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遥かなる彼方からの贈り物  作者: 名も無き人
第4章 エイリアン大樹
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(13) 緑色のハンカチーフ

ヤコブソンの質問をはぐらかしていたベス・クリーヴランドが

ようやく真面目な表情をして答えた。


「実は、エイリアンに教えて貰ったのよ。」


ヤコブソンの抗議を無視して

彼女は続けた。


「それに、こんなブラックホールのお話なんか


どうでも良いのよ。


問題は、その超新星爆発と言うやつよ。」


ヤコブソンは、頭を複雑に回転させる表情をした。


ベスが言ったエイリアンの方は全く無視できたが

超新星爆発と言う言葉に非常に強い興味を覚えたのだった。


「爆発で生まれた隕石、いや正確には隕鉄と言っていたわ。

それが来年9月12日に

オーストラリアの北500kmの場所に落下するらしいの。


信じられる?」


今度はヤコブソンの顔が驚きの表情に変わっていった。


ベスがいきなりこの話をしたのであれば

或いは違った反応があったのかも知れない。


しかし、彼は天文学者達に散々追及された後だった。

専門の人間は、やはり専門の人間であり

特に天文学者達の分野に

通常の人間が入り込む事は不可能である。


その専門家が愕然とする情報を大統領が何気なく入手し

それを確かめさせたのである。


ヤコブソンは

ベス・クリーヴランドと

20年以上の間仕事をしてきた仲だった。


彼女のこの優しい雰囲気は

彼女が大真面目である事を示していた。


そんな事を考えているうちに

ヤコブソンは問題の核心に漸く気付いた。


「つまり、大災害が発生すると言うことですか、大統領。」


ベス・クリーヴランドは飽くまで優しげに続けた。


「そうよ。水爆千個分の爆発らしいわ。


でもねヤコブソン

問題は来年じゃないのよ。」


それからベスはダイが語った内容を

ほぼ正確にヤコブソンに伝えた。


そしてヤコブソンは

情報の出所がエイリアンと言う事以外は

実にまじめに理解しようと努力していた様だった。


「こんなSFのストーリーは

どうかしらって言いたいんだけど

天文学者に邪魔されちゃったわ。」


そこに来て、ヤコブソンは

愕然とする気持ちを感じていた。


要するにベスが語ったのは

地球終末のストーリーなのである。


そしてその基本的な確認を

天文学者達に行ったのが、ヤコブソン自身であり

その確認した内容がブラックホールの発見と言う事だった。


どう考えても

単純にSFストーリーとして

笑い過ごせる内容ではなかった。


「それでその、閣下は

そのダイとか言うエイリアンと一緒に

空を飛んだのですね。」


ヤコブソンはベスの話の中で

最もどうでも良い部分をまず確かめに入った。


「そうよ。多分信じられないとは思うけど。


でも、記念にホワイトハウスで一番高い避雷針に

私のハンカチを結んでおいたわ。


ダイは冗談の分かる人で

私がそうしたいと言ったら気軽に応じてくれたのよ。」


15分後、ヤコブソンは

呆然とした表情で双眼鏡を覗いていた。


ホワイトハウスの一番高い避雷針には

確かにハンカチらしきものが巻きついていた。


しかもそれはヤコブソンの見覚えのある

ベスが好む薄いグリーン系の柄のハンカチだった。


避雷針に丁寧に巻きつけられたハンカチは

晴れた直射日光に照らされていた。


それはこの訳の分からぬエイリアン話に対する

ヤコブソンの疑念をより強く刺激していたが


ハンカチがそこにある事だけは事実であった為

ヤコブソンはただ呆然とするしか方法がなかったのである。


これ以上は何も確認できないし

何の新しい行動を取る事もできなかった。


この件に関して米国政府は

次にエイリアンのダイが接触を求めるまで

ただ手をこまねいて待つしかないだろう。


そしてヤコブソンが知り得た事実は


ベスの言う通りにブラックホールが発見された事と


双眼鏡の画面に見える避雷針に巻きついた

あの緑のハンカチだけだった。

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