(12) 奇跡の放射光
敵が全面的な核攻撃に踏み切った事は
直ぐにもう片方の大統領にも伝わった。
最初に刺客を放った大統領から
3代目の大統領だった。
それにしても余りに突然であり
なぜ唐突に敵が核攻撃に踏み切ったか
その理由は分からなかった。
最初に放った刺客ロボットが
味方のロボット戦士を組織化して攻撃した事などは
想像の外だった。
いずれにしても対応方法は
ただ一つだった。報復である。
最初の核ミサイルが
後20分程で自国に到達し爆発する。
迎撃システムで破壊できるものは
精々全体の2割であろう。
これは最終戦争だった。
直ぐに秒読みが開始され
10分程の間に数百発の核ミサイルが一斉に発射された。
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メルデル大統領は、ただ呆然とした表情で待ち続けた。
既に核のボタンは押されてしまったのである。
デジャ星の地方官僚の長から彼は大統領になった。
予てからその実力を高く評価されてはいたが
大統領への就任は晴天の霹靂とも言える
突然のものだった。
就任してからロボット刺客が報復し合う
噂通りの状況である事を正確に認識した。
それから約2ヶ月
このハルマゲドンを避ける為に
弱腰と批判を受ける程に柔軟に
あらゆる努力を集中してきた。
にも拘わらず、余りに突然で
あっけない出来事だった。
永い永い歴史を重ねて
漸くここまできたデジャ星でありデジャ人だった。
しかしここに住む全てのデジャ人達は
これから僅かな間でほぼ確実に滅び去る運命にあるのである。
自分が居るこの地下要塞が敵の核攻撃で
直接に破壊される可能性は殆ど無かった。
しかし、これから10分程経てば
同胞の数十億人のデジャ人が
一瞬にして殺される事になるのである。
その後も潜水艦による攻撃が続く筈である。
更に、致命的な放射能汚染が
デジャ星全体を死の星に変えるのである。
本格的な核戦争が勃発した場合の
デジャの運命については
多くの議論が尽くされていた。
その殆どにデジャ人が生き残る可能性は無かった。
つまりこれは最終戦争であった。
何でこうなってしまったのであろう。
余りに愚かな運命である。
メルデルはふと自殺を考えた。
そしてハンドガンの場所を思い出した時
、突然にそれは訪れた。
突然にゴーと言う音がして
全てのスクリーンがホワイトアウトした。
「どうした。敵のミサイルが命中したのか。」
メルデルの質問に対して
若い佐官が答えた。
「違います。まったく違う方向からの攻撃の様です。
大型の量子砲の様なものと思われます。」
暫く混乱が続く中
突然、大統領室に下士官が飛び込んできた。
何か緊急の知らせの様であった。
「何だと。」
先ほど大統領に返答した佐官が
その下士官をどなった。
メルデルがそれに目を止め問質した。
「どうしたのだ。何か悪い知らせか。
もっとも、これ以上に悪い状況はないとは思うが。」
その佐官が緊張した面持ちで答えた。
「超新星爆発が起こった様です。」
「なんだと!!」
今度はメルデルが叫んだ。
「ジル星です。
ご存知の通りデジャから
10光年の距離にある恒星で
学者達が超新星爆発を予想していた星です。
それにしてもこんなタイミングで起こるとは・・・」
佐官は言葉を詰まらせた。
その時ブーンと言う音ともに
スクリーンが復帰した。
この地下要塞は
核爆発による強力な電磁波被害に
耐えられる設計になっている。
そして今度はスクリーンを管理する
オペレータの下士官が叫んだ。
「ミサイルが破壊されています。
全部です。
敵のミサイルも破壊され
無力化しています。
残らず全部だ。
ああ、核戦争が回避されたぞ。」
「な、なにっ」
メルデルは、顔を上げてスクリーンを凝視した。




