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ほのぼのと6日目あんど7日目!

 

「いい買い物が無事に出来たようでなによりだ。朝ぶりだね、零」


「ふへっ!? あ、叔父様?!」


「なんだ、その声は。……随分と護衛役が板についたもんだな、圭介。1人で対応するなんて凄いじゃないか、好奇心旺盛する点がなければ文句なしの強者であるからさすがと言うべきか」


 気配もなく、いきなり叔父様の声がした僕は驚きのあまり、言語でない言葉を発してから、なぜかバランスを崩して勢いに負けて背中から倒れそうになる。

 それを察知していたのか、すぐさま圭介さんは僕の手首を掴み、自分の方へと引き寄せ、僕背中から倒れそうになった僕を支え、


「えぇ、まあ」


 そう歯切れの悪い返事をした。


(‥‥この師弟は揃いも揃って、どうしてここまで気配を消してはいきなり姿を現し、人のことを驚かせるのだろうか)


 思わず深く溜息をつけば、それを合図にするかのように、圭介さんは歯切れの悪い言葉の続きを話し始めた。


「お褒めいただきありがとうございます、夜兎様。冒険者時代、教師としてご指導いただいた方にそう言っていただけるととても誇らしいと感じております。しかし、今はこの方を護衛している身として言わせていただいても構わないでしょうか」


 反論することが珍しいのか、叔父様は目を丸くして驚いたような表情を見せた後、


「……許そう」


 そう一言で、話を続ける許可を出す。


「どれだけ恩がある夜兎様であろうと、そして零様の身内の方であっても、怪我をさせそうになるくらいに気配を消さないでくださいませ。まあ俺自身本人を気配を消し過ぎて何度か驚かせてしまっているので気をつけなければならないことではあるのですけどね。この方を怪我に至らせる事態になればけじめとして、護衛として私が責任を取ることになるでしょう。それはなぜか、季水様が次期当主とは決まっていても正式ではないため、この方は現時点では次期当主候補だからです」


 圭介さんは僕を庇いながら、そう忠告する。

 ‥‥私情は挟むつもりはないってことね。関心だと考えていると、


「いつのまにか随分と零の肩を持つようになったな、本気の従者にでもなるつもりか?」


 叔父様の目の色が変わった。

 それは僕への嫉妬なのか、従者の厳しさをわからせるためなのか、それまた両方なのかはわからない。

 ただ、わかることは何らかの理由で目の色が変わった、それだけだ。


「俺自身、当主になるべきだと感じるほど主として魅力的に感じているのは事実ですし、この方に俺が持つ全ての忠誠心を注ぐつもりであります。……この街の守衛として、遊騎さんの部下として存在してはおりますが、彼との契約上、ビジネスパートナーとして扱うことになっております。それは目的のために協力関係と言うことです。所属はこの街であり続けますが、忠誠心を抱くのはこれから先、この方しかおりません」


(本気だったんだ、当主にもなれない僕に忠誠を誓ったと言う気持ちは。先に当主になる季水くんに会っているはずなのに僕を選んでくれたのか)


 改めて圭介さんの忠誠を誓うと言う強い意志表明に僕は感動した。そして、彼は続けてこうも言った。


「そして、俺はこれから先、この方のなされることが実現できるよう、陰ながら支えられることが自分に出来る助けになると信じております。零姫の従者になりたいわけではありません、協力者になりたいのです。この方は唯一、俺の歪んだ依存心を認めてくださり、俺が忠誠心を抱いていることを信じてくださった。そして、依存心を優先することを認めてくださった。……そんな方の肩を持つことはいけないことなんでしょうか?」


 そんなにはっきり忠誠を誓うことを宣言されると照れてしまうね。

 まあ、彼の場合は叔父様への依存心を抱くことを許し、貴族の中では忠誠を誓うことができるって言うことだけだろうけど。

 形はどうあれ、慕われているのは事実だ。ここは誇っても良いのかもしれない。

 

「‥‥いいや、貴族の従者は大変だ。従者にならないなら、零の肩を持つことは大いに構わない。‥‥忠誠心を抱くこともな」


 んー、嫉妬って感じじゃないけど、なんか師匠離れしてしまうことに複雑なご心境のようだ。

 まあ、実際には全然出来てないけど。


 呑気に考えごとしているうちに、すでにもう心のすれ違いを起こしているし! もう、素直じゃないんだから2人とも!

 まったく! 世話のやける人達だ!


「もう! じれったい人達ですね! 素直になれば良いものを、大人になればなるほど素直になれなくなるのは人間の悪い癖です。……よって、有栖家の直系から命じます。人間関係の拗れは時に取り付かない事態を招くことはあります、後悔しないようしっかり2人は話し合いをしてください! 良いですね?」


(‥‥ったく、権力を振りかざすことをするのは好きじゃないというのに! 手のかかる大人達だ!)


