星屑のオアシス
落ち葉の迷宮を抜けたプーの目の前に、ふわりと甘い香りの漂う小さな水たまりが現れました。
そこは、夜空の星屑がそのまま溶け込んだかのように、水面が青く透き通ってキラキラと輝いている不思議なオアシスでした。
水面の上には、色とりどりの落ち葉が小舟のようにプカプカと浮かび、どこからか心地よい水の音が聞こえてきます。
「わあ、きれいな場所だなあ」
プーが感嘆の声を漏らしながら水際の石に腰を下ろすと、手元のランタンのオレンジ色の炎が、水面にうつる青い光と混ざり合って、ふんわりと優しい紫色に変化しました。
頭の上のカボチャの精霊も、心地よさそうに小さく伸びをしながら、水面に映る月を眺めています。
「ここは星屑のオアシスといってね、疲れた旅人の心をそっと癒やしてくれる場所なんだよ」
カボチャの精霊がそう教えてくれると同時に、水面から小さな光の泡がぽこぽこと湧き上がってきました。
その泡はプーの周りを優しく包み込み、落ち葉の迷宮を歩いて少しだけこわばっていた小さな体を、芯からぽかぽかと温めてくれます。
プーはランタンをそっと傍らに置き、両手を水面に浸してみました。
ひんやりとしているのにどこか温かい不思議な水に触れると、心の中にたまっていた小さな心配事や迷いが、すうっと霧のように消えていくのがわかりました。
オアシスの周りでは、夜の蝶たちが青い光をまとって優雅に舞い踊っています。
「ねえ、ぼく、少しだけ歌を歌ってみてもいいかな」
プーが少し恥ずかしそうに言うと、カボチャの精霊は嬉しそうに頷きました。
「もちろんさ。君のその優しい声は、きっと星屑たちも喜ぶよ」
プーが小さくハミングを始めると、その声に合わせて水面の星屑たちがピカピカとリズミカルにまたたき始めました。
オレンジ色のランタンと、頭の上のカボチャと、水面の青い光が一つになって、オアシス全体が温かな音楽に包まれたような空間に変わります。
十分な休息と新しい勇気をもらったプーは、水面に映る自分の笑顔を確認すると、再びランタンをしっかりと持ち上げました。
次の目的地へと向かうプーの足取りは、先ほどよりもずっと軽く、自信に満ちあふれていたのでした。




