(16) 種の滅亡曲線
このグラフは、今から1万年前から
現在に至る全世界の人口推移のグラフです。
このグラフを良く観て下さい。
この形状は明らかに
収曲線※を持つグラフになっています。
※ 曲線が終わると考えられる線
デジャの科学者はこの指数関数曲線を
種の滅亡曲線と呼びます。
つまり、彼らに言わせれば
このグラフは人類の滅亡を示したグラフなのです。
種が統一され
自制されることなく
只々増加を続け
統制を失い、混乱に突入して行くグラフだと言うのです。
このグラフによれば
人類の滅亡の時期は大体2050年頃でしょうか。
数学と言うものは非常に冷酷に現実を表現するものです。」
ダイは余り面白くなさそうな表情で続けた。
「もしこれでは
余りにおおざっぱ過ぎると言うのであれば
もっと最近のグラフを映してみましょう。
次のこのグラフは日本政府によって作成されたものですね。」
ダイはそう言うとグラフを切り替えた。
それは17世紀から現在に至る
やはり人口増加を示すグラフで
やはり綺麗な指数関数曲線を描いていた。
「みなさんにご注目戴きたいのは
同じ人口曲線を扱ったグラフを
人類が文明を持つ直前である
1万年前からと言う
マクロの変化で観た上で
更に産業革命に入る時期からの
ミクロの変化を切り分けて
その両方で表したと言う事です。
そして、その両方が
全く同じ傾向のグラフとなっている
と言う事実をご認識下さい。」
「もちろんグラフがこうなっているからと言って
人類の滅亡が証明された事にはなりません。
しかし我々が注目しなければならない事は
このグラフのデータが
計画的に作成されたものではないと言う事です。
このグラフは、地球上で営まれてきた
全世界の人類の活動の結果を
人口と言う指標にまとめて
客観的に示したに過ぎません。
これは人類の生活を
ある尺度で具体的に示すグラフで
地球の民衆の活動の実績なのです。
その結果が事実上
人類の滅亡を明確に示しているのです。
この冷厳な事実に対しては
どれ程偉大な科学者であっても
恣意的な見解を講ずるべきではないと思われます。
このグラフは
人類の地球上での活動があって
その結果なのです。
そして最も大きな問題は
このグラフに現れる現象を
コントロールする手段を
人類は今持ち得ていない事です。
良く考えて下さい。
CO2を減らすと言う事は
この様な人類全体の指標をコントロールする事です。
しかし、現実としてCO2を
劇的に減らす事ができる可能性は余りありません。
結果として人類は
このグラフが示す方向に向かわざるを得ないのです。」
ダイはここで少し言葉を切った。
ある意味厳密な論理を欠く説明だったが
会場の雰囲気も手伝って
妙な説得力のある内容だった。
ほぼ全員が挙手して
質問したい衝動に駆られている様でもあった。




