(4) 身辺への対策
大樹にとって母の頼江は
何にも代え難い大切な存在だった。
だから母だけには心配させたくなかった。
だから
まず母には、簡単に起きない様にぐっすり
快適な、幸せな睡眠を取って貰う様にした。
ナノテクノロジーつまりナノロボットは
億単位で脳内に侵入して役目を果たす能力があった。
薬剤などに頼った効果ではなく
脳内ホルモンを導いた誘導である。
お陰で藤井頼江は最近
夫が亡くなって以来感じた事のない程の
言葉にならない充実感を感じていた。
夜もぐっすり眠れるし
それに信じられない位に
美容状態が良くなっていた。
お肌のシミが消え始め
まるで十代の頃のしっとり感が戻ってきた。
それから大樹は
母の周辺のセキュリティを徹底強化した。
もし何かの事故が起こっても
または凶暴な外敵に襲われても
頼江が確実に守られる様な
ガードロボットをサンダルに造らせたのである。
しかもそのガードロボットは
頼江に存在を悟られないように
存在しなければならなかった。
サンダルはロボットである。
それも、デジャ人が作った「考えるコンピュータ」を搭載した
「考えるロボット」だった。
「考えるロボット」は開発当初から
様々な優れた能力を持っていたが
その最大の特徴は、自己改造能力だった。
その「考えるロボット」が最初に開発されてから
1000年近い歳月を経た後に、サンダルは造られた。
サンダルは自分自身の改造や
変形を自在に行う能力があった。
しかし、流石に素材や精巧な部品までは
造る事はできないらしく
サンダルは母の頼江を守るロボットを造る為に
サンダル自身の質量の5分の1程の部品を放出した。
しかしサンダルの能力は
大樹が地球で活動する範囲では殆ど低下しない様だった。
もっとも大樹はサンダルの能力が低下しても
母の頼江を守る為なら構わないと思っていた。
ガードロボットは
頼江には悟られぬようにに存在しているはずだったが
頼江は最近
何かの気配を感じることがあった。
もちろん気の所為とは思っていたが
もちろん彼女は正しかった。




