(21) 五歳の少年であることをカミングアウト
「御覧のとおり私は5歳の少年には見えません。
私はサンダルによって
バーチャルにて姿を表現しています。
皆様も私が5歳の少年の姿でお話をしているより
ずっとまじめになり易いのではないかと思いますが
どうでしょうか。
それよりもサンダルは私に生体手術を施し
多くの知識を埋め込みました。
現在の地球でナノテクノロジーと言われる
特殊な技術を使っての手術でした。
その手術が終わると直ぐに
私は記憶の中の旅にでかけました。
記憶の中の旅と言っても
それは現実に生きたのと
全く変わらない旅でした。
そして、それは永い永い旅でした。
皆様にはとても信じられないかも知れませんが
その旅の永さは
人間の時間の感覚にすれば
200年間にも及ぶものでした。」
会場はしんとして
咳払いさえも聞こえなかった。
「その旅の終わりに
私はデジャを強く憎みました。
なぜならサンダルは
私にあらゆる知識や技術を埋め込み
サンダル自体を自由に操れる能力を与えながら
一つだけ一切与えなかったものがあったのです。」
ダイはここで言葉を切った。
「それは、サンダルと言う
究極のプレゼントを受け取った私自身が
これからどうすべきか
何を、どうしたら良いかについてです。
サンダルは
その点についてだけは一切教えず
指示もしてくれなかったのです。
要するに、私は
寝ていようと
遊ぼうと
それとも一人で流星群と戦おうと
それは全く自由の選択とされたのです。
私はこの状態に対して
激しく苦しみました。
なんとサンダルは
この苦しみを予め予告さえしていたのです。
数十パーセントの確率で
死を選ぶ可能性がある事さえ予告したのです。
もし私が死んだらサンダルは
次の地球人を探す事はなく
そのまま宇宙へ
次の衝突の可能性のある星に向かって
飛び立った筈です。」
ガヤガヤと言う私語が始まった。
ダイが地球人である事以上に
冷酷な現実の方に
強い衝撃を受けた人々の私語だった。
そして、ダイは自分に対する説明を終え
これまでのプレゼンをまとめた。
「近い将来
人類は過去に例を見ない程の
大きな災害に襲われるでしょう。
この大災害によって生じる被害を
無くす事は不可能です。
もし何も準備をしなければ
少なくとも世界人口は
5分の1に減少する可能性さえあります。
そして、これから準備を急いでも
残念ながら3億人を超える
死者が発生する事を
覚悟しなければなりません。
しかし実はこの災害は
文字通り始まりに過ぎません。
本番は、今から約9年半後にやってきます。
最初の災害の数千倍の規模の災害が地球を襲い
それにまともに晒されたなら
人類に生き残るチャンスはありません。
だからこの今から9年半後の災害を切り抜ける事が
人類が生き残る為の
絶対的な条件となるのです。」




