秘密のランタン工房
ガラスの森を抜けたプーの前に、ふわりと温かな煙が立ち上る小さな小屋が現れました。
そこは、夜な夜なオバケたちがハロウィンのランタンを手作りしているという秘密の工房でした。
小屋の窓からは、オレンジ色の柔らかな灯りがこぼれ出ており、パチパチと薪が燃える心地よい音が静かな森に響いています。
「わあ、こんなところに建物があったんだ」
プーがトントンと木の扉を控えめにノックすると、中から小さくて可愛らしい声が聞こえてきました。
「おや、こんな時間に珍しいお客さんだね。どうぞお入りよ」
扉がゆっくりと開き、中から出てきたのは、帽子いっぱいに絵の具をつけた古株のオバケのおじいさんでした。
おじいさんはプーの頭の上に乗ったカボチャの精霊と、手元のランタンを見ると、ふわりと温かい笑顔を浮かべました。
「ほう、君は『カボチャのぼうし』を連れているね。それはとても珍しいことだよ」
おじいさんにそう言われて、プーは少し照れくさそうに頭をなでました。
頭の上のカボチャの精霊は、得意げにクルリと体を一回転させてみせます。
工房の中には、まだ顔の彫られていないたくさんの丸ごとのカボチャや、さまざまな色の光を放つガラスの瓶が所狭しと並んでいました。
「ちょうどよかった。よかったら、君のランタンのオイルを新しくしてあげよう」
おじいさんはそう言うと、香ばしい木の実と甘いハーブが混ざった特別な液体を、プーのランタンにそっと注いでくれました。
すると、ランタンのオレンジ色の炎は先ほどよりも一段と輝きを増し、まわりをほんのりと甘い香りで包み込みました。
「これで、どんなに暗い夜道でも迷わずに進めるはずさ」
プーはおじいさんに深くお辞儀をし、心からの感謝を伝えました。
「どうもありがとう。これで暗い道も迷わないよ」
工房の温もりと優しいおじいさんの言葉に背中を押され、プーの小さな翼は自信に満ちてピクリと大きく動きました。
新しくなったランタンをしっかりと持ち、頭の上のカボチャの精霊とともに、プーはハロウィンパーティーの会場へ向けてふたたび夜の森へと飛び出していくのでした。




