番外編 カボチャの精霊の小さなお散歩
ある静かな夜、オバケのプーがぐっすりと眠っているころ、頭の上にちょこんと乗っているカボチャの精霊は、そっと目を開けました。
いつもはプーと一緒に夜道を歩いていますが、今夜はたまの気まぐれで、プーが起きないようにそっと抜け出して小さなお散歩をしてみることにしたのです。
フワフワと宙に浮きながら、カボチャの精霊はプーのベッドの周りを離れ、カボチャの家の外へと飛び出しました。
夜風はひんやりとしていて心地よく、秋の森の木々はみんな静かに眠っています。
「いつもはプーの頭の上から見てる景色だけど、こうして一人で歩くのも悪くないね」
カボチャの精霊が小さな独り言をつぶやくと、自分の体からふわりと優しい黄金色の光が広がりました。
その光に誘われて、近くの草むらから小さな夜の虫たちが顔を出し、パチパチと挨拶をするように羽を鳴らします。
お散歩の途中で、カボチャの精霊はあのハロウィンの夜に訪れた秘密のランタン工房の前を通りかかりました。
工房の窓は閉まっていましたが、中からはまだ消えていない暖炉の残り火が、ほんのりと温かな光を漏らしています。
「みんな、いい夢を見ているといいな」
カボチャの精霊がそう言いながら窓辺に小さな光の粒をそっと置いていくと、窓ガラスの向こうで古株のオバケのおじいさんが寝言を言いながらふっと微笑みました。
しばらく森の中を気ままに巡って、たくさんの優しい気配に触れたあと、カボチャの精霊はそろそろ戻ることにしました。
プーのお部屋に戻ると、プーはまだ真っ白なシーツをふんわりと膨らませて、幸せそうにスヤスヤと眠っています。
「ただいま、オバケくん。いい夢を見ているかい?」
カボチャの精霊はふわりとプーの頭の上に戻り、もとの特等席にちょこんと座りました。
自分の頭の上に戻ってきた温かな相棒の気配を感じたのか、眠っているプーの口元がふっと嬉しそうにゆるみました。
永遠の秋の夜の静けさの中、カボチャの精霊はプーの寝息に合わせて優しくまたたきながら、再び穏やかな眠りへと落ちていくのでした。




