってことはだよ? 元々眠っていただけで、人格のベースの元は僕で、誰かの人生を狂わせるようなことはしていないと改めて実感した。


(それにしてもだよ? ダークマターを製作するってことはレシピ通りの材料以外にも絶対入れてるんじゃないの‥‥?)


 そう怪訝な顔をしていると、


「私も料理はする方なのですが、一度だけ料理のお手伝いをさせていただいた経験がありまして、玲亜様の場合、レシピ通りに製作しているにも関わらず、ダークマターになってしまっておりましたね。あれは天性のものだと思います」


「うーん、創作料理してダークマターを製作するなら救いようがあるけどレシピ通りに作ってダークマターはちょっとね……」


「お手上げするしかないですよね! あれはもう、恐らく何らかの血縁スキルの影響か、何らかの加護の影響か、それかその力が強力すぎるためかはわかりませんが、ダークマターにしかなり得ないこと自覚したらしく、それ以来玲亜様に至っては料理をされていないと聞いております。……まあ、玲亜様以外の有栖家の方々は間違えなく、調合に使用する薬草を入れてますね。ええ、それはもう大量に」


 遠い目をしながら、こと細かく教えてくれた。

 お父様に至っては才能だ、それしか言いようがない。季水くんに至っては人のことを言えないが、薬草大好き人間&毒草大好き人間なので、料理に薬草入れることを止めることがまず不可能だ。つまり、僕以外の有栖家の人間にダークマター製造をやめることは不可能だと思う。


「ふふっ、入れる薬草を間違えたり、量を間違えればダークマターも仕上がっちゃうよね。一応、さっきの料理にはネーズの実、ネーズにとろみをつけるためにトロトロの実、コーショ草が入っているんだよ。

一般的にネーズの実は調味料の素材として知られてはいるけど、液体だから需要は少なかった。でも、トロトロの実を加えることによって個体に近い状態になるから、食べやすいかと思って加えてみたんだ。

コーショ草は粉末状にすることで、変化が足りない料理とか味を占めるためにピリッとした味が出るからさ、薬草も量を間違わなければ捨てたもんじゃないでしょ?」


(まあ、僕の場合、前世の記憶があってそれに近い調味料を探すことができたわけだけど)


「そうなんですか! 今度試してみます!

 料理がそこまでできると料理人にもなれそうですね」


 そう素直に反応されてしまうと、罪悪感がすごく感じてしまう。


「料理人にはならないよ。この調味料の使い方だって色々なレシピを見て、参考にして生まれたんだから、アイディア自体は僕のものではないよ」


 僕の“レシピ”と言うのは前世で見た“レシピ”と言うこと。このレシピは前世の料理人が苦しんで生み出したものであり、僕のアイディアと言う認識にはしたくはない。


「‥‥そうですか、あなたはそう言う人なんですね」


 ‥‥? 今の一言で僕の人格がわかったってこと? 僕は当たり前のことを言っただけで、どんな人格なのかわかるようなことを言ったつもりはないんだけどな。


「‥‥気にしないでください。何となく、本当に何となくですが、あなたと言う人がわかったような気がしただけなので。……今日は温室の整備をするとか聞いております。私にできることがあれば何なりと」


 お手伝いか〜、お手伝いね〜。植物関係の加護とかスキルとか持ってるから、誰かに手伝ってもらっちゃうと成長にムラができちゃうんだよね〜。

 かと言って力仕事か〜。力仕事も特に手伝ってもらうことないんだよね。

 何せ、マジックバックさえあれば重たい荷物を持ち運ぶ作業は必要ないし、土を花壇に入れる作業も、手伝ってもらっちゃうと植物の成長にムラが出てしまう要因になるからさ、出来れば1人で作業を進めたい。


(んー、そういえば安斎さんに仕事させるよう頼まれてたっけ?)


「手伝いは必要ないから、護衛可能な範囲で、書類仕事をしてくれて構わないよ」


 そう言えば、よっぽど書類仕事が溜まっていたのか、嬉しそうな顔をして、「ああ、良かった! 今回は父上に文句言われなさそうで済みそう!」と喜んでいた。


(‥‥それなら、僕の護衛代理をしなければ間に合うのでは?)


 と考えたが、言わないでおいた。

 それからは黙々と、前世でいうマスク、エプロン、軍手に似たようなものを装着し、温室の環境整備を始める。

 本来なら無肥料で行いたいところだが、修行の関係上、虫や病気にならないよう、肥料などを使用していこうと思う。


 種は大量に購入してきたので、とりあえず温室中(と言っても水中で育てる植物以外はだけど)の花壇に土を入れ、耕し、肥料を加えていく。

 この温室内では4つの部屋割りがされていて、部屋ごとに温度調節が可能な仕様になっている。


(ほんと、能力の付加系のスキルは便利だよねー。まあ、血縁スキルだから入手不可能だけど)


 まあ、それはいいんだ。手に入らないものを、手に入れようと無茶はしないと決めたからね。

 四季折々の薬草やら、調合関係の植物を育てていく予定だからね、春夏秋冬、季節ごとに温度調節をしてみたよ。

 季節に合わせて少しずつ、肥料の配合も変えたし、そのあとどの場所に、どの植物を植えたのかも目印も作ったから大丈夫だろう。


(緑に関することなら、有栖家はどの貴族よりも群を抜いている。温室整備はお手の物さ!)


 そう考えながら鼻歌を歌いつつ、マジックバックから有栖家プロデュースの水保管機能が備えられているジョウロを取り出す。

 まあ、どれだけの水量が入るから知らないけど、かなりの量が入るらしいとは聞いている。


 しかも! 満タンまで水を入れてもジョウロの重さも変わらないの! これは、マジックバックの技術を応用することによって生まれたジョウロなんだ!


「さ〜て、水やりするのに一応水を足しておくとするか〜!」


 そう独り言を呟いた後、僕は再び鼻歌を再開して、温室を裏口から出てすぐのところにある水の保管庫まで歩き出したのだった。







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