(7) ベス・クリーヴランドの演説
そして、集まった全ての人には
ダイから直接の招待が届いていた。
特種な金属のペラペラの板に
宛先が書いてあり
それを持参した全ての人々が
会議に参加する事を許されていた。
もちろん日本の相本首相も
真剣な表情で席についていた。
マスメディアが
世界の要人達が大挙して行動するこのイベントに
気付かない筈はない。
国連会合の参加が表向きの理由になっていたが
それが正しい理由でない事位は
簡単に見破られていた。
しかし、真相を報道する事ができたメディアは
存在しなかった。
実際、彼らの多くは
ほぼ現実に近い真相に辿り着いてはいた。
しかし、それが
余りに馬鹿馬鹿しい内容を含んでいた為
報道をためらってしまったのである。
一方で会合への参加者達の方は
半信半疑の状態ではあったが
その会合の目的となる
余りに深刻な内容を知っていた為
情報リーク自体を躊躇う者が多かった。
ある有力な米国の上院議員などは
「ううん、そうだね。
地球環境を話し合う国際会合みたいなものかな。
それとも宇宙人にでも会いに行くと答えたら
君達を満足させるかい。」
といかにもウィットを強調したウィンクで答えていた。
それはそうと、この会合は
その参加者の面々だけではなく
他の多く点で破格尽くめだった。
第一に、司会者をなんと
米国の大統領が買って出ていた。
ベス・クリーヴランドである。
彼女はダイのこのプレゼンテーションの
重要性を理解してもいたが
それだけが理由ではなかった。
なりふり構わず司会を買って出て
冒頭に喋りたいと言う欲求を抑え切れなかったのである。
ベスは女性ではあったが
演説者としては極めて優れた政治家だった。
優れた政治家の演説の常として
ベスはむしろ小声に近い
語りかける様な話し方で話を始めた。
「実はみなさま
本日ここに集まった理由を
100%理解している方は
もちろん私を含めて (ここで沈黙に近い間が空いた)
・・・
本当は誰も居られないのではないかと思っていますが
いかがでしょうか。」




