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遥かなる彼方からの贈り物  作者: 名も無き人
第2章 デジャの物語
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21/91

(16) 800年後の大災害

隕石が大量に押し寄せるのであれば

逃げれば良い、と考えるのは自然である。


しかし居住可能な惑星が発見されていないばかりか

隣の太陽系まで行くのに

少なくとも数千年の恒星間旅行が必要だった。


もし隣の恒星まで辿りつく事に成功したとしても

そこに居住可能な惑星がない可能性が高いばかりか

もしあったとしても

そこがジルの超新星爆発の隕石群から

安全な場所である保証が

まったくなかったのである。


そもそもデジャの人口の

何パーセントかでも収容できる大型の船団を

飛来物質の速さである秒速3500KM以上のスピードで

移動させる事そのものが当時のデジャでは無理だった。


この議論の影響か

デジャ星の巷では

諸々のSFを題材とした

映画が長期のヒットを重ねていた。

映画と言っても映画館で見るものではなく

脳で直接映像を見る事ができる作品だった。

バーチャルリアリティも極度に進化し

多くの映画監督は、わずかな予算のもとに

コンピュータ上で作品を次々と発表していった。


いずれにしても、SFでは

宇宙船はいとも簡単に光速で移動できる。

しかし、現実には光速で移動する事は

理論的に不可能である事が

地球と同様にデジャでも科学的に証明されていたのである。

皮肉な事に、デジャの科学技術が進歩すればする程

他の星へ移住する事によって

この災害を回避すると言う事の難しさが

益々明確になっていった。


デジャの復興が進み

超新星爆発による災害による

最も苦しい時が過ぎるにつれて

復興そのものよりも

800年後の終末が

クローズアップされる事が増えていった。


そしてそれは多くのデジャ人達の精神を蝕んだ。

やがて300年が経過し

「500年後の終末」と言う言葉が使われる様になった頃には

多くのデジャ人達は

「デジャ星に留まるしか方法がない」

と考える様になっていた。

要するに逃げ出す事は不可能であり

秒速3500Kmで襲う膨大な流星群を

防ぐ方法を創り出すしかないと考え始めたのである。


その為には科学技術の進歩が

更に全てに最優先され

コンピュータと科学者を中心とした世界体制が

益々強固になっていった。

そして非常に速い速度で

イノベーションが繰り返され

いろいろな方法が創造され

検討され、そしてその幾つかは試された。


しかしそのどれもが

秒速3500kmと言う速度と

合計すればデジャ星自体の質量の数倍に匹敵する

何百万個と言う流星群を

防ぐ手立てとはとてもなり得なかった。


更に200年が過ぎ

「300年後の終末」

と言う言葉が使われた頃

漸く大きな可能性を秘めたイノベーションが成立する事になる。


それは重力制御技術であった。


人工的に反重力を生じさせる方法が見つかったのである。


21世紀の地球の科学者が

漸く端緒についたばかりの

素粒子に関する理論の解明がほぼ完全に終わり

3次元空間と他の次元空間との関係の

合理的な理論構築が成立した結果のイノベーションだった。


このイノベーションは

そのまま素材開発のイノベーションに繋がっていった。

特に分子が完全に機能的な整列をした

「究極の鉄」を生んだ事が大きかった。

この両方の組み合わせは

巨大な重力の盾を成立させる事を

理論的に可能にしたのである。

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