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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第二部 王都進出

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魔獣討伐依頼①

商人たちから要望のあった、魔獣討伐の依頼も受けてみようと思う。


護衛依頼と違って、俺だけで現地に向かっていいらしい。



アクチュア王国の国土では、大森林と違って魔獣が頻繁に出現するわけじゃないものの、結構な数の魔獣が棲んでいるらしい。


大森林の魔獣と違って、次のような傾向があるようだ。

・大型はほとんど例がなく、中型も稀、ほとんど小型魔獣のサイズ

・人間を狙うが、そこまで執着しない

・通常の獣と同程度の知性が見られる

・縄張りを定めると自分からはそこから移動しない


ほとんど通常の獣と変わらないように思える。


そんな生態で大森林のように出産サイクルが短ければ、魔獣で溢れてしまいそうな気がするが、大森林の魔獣は十分に食事をとらなければ出産できなかったから、そのあたりで調整が取れているのかな?



縄張りを定めるとそこから動かない傾向があるので、その縄張り以外では魔獣は危険視されていないようだ。

縄張りの情報さえ把握していれば、突然遭遇することはまずないらしい。


グローフィル子爵ら王都の使節が少人数で移動できていたのも、その大森林以外の魔獣の習性ゆえらしい。


魔獣の縄張りを避けて動いていれば、盗賊は通常は王家と事を構えることを避けて襲わないし、旅路は問題ないんだろう。


それだけに俺が王都に来た時の『暗闇の牙』の襲撃には驚いたんだろうが。



俺が依頼を受けたのは、南東、正確には東南東の方向にある、コミル村。

そのコミル村の近くに魔獣の縄張りがあるらしい。


その縄張りが、コミル村への道に被さるような位置になっていて、道を通る者が時折襲われているようだ。


20年ほど前にも同じ場所で魔獣が出没し、退治したらしいが、1年ほど前からまた魔獣が出没するようになったそうだ。


20年前は猿型の魔獣で、今いるのは狼型の魔獣と、直接の関係はなさそうだ。


20年前より更に前にも魔獣がいた記録もあるそうで、そういう魔獣が住み着きやすい場所なのかも知れないな。



コミル村の近くでは貴重な薬草や鉱物資源が採取できるそうで、商会としてはそれを安全に仕入れたいという理由で俺に魔獣討伐の依頼が来た。


その薬草や鉱物資源によって作られる商品が重要であれば、少々金をかけてでも解決したいところだろう。


余所にそれを売られたくない、強固な関係性を築きたいという意図もあるかもしれないが。



俺に依頼してきた商会の商会長の手紙を受け取り、俺は王都を出発した。


コミル村は王都から直線距離で200kmくらいの場所にあるようだ。


商会長の手紙の中身は分からないが、署名に日付が付されていたら、その日付とあまり変わらない日に着いたら疑われるだろう。


近隣地域をいろいろ見回ってから4日後に着くくらいのスケジュールでコミル村に向かうとしよう。



ジグザグ・・・と言うには振幅の幅が広すぎるかもしれないが、東に南にと大きく寄り道をしてみた。


東のローゼルスタッド侯爵領の領都にも潜り込んでみた。


さすがに王都には敵わないが、かなりの面積で、都市を囲む壁も高く頑丈に作られていた。


王都でもそこそこ貧富の差は感じられたが、ローゼルスタッド侯爵領都は更に貧富の差が大きいと感じた。


庶民層はかなりギリギリの暮らしをしているようだし、税を支払えずに強制労働をさせられている者が頻出しているらしい。

王国の法で奴隷は禁止されているが、ほとんど奴隷のような扱いだな。


富裕層や、傘下貴族の屋敷は王都の内壁内の建物よりも豪奢に造られていた。


着ている服も過剰に飾り立てられているように見えた。


庶民の閉塞感と、富裕層の虚栄心の対比がすごかったな。



以前、カンゲルヴァイン侯爵領都にも行ったが、庶民にも活気があったし、富裕層の身なりは良かったが、周りにそれを顕示しようという雰囲気は感じられなかった。


王都への距離はそれほどかわらないが、治める貴族家によって、ここまで違いが出るものなんだな。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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