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遥かなる彼方からの贈り物  作者: 名も無き人
第5章 日本にて
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(10) 去り難きを去る

彼女の開き直ったかのような

証拠を見せろと言う質問に

大樹は思わず答えた。


「証拠かどうかは分かりませんが


例えば、・・・こんな事ができます。」


ダイは、突然に身体を消すと、2メートル程移動して

また姿を現した。


目の前で人がパッと消え

それが2メートルほど離れた所で

パッと現れる。


これは現実に観ると

実に強烈なインパクトのある情景だった。


「わああぁあ・・凄い。」


ダイは彼女の反応に

背筋がぞくぞくする程の喜びを感じていた。


彼女の天真爛漫(てんしんらんまん)な驚き様は

逆に大樹を引き込み

夢中にさせる結果となった。


一方で、彼女は

ダイが宇宙人と言う事を

かなり本気で信じた様であった。


「いや、全然大した事ではありませんよ。」


「他にも何かできるんでしょ。


やって、やって。」


案の定の反応である。


落ち着きを取り戻し始めたダイは

口調を変えて彼女に話した。


「私はもう行かなければなりません。


それで貴女に、あっ、貴女のお名前は?


教えてくれますか?」


「相本京子です。


面白くもなんともない名前でしょ。


でもダイさん、私とお友達になってくれますか?」


「もちろんですとも。」


ダイもすかさず言った。


ダイの本心だった。

それを聴いた京子の目が大きく開いた。


「でもその前に京子さんに一つお願いがあります。


このカードを京子さんのお父様にお渡し下さい。


そして一言添えて下さい。


京子さんの未来をなくしてしまわない為にも


必ず相本首相ご本人がご出席になって下さい、と。


これはあなた方人類にとって


大事な会議なのです。」


ダイの深刻な雰囲気に京子は一瞬怯んだ様だったが

直ぐに平常に戻ると


「分かったわ。必ず言います。


それで、こんどはいつ会ってくれます?」


この質問をダイは予想していなかった。


今ダイがやらなければならない事は余りに多すぎる。

この娘に会う事はそれらの仕事を

おろそかにしかねない事なのである。


「携帯の番号はお持ちではないの。」


京子は畳み掛ける様に質問を繰り返した。


ダイと友達になりたいと言う強い意欲が感じられて

それだけでダイは心が浮き立ってくるのを感じていた。


「分かりました。

それでは京子さんの番号を教えて下さい。

何らかの方法で連絡を入れます。

宇宙人に携帯は必要ありません。」


訳のわからぬ言い訳をし

携帯の番号を聞きながら

ダイはこの娘と必ずまた会おうと思い始めていた。


心の奥底からの躍動感と言うかエネルギーが沸いてくる気がする。


「それはいつ。約束してくれなきゃだめよ。」


京子はダイに本当に強い興味を持っている様であった。


「わかりました。1週間後。」


京子の顔に強い不満が浮かんだ。


しかし、その不満が

二人の為にはいけない不満である事も

同時に理解している様だった。


その為か、京子の強い不満の顔が

輝くような笑顔に変わるまでには

余り時間がかからなかった。


「必ず約束よ。連絡してね。ダイさん。」


彼女が手を差し出し、握手を求めた。


ダイは思わず自分も手を出し

彼女のほっそりした柔らかい手を握った。


嬉しかった。ドキドキする。


ダイは、ここを去るのが残念で仕方がなかったが

一方で緊張感が苦しくて一刻も早く立ち去りたかった。


明らかに見栄を張った気持ちで、そして潔さを演出しながら

さようならと言う彼女の声が終わらない内に自分の画像を微かに消していった。


そして、京子の耳元で


「さようなら、また会いましょう」


と告げた。


京子の目がぼんやりと遠くを観る様になるのを確認すると

そのまま風の様に去った。

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