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(6) 自ら助くるもの

つまり人類は

放っておいても滅亡すると言うことだった。


それを同情心から手取り足取り滅亡から救い出しても

それは自然の姿ではないとデジャ人は考えた。


だから大樹に全てが任されたのである。


要するに

「神は自ら助くるものを助く」

の形でなければならない。


流星群の到来は

人類にとってむしろ僥倖(ぎょうこう)であると言う論理だった。


確かに大樹は「サンダル」によって大きな力を得た。


しかしサンダルは

大樹がどう行動すべきかについては

何も言わなかったのである。


たとえ大樹が訊ねても

何も答えてくれないのだった。


何の指示も情報も

その手がかりさえも与えてくれなかった。


サンダルが大樹に能動的に働きかけた事は

最初にナノロボットを使用して行った

生体手術だけだった。


大樹にその生体手術を施し、

大樹がサンダルをコントロールする事ができる様になると

サンダルは一切の能動的な活動を停止し

ただ大樹に従うだけの存在となった。


サンダルが一切能動的な活動を停止すると言う事は

例えば、大樹がこれからなまけ、遊び続けても

サンダルは何の干渉もしない

と言う事も意味していた。


つまり大樹はこの重い責任を回避し

そこから逃げ出しても何の咎めも受けず

自由にして良いのである。


生体手術を通じてサンダルが大樹に伝えた内容で

大樹はそれを知っていた。


これから、ずっと遊び続けても

誰にも何も言われないのである。


サンダルを操れる大樹は超人である。


何をしようが

たとえ警察に追われる身になろうが

逆に警察をぎゃふんと言わせる

犯罪者にもなれるのである。


大樹はスーパーマンなのだ。

その一方で

大樹には自分がやるべき事も

大体は分かっていた。


それは、この全世界に働きかけて

人類全体を導く事である。


まず人類に来年の9月に来る

未曾有の大災害を乗り越えさせて

それから

10年後の為に全人類を一つにまとめ上げ

地球を貫く大事業を成功させる事である。


それが5才の少年に課された課題なのである。

しかも、それは

大樹がいやなら辞めても良い課題であった。


しかし大樹にはどうしても逃げる事ができなかった。

まじめに取り組むしか道がない気がしたのである。


計画を実行する技術なら知っていた。


デジャの圧倒的に進んだ科学技術は

プロジェクトをいかに実行させて

成功させるかについてのノウハウも多く含んでいた。

そして、その多くを大樹は理解していたのである。


しかし、肝心の

それをどうしてやるのが最も良いかについては

ちょうど記憶をそっくり剥ぎ取られたかの様に

大樹の頭の中から欠落していたのである。


何から始めたら良いのか

何をすれば良いのか


その道筋となる知識が

一切無かったのである。


大樹は途方に暮れていた。


余りに意地悪な気がした。


それならなぜ自分を選んだのか


自分を選んで後は

全てを任せるのは

余りにも無責任ではないか。


元はと言えば

デジャ人が自分達を守る為に

地球に破砕流星群を向ける事になったのである。


だから、自分を選ぶだけでなく

最善の方法位は示してくれても良い筈である。


しかしサンダルは

その点になるとまるで赤子の様に頼りなかった。


明らかに意図的に

その部分の能力を剥ぎ取られた存在が

サンダルだったのである。


つまり大樹が一人で

全てを考えなければならないのだった。



まず皆に事実を理解させる必要がある。


テレビで言おうか。

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