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このパラレルワールドは女神を試そうとしている  作者: カルトカイマ
第一章 パラレルワールド
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第六話『このパラレルワールドは』

「ここは――」


 俺は見知らぬ場所のベッドに寝かされていた。右膝を見ると、包帯が巻かれていた。病院だろうか。女神は大丈夫だろうか?


「――目が覚めましたね」


 ふと、耳に声が聞こえた。聞き覚えのある声に俺は安心して、声のする方を向いた。

 そこには、浮かない顔を浮かべている女神がいた。


「無事だったのか……。良かった」


「ごめん……なさい」


 女神が声をしゃくり上げながら俺に謝った。

 そんな事なんて、気にしていない……。まあ、女神が少しでも気にしてくれるのなら良かったかな。


「そんな事より隆一は……」


「さっきの奴ですか? すぐに待ちで騒ぎになって警察が来て警察署まで連れて行かれました。私も事情聴取されました。警察の顔が真剣で怖かったですね」


「でもお前が魔法使ったこととかどうなったの?」


「…………」


「……女神?」


 女神は俯いて目に涙を溜めていた。どうしたのだろう。何かマズいことが――


「この世界とあっち側の世界では、発達している文明が違います。ここでは科学。飛行機とか車とか、携帯電話とかです。北岡徹さんがいる、とても便利な世界です」


「うん」


「そして、もう一つの世界は魔法が発達している世界です。この世界にはない魔法や能力が発達している世界です。何故魔法が使えるのかというと、この世界特有の魔素という物質が存在しているからです」


「魔素?」


「話せば長くなりますが、魔法を使えるエネルギー源のことです。他にも魔素の影響で魔物が存在しているという噂もあります」


 よく分からないないけれど、あっちの世界の魔素をこの世界に持ってくれば、みんな魔法が使えるのな。魔素凄すぎるだろ。


「ですが、魔素はこの世界に持ってくることも存在することも出来ないので、この世界に魔法を使える者は存在しません。ですが私は、自分の身体に残っている魔素のお陰で魔力が残っているのでこの世界でも魔法を使うことが出来たのです」


「なんとなく分かる」


「なのでこの世界に矛盾が生じ――この世界の人々から「魔法」という存在が普通に存在するようになってしまいました」


 って事は――


「この世界には「魔素」が存在するようになったのか!?」


「はい。――完全に存在しない世界が誕生してしまいました。だから私が魔法を放った事は、この世界には珍しくないという認識にすり替えられたのです」


 大変な事じゃ無いか。でも女神が魔法を初めから使えるということは――


「あれ、お前ってどっち側? 両方の世界に詳しいようだが」


「両方の世界を管理する女神なので――どちらの世界にも詳しいのかと思います」


「考察ですが――でも証拠として私が病院に向かう途中、魔法を扱う人を何人か見かけました……」


 女神は泣いてしまった。こんなにもこの世界の秩序が乱れてしまっては――どうしようもないかも知れない。


「――だけど、それでも俺は……。お前が助かって、良かったと思っている」


 遠慮がちに小さく開いてある窓から、心地よい風が吹いてきた。女神は、泣きながらもその風に吹かれていた。


 俺は女神の頭に手を乗せた。女神は「えっ」と驚いた表情を浮かべている。

 

「お前が過ちを犯したのなら、俺もその過ちを正す手伝いをしたい。女神、俺と一緒にこの世界を――いつもの日常に戻そう。この変わった世界を――このパラレルワールドを――」


 俺は精一杯に息を吸って、悲しそうな表情の女神に言った。


「お前に試されている難題を、俺も一緒に背負って――お前が凄く辛いのなら、お互いに助け合って――」


「そんなことっ」


「女神。お前は俺を殺して、今回の事件に巻き込んだ。俺を殺した理由は、いまいち分からないけれど、きっと何かあるんだろ? 俺を殺したと言うことは、お前は俺に大きな貸しがあるハズだ。だから、今回の件を自分の勝手な自己満足の為にお前を助けるっていうことで、お前は俺に貸しを返せる。これでいいだろ?」


「こんなのっ……私にとって都合が良すぎます」


「それでも――それでいても俺はお前の力になりたいんだよ」


「なんで――そこまで?」


 女神は強く俺に問いかけてきた。ここはもう言うしか無いか。

 俺は覚悟を決め、両手に拳を作り握り締める。


「だって俺は――」







「お前が好きだからだよ」

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