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(5) 人類の運命

タイムラグが危険な理由

それは人類が馬鹿ではないからだ。


危なくなれば

人類はきちんと対処する。


本当に生命の危険を感じるような

(すさま)まじい環境破壊が始まれば

人類は

慌てて自らを正す(はず)である。


ところがもし

そこにタイムラグがあれば

努力しても効果がなく

事態は益々悪化することになる。


人類の賢さは

タイムラグを許容できない賢さなのだ。


最近顕著になり始めた異常気象は

米国や中国などの

これまで比較的危機感の薄かった

経済優先国家までも

会議の席に着かせる事になった。


しかし、そこで交わされるのは

主に各国間の利害の調整であり

相手への非難と

自らに対する猶予の確保である。


理由は簡単である。

本当に危険な状況であると

思ってはいないからだ。


激甚(げきじん)な異常気象で

人がたくさん死にでもしない限り

本当に真剣な議論は起きない。


だから

国際会議で交わされる

コミュニケーションの大部分は

腐臭がしそうな外交交渉と言う奴である。


少なくとも

地獄が訪れるかもしれない

と言う雰囲気は皆無である。


しかし現実は相当危ないのだ。


人騒がせと非難されたくない

科学者達が多い中

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は

非常に厳しい結論を導いている。


平均気温上昇が2度を超えると

壊滅的な状況がもたらされる言われる中で

4〜5度と言う数値がIPCCが導いた数値であり

しかもこの数値は充分に控えめな値なのである。


気候破壊 = 食料生産の危機

である。


つまり米国やロシアやヨーロッパ

そして中国や東南アジア

更にオーストラリアや南米と言った

全世界の大穀倉地帯が

同時に深刻な農業被害を受ける

と言った事態は

今後容易に起こりえる。


この状況は

食料の工業生産等の

人類が充分な準備を行う前に

突然に訪れる。


人類は他の多くのものは

人工的に手にしているが

食料だけは専ら

お天道様頼りである。


この結果

先進国においても

深刻な食糧不足が生じる。

餓死者が生じる状況さえあろう。


人間が確実に狂う環境。

それは飢餓である。


平常時には決して想像できない

地獄がそこに現出するのである。

飢餓の状況が訪れれば

人間は共食いも辞さない。


結果的に比較的簡単に内乱が発生する。


なぜなら食料を持つ者の大部分は

それが有り余り、処理に困りでもしない限り

決して持たない者に分け与えないからである。


混乱の中では簡単に事故が起こる。


混乱が継続すれば

その確率は級数的に大きくなって行く。


遠からず核兵器や

大量破壊兵器が行き交う時が訪れる筈である。


これはSF小説の中の夢物語りではない。


現実化する可能性が極めて高い

人類にとっての「現実」なのである。


デジャ人は文明段階に達した生物の多くは

自滅する形で滅亡すると考えていた。


これは、デジャ人が

特に人類を想定した事ではなかったが

期せずして

人類もその典型に当て()まっていた。


つまり人類は、放っておけば

ほぼ間違いなく滅亡すると考えるのが

デジャの科学が導いた結論だった。

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