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遥かなる彼方からの贈り物  作者: 名も無き人
第2章 デジャの物語
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(18) デジャ人がサンダルを放った訳

デジャを過ぎた破砕流の行く方を

デジャ人は気にした。


これには大きな理由があった。


この反重力装置を経由した破砕流星群は

この装置を経由しない他の流星群とは異なり

極度に速度を低下させた。


その速度は秒速3500kmから

一気に約秒速400kmまで減速するのである。

非常に安全性が高まる事は確かではあるが

秒速400kmと言う速度であっても

恐ろしい破壊力を持った流星群である事に変わりは無かった。


更に非常に問題なのは

破砕流星群が

反重力装置が造りだした空間を経由する事によって

集中して単一方向に向かう性質がある事だった。


超新星爆発は爆発であるから

爆発した星から外側に向かって

球状に破砕流星群が飛散する。


だから破砕流星群はどんどん広がっていく。

この結果その破砕流星群の密度は

距離の2乗に反比例して

小さくなって行くのである。

だから、爆発点から遠くなればなる程

その被害を受ける可能性は小さくなる。

更にやがて速度が落ち

他の恒星の引力圏に捉えられ

新しい惑星の材料となって行くのである。


しかし反重力装置によって

曲面空間に沿って

飛行方向を捻じ曲げられた破砕流星群は

デジャを過ぎた後

ほぼ一箇所に集まり

直線状に集中する事になるのだった。


つまり集中して1方向に向かうのである。


更に、その流星群の全てが


まるでライフルの弾の様に

高速で回転する性質が生じるのであった。


この状態にある限り

流星群は数万年以上安定して

しかも一定の方向に集中して宇宙空間を移動する。


デジャ人が問題にしたのは

自分達が破壊を逃れる為に使った反重力装置によって

その流星群の飛散する方向が全く変わってしまう事であった。


宇宙は全体が動いてる。

だから秒速3500kmで飛ぶものと

秒速400kmで飛ぶものとは

全く違う到達点に達する事になる。


つまり、デジャが自分達を守る為にコースを変えたお陰で

本来は被害を被る筈のない場所に

流星群が到達する可能性が生ずるのである。


もし、そこに生物が存在すれば

たとえそれが知的生命体であったとしても

デジャ並みに科学文明を

進化させた生命体でもない限り

その破滅は確実である。


しかし、一方その可能性が高いかと言えば

決してそうではなかった。

生命体が存在する星に激突する可能性でも

1%程度で

それが知的生命体である確率となると

0.01%以下と予想された。


この内容については

デジャ人の間で多くの論議が交わされた。

そして導かれた大部分の結論は

「仕方がない」つまり考える必要がないと言うものであった。


そもそも知的生物の大部分が

進化の過程で滅びる事は

デジャの科学者にとって常識的な事だった。


デジャはたまたま助かったのである。


しかし、議論はなかなか果てる事がなかった。


結局「デジャ自体が幸運であった」

と言う事実こそが

デジャ人達の心に最後まで残り続けた。

これはデジャ人の

「良心の呵責」と言って良いものであろう。


最終的に「最小限の対応だけを実施する」事となった。


それが「サンダル」だったのである。


それは、デジャ人と同じ様に

力を併せて頑張れば

その生物が

自らを救うチャンスを与える

と言うメッセージを込めた

最小限の道具だった。


デジャより放たれた「サンダル」は

流星群を追いかけ

そして数年のうちに追い越した。

更に数万年の飛行を続けた後に

地球を発見する事になったのである。


地球を発見すると

「サンダル」は地球に着陸し

そしてじっと待ち始めた。


「サンダル」が地球に到着したのは

今から5万年程の昔

つまり地球に文明が成立する

遥か以前であった。

しかし、「サンダル」は

地球に知的生命体が存在する事を認識し

そして地球に流星群が衝突する事を認識した。


それが「サンダル」を

地球に留まらせた理由であった。

そして、人類にその時が来る事を

知らせる機会を待った。

もし地球の知的生命体が

自らを救える程には進化せず

救える可能性がなければ

衝突の前に

そのまま地球を去るつもりで待ったのである。


もし地球が破壊されても

「サンダル」には「次の地球」を捜す役目があった。

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