(6) サイボーグ兵士
MMIの登場で
サイボーグ兵士が生まれた。
脳以外は、殆どが機械になった兵士は
まるでコンピュータゲームの登場人物の様に
戦場のあらゆるデータを把握し
全ての兵器をコントロールしながら
戦いを優位に導く能力を持つ事となった。
しかし、生物とコンピュータを
完全に繋ぐ技術を極める事は簡単ではなかった。
やがて軍事分野での進化の結果現れたサイボーグ兵士についても
その力は
コンピュータと人間の能力のコラボレーションではなく
脳である兵士の能力
によって決定的に左右される事が判明し始めた。
生物とコンピュータの記憶機能を
完全にインターフェイスする技術に
問題が残ったからである。
つまり考えるのは人間の脳であった。
この課題を解決しようとした結果
機械の記憶を、人の記憶と同じ様に活用する技術が
最終的な課題として残った。
当初この技術は難しい課題とは考えられていなかったが
実際はこの技術の開発に
それから20年以上の時間を要する事になる。
その記憶装置のインターフェイスが完成する頃になって
これまで課題になってきた
周辺の多くのイノベーションが同時に進み
装置の小型化、高性能化が起こった。
そして、その技術の成功を決定付けたのが
ナノロボット技術の進化である。
微細なロボットが生物に入り込み
ネットワークを作り上げる技術が完成する事によって
コンピューターの記憶装置と
脳の記憶機能とがリンクする様になったのである。
つまり「究極のMMI」が完成した。
この装置が完成し
その利用が始まった時起こった
それまでとの大きな違いは
コミュニケーションだった。
活用の最初から
このインターフェイスの最も優れた点である
「コミュニケーション」の側面が大いに利用された事である。
複数のデジャ人がコンピュータを介して繋がり
脳同士でコミュニケーションを始めたのである。
そして驚くべき事に、まっさきに起きた現象は
デジャ人自体の変化ではなく、コンピュータ側の変化だった。
コンピュータが
デジャ人の脳の構造を模倣し始めたのである。
脳のシナプスの成長をバーチャルで模倣し
その機能をコンピュータが完全に習得する事になったのである。
結局この「究極のMMI」が導いた最大の功績は
次世代のコンピュータを完成させた事であった。
地球の技術レベルから80年程経過した段階で
有力な幾つかの国家と企業において
その技術は同時並行的に実現する事になる。
実際それはレイ・カーツワイルの考えた
未来のコンピュータに近いものだった。
それは「自ら考えるコンピュータ」の登場である。




