(14) 繰り返し言うが、人類は滅亡する運命にあった
「本当であれば
各国の政府
企業
そしてメディアが
協調し一つの目的に対して
全力で協力しあわなければならない時に
今はあるのです。
しかし皆様がお感じの通り
とてもそんな状況にはない。
人類の中で最も成功したEU共同体でさえも
その統合は遅々として着実とは言えません。
しかし、一方で
自然はそれを待ってはくれません。
だから韻鉄の落下など起こらなくとも
人類は確実に滅亡するのです。」
ダイはスクリーンを消した。
「もう一度繰り返します。
生物がその進化を通じて
知的生命体である
人類レベルまで進化する事は
稀だと言う事はできます。
それでも宇宙的な規模から言えば
科学技術を持つ段階に達した生物の数は
銀河系の一部の地域においてさえも
膨大な数に登るのです。
しかし、残念ながらその殆どは滅亡してしまう。
これは推測ではなく
当たり前の事実であり法則なのです。
全宇宙で繰り返し起こっている
数多くの滅亡劇は
進化のレベルを問わず起こっているのです。
種は生き残る方が圧倒的に少ない。」
ここまで聞くと
皆の顔が改めて驚きと深刻さの織り交ざった
真剣な表情に変わり始めた。
「滅亡の理由は単純です。
科学技術を持つ段階に生物が進化しても
その種の多くが
生物として自立できないからです。
それは、ちょうど思春期から青春期に向かう人間に似ています。
身体は大人になり
知能は発達したのに
精神は大人ではない状態です。
科学技術を発達させ
急速に繁栄を強め
生物としての規模が莫大となり
地球そのものに影響を与える状態になっているのに
精神は完全な分裂状態です。
精神的に未熟であるが故に自立できない。
そのアンバランスの中で
多くの知的生命体は自滅してしまうのです。
今の人類は正しくその状態にあります。
もしデジャの科学者が予測を行えば
人類がこれから1世紀以上の期間生き残れる可能性は
恐らく5%に満たないとするでしょう。」
がやがやと言う雑談が聞こえ始めた。
余りに荒唐無稽な論理展開についていけない為か
質問を求める挙手を始める者も多くいた。
ダイは意外にも
会場で挙手している内の一人を指差した。




