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遥かなる彼方からの贈り物  作者: 名も無き人
第8章 隕鉄落下
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(2) 膨大な数の一個

「良い知らせではないようね。」


駆け込んできたヤコブソンにベスが言った。


「残念ながらその通りです。大統領閣下。」


ベスの質問に対して

ヤコブソンは真面目な表情のまま続けた。


「つい今しがた、中国の天文台が


直径3km程の小惑星を発見しました。」


ベスは鼓動が速くなるのを感じながら尋ねた。


「それで衝突はいつ?」


「いや、この小惑星は衝突しません。」


ヤコブソンは真剣な表情のまま、

ベスを安心させる内容で答えた。


「問題なのは、その小惑星の移動速度です。


秒速400km前後の信じられない程の高速で


『地球の直ぐ傍を通り過ぎた』様です。」


「・・と言う事はどういう事なの。」


ベスはほぼ答えを確信しながら質問した。


「ダイの予言が


いきなり現実的になってきたと言う事です。


この小惑星の移動速度は

人類のこれまのあらゆる常識を翻すものです。


それに、この小惑星は、ダイが示した座標と

寸分狂わない位置からの飛遊物と考えて間違いなさそうです。


この様な小惑星が

地球に衝突する確率は天文学的に小さい様です。


つまり、もしダイが言った事が本当であれば


隕鉄(いんてつ)膨大(ぼうだい)な数が飛来して

その中の1個が

地球に衝突する事になる様です。」


ヤコブソンがそう言い終らないうちに

彼の携帯電話が鳴った。


それが緊急通報である事を

大統領に顔で合図しながらヤコブソンは電話に出た。


彼は暫く黙って聴き、それから

分かった、うん、うんと2、3言答えて電話を切った。


「大統領、発見されたのは1個ではなさそうです。


この1時間に発見されただけで


他に2個の小惑星が秒速400Kmの速度で


地球のかなり近くを通り過ぎていった様です。」


ヤコブソンは

他に何か良い表現はないものかと

探しあぐねている風に

喋りにくそうに報告を続けた。


「要するに、撃ちまくる機関銃の弾の様に

地球に向かって

巨大な小惑星群が

降り注いでいる状態なのね。」


ぞっとする気持ちを押さえ切れず

抑揚のない声でベス・クリーヴランドは呟いた。


彼女は聡明な女性だった。

ヤコブソンの簡単な説明と

携帯電話で交わされた会話を聞いただけで

事態を察知したのだった。


ダイの予言は

別に奇跡的な確率で適中する訳ではなかったのだ。


地球は今

まるで敵の撃ちまくる機関銃に向かい

身体を晒している兵士の様な状態にあるのだ。

巨大な隕石がそれこそ地球の傍を

ビュンビュンと通り過ぎているのである。


確かに小惑星が地球に衝突する確率は

天文学的に小さな確率かも知れないが


もし天文学的な数の小惑星が

地球に向かっているのなら

全く事情は異なる。


その場合は衝突しないのが不思議で

衝突するのが当たり前と言う事になるのである。

そもそも、この小惑星群は

超新星爆発の残骸なのである。


むしろ単独で小惑星が飛んでくる事の方が

不自然なのだった。

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