ガラスの森の音楽
星屑のオアシスをあとにして、プーがさらに夜の森を進んでいくと、周囲の木々の様子が少しずつ変わってきました。
そこは、枝や葉のすべてが透き通ったガラスでできた、美しくも静まり返ったガラスの森でした。
風が吹くたびに、ガラスの葉と葉が触れ合って、まるで本物のオルゴールのように澄んだ高い音色を響かせています。
「なんだか、とてもきれいだけど、ちょっとだけ壊してしまいそうで怖いな」
プーは自分の真っ白なシーツの裾をキュッとつまみ、足音をできるだけ立てないようにそっと歩幅を小さくしました。
頭の上にちょこんと乗っているカボチャの精霊は、きょろきょろと辺りを見回しながら、楽しげにピクピクと動いています。
「大丈夫さ、オバケくんならね。ガラスだって君の優しい足音なら怒ったりしないよ」
カボチャの精霊がそう言って励ましてくれた瞬間、プーが手にしたオレンジ色のランタンの光がガラスの枝に反射しました。
すると、森全体が赤や黄色、そして青の美しい幾千もの光の粒に包まれ、まるで夜空の星たちが地上に降りてきて眠っているかのような幻想的な景色が広がります。
「うわぁ……きれい……」
プーがその光の中を一歩一歩進むたびに、ガラスの木々がまるで歓迎のメロディを奏でるように、コロコロと可愛い音を重ね合わせました。
森の奥へ進むほどに、ガラスの音色はだんだんと大きくなり、ひとつの綺麗な音楽のようになっていきます。
「あそこの真ん中に、大きなツリーがあるよ」
プーが指差した先には、森の中でいちばん大きなガラスの木がそびえ立っていました。
その幹の隙間には、おなじみの丸いジャック・オー・ランタンたちがたくさん飾られており、仲間のオバケたちが残していったらしい小さな足跡も見つけることができました。
「みんな、このガラスの森を通っていったんだね」
プーの胸の中に、さっきまでの心細さはもうすっかりなくなり、代わりに温かいワクワクとした期待感が広がっていきます。
ガラスのオルゴールのような音色に背中を押されながら、プーは頭の上のカボチャの精霊と一緒に、次の道のりへと軽やかに歩みを進めるのでした。




