(17) 破砕流を防ぐ手だて
反重力装置のメカニズムは
常人の理解を超えていたが
それを使用して破砕流を防ぐ方法は
単純明快なものだった。
まず反重力装置を打ち上げる。
それをデジャと流星群との関係において
「静止衛星」の様に配置するのである。
つまり流星群とデジャの間にあって
常に静止する盾の形に装置を布陣する。
この様な形で反重力装置を2000個程打ち上げる。
その位置は流星群がデジャに到達する3光日手前の場所だった。
その反重力装置群は相互作用により
デジャの後方までを覆う
巨大な卵型の軌道曲面を創りだすのである。
隕石にとっては空間が曲がった形となる。
この結果
隕石つまり
超新星爆発によって発生した破砕流は
この緩やかな曲面に沿って飛ぶ。
つまりデジャに達する事はなくなるのである。
しかし中には隕石同士が衝突して
この重力曲面の内部に侵入してくるものが
出る可能性もある。
もしその事態が生じても
これも直ちに巨大な量子砲で破壊する。
更にデジャ星自体にも
巨大な反重力の傘を設け
それを弾くのである。
この二重防御の体制は
理論的に毎秒3500kmの速度で襲う流星群を
防ぐ事が十分可能なものであり
デジャに流星が一つでも降り注ぐ確率は
10万分の1以下と算出されていた。
終末を回避できる大きな可能性が示されるに至って
デジャ人は更に集中力を増していった。
直ぐに実験が始まった。
そして付随的な様々なイノベーションが起こった。
このイノベーションの一環に
宇宙船に反重力を使用すると
流星群をはるかにしのぐ速度で
飛ぶ事ができる事が含まれていた。
皮肉な事に
これによってまた移住論議が復活した。
要するに流星群より速い速度で
逃げれば良いのである。
しかし、逃げると言う当ての無い方法は
デジャ人の大勢の心を捉える事はなく
全てが失敗に終わった場合の策として
小規模なプロジェクトが進行する形となった。
実際に破砕流星群がデジャに到達する頃には
デジャ人達は自分達が助かる事にほぼ確信を持っており
そしてその確信は正しく
デジャ星が終末の時を迎える事はなかった。
そして大部分の流星群が過ぎ去り
デジャ星の安全が確認されるに至って
今度はデジャを通り過ぎた流星群が
他の星に衝突する可能性が論議される様になった。