 とりあえず拒否権はないと威圧をかければ、やれやれと言ったような様子で、


「わかったよ。圭介、今日時間はあるか?」


「もちろんです」


 話し合いをすることにしたようだった。

 その日、ハッサクの手によって落ち着きを取り戻した夕陽くんから引き続き、護衛をする意志を聞いた後に圭介さん達は出かけていった。

 遊騎さんが泊まり、引き続き護衛されることになってしまったので、迷惑をかけないよう、早めに寝ることにした。


 お留守番と、夕陽くんのメンタル回復に貢献したハッサクを盛大に褒めた後、僕は疲れからか気絶するように眠りについた。


 春の27日、休息日2日目。早めに就寝してしまったから、いつもよりだいぶ早起きをしてしまった。

 いつもなら早朝から活動しているはずなのに、朝起きても叔父様の姿が見えなかった。


(‥‥まあいっか)


 前世は一人暮らしの生活だったし、料理は人並みに出来ていた。

 まあ、見た目は4歳児だから、流石に本格的な料理をするわけにはいかないし、サンドウィッチを作るくらいでやめておこう。

 ちなみに火を使うつもりなので、ハッサクとサクアにはソファーで待機してもらっている。


 普段から火を使っているし、この世界のコンロのような機器の扱いはお手の物だ。

 卵を3つ取り出した後、卵を湯がき、ゆで卵を作る。この世界は前世に近い調味料が存在していて、マヨネーズに近い調味料がある。


 まあ、こっちではネーズと言われる調味料で動物性の食材ではなく、植物性から出来ているの。

 似てるようで、前世とは正反対の食材から出来ているけどね。


 さて、ネーズを作るためには500mlの新鮮さの高い冷水。この世界の住人は普通ならここでやめるんだが、やっぱり前世での記憶の影響か、完全な液体状では脳が混乱するので、トロトロの実でとろみをつける。

 ちなみに何とかの実とかは、冷水500mlに対して1つ入れることによって溶ける性質を持っている。

 つまり今回、500mlの冷水を用意したので、ネーズの実とトロトロの実を1つずつ入れれば良いってことだ。


 あとは30秒くらい混ぜれば完成。

 ゆで卵の殻をむいた後、フォークで潰し、出来上がったネーズと混ぜる。

 うん、やっぱり塩味も若干欲しいなぁ‥‥と考えた僕は自分のマジックバックからコーショ草を取り出し、すり鉢とすり棒も取り出した。


 コーショ草は粉末状にすることによって、ほんのりオレンジの香りがする胡椒みたいな調味料になる薬草をすり潰した後、卵サラダを胡椒で味をしめる。


「こんな感じかな?」


 と思わず独り言を呟いた後、レタス(野菜とかは謎なことに前世と同じ名前なんだよね)をパンに挟み、卵サラダを乗せ、サンドウィッチの完成だ。

 包丁で斜めに切ったものを卵サラダがなくなるまで作り終えた後、ソファーで待つハッサクとサクアの元へと向かえば、遊騎さんが申し訳なさそうに座ってらっしゃった。


「遊騎さん、おはよう。今日は偶然早起きしてしまってね、叔父様もいないようだし、朝食を作ってみたんだ。遊騎さんも良かったら食べて?」


「はいぃ! いただきます!」


(ん? 何でそんな何かを覚悟したような顔をしているんだろう?)


 そう疑問に思いながらも、お仕事をしてお腹空いているだろう遊騎さんにまずサンドウィッチを差し出せば、恐る恐ると言ったような様子で手を伸ばし、遊騎さんは僕の作ったサンドウィッチを口にした。

 その瞬間、一安心したように「美味しい‥‥」と呟いていたのをみて思い出した。


 そう言えば、有栖家の血筋は料理不得意なんだよね。

 簡単に言うと、ダークマター製造が得意。

 口にした瞬間に気絶し、でも薬作りが趣味だからか、必ず次の日には異常に体調が良くなるという謎のダークマターを調理するの。

 だから、僕以外の有栖の人間は調理禁止なんだよね。食べたことないからすっかり忘れてた。


「ああ、忘れてた。有栖家の皆は料理が兵器と化すからね、僕は料理ができること言っておけば良かった。味大丈夫だったみたいで良かった。まだあるから、遠慮しないで食べてね。量作るのは得意なんだけどあんまり、僕達食べられないから」


 とそう話しながら、ハッサクとサクアに1つずつサンドウィッチを渡す。

 ハッサクは少食、サクアは餅関係は大食いだけど後の食べ物に関しては少食なんだ。

 まあ、ついつい癖で大量生産してしまうのは治らない癖である。


「はい!」


 サンドウィッチに関して僕は2個、ハッサクとサクアが1つずつ、残りの全てを遊騎さんが余裕で食べ切ってくれた。


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