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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第二部 王都進出

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魔獣討伐依頼②

エルン村から王都への道行きで通らなかった町や村にも寄ってみた。


大きな道に接していない村なんかは宿場町としての機能もなく、近隣の村や町との交流があるくらいで、ほぼ自給自足ののんびりしたところだった。


その村の近くの町も、いかにも地方都市という感じの田舎感があり、周囲の村と比べると人口が多いことと、店などが多いくらいの、これまたのんびりしたところだった。


村でも町でも、王都から来たと言うと話を聞きたがる者も多かった。


何かのために情報を仕入れたいとかではなく、日々の娯楽が足りないから珍しい話を聞きたい、刺激を得たい、というところか。


王都の人の多さとか、ちょっとしたやり取りを話すだけでも盛り上がって、郷土料理などを食べさせてくれたりした。


話に聞く、流しの吟遊詩人にでもなった気分だったな。

こういうところで歌でも歌ってやればそこそこ稼げそうな気もする。


情報を収集し、情報を流すのに、吟遊詩人を採用するのもアリかもしれない。



そうこうして、コミル村に近づいた辺りで、道から500mほど山手の方に魔獣の気配を感じた。


小型の魔獣が8頭というところか。


大きさにバラツキがあるのが少し気になるな。



こちらは気配を消して動いているので、魔獣に勘付かれた様子はない。


魔獣の相手よりも、先にコミル村に行くことを優先する。



魔獣のいた辺りから10kmほど歩くと、コミル村が見えてきた。


木の板と杭で作られた高さ2mほどの壁に囲まれ、道の先に門が見える。


門の斜め後ろに高さ4mの木造りの櫓があり、見張りを置いているようだ。



門に近づくと、「誰だ!」と誰何の声が上がった。


大した荷物を持たず、剣を下げて1人で歩いてくる男。

まあ、怪しいよな。


「ノバック商会の紹介で魔獣退治に来た者だ!商会長からの紹介状もある」


紹介状を頭上に掲げて見張りの男に大声で返事をする。


見張りの男が村の奥に向けて手を振り、しばらく経つと門が少し開いた。


「ノバック商会の紹介状とやらを渡せ」


門の隙間から手が伸びてきたので、そこに紹介状を置く。


ふざけて手を引っ張ったりしたら一気に敵扱いされそうだな。



また門が閉まり、門の向こうで何人かが集まる気配がする。


少し待つと、門が開いた。


門の奥には年老いた男性が1人が立っていて、右側に中年の男性が1人、左側に20歳くらいの男性が1人、両脇の男性が門を開いてくれたようだ。


「疑ってすまんかったの」


年老いた男性、村長かそれに近い立場の者だと思われる者が声をかけてきた。


「いえ、大丈夫です。それにしても、随分と警戒されているようですが、何かあったんですか?」


丁寧に対応したのが意外だったのか、年老いた男性が少し目を見開いて動きが止まった。


そしてすぐに気を取り直して続けた。


「今年に入って2度、盗賊が来ての。

幸いと言っていいか分からんが、殺して奪う気はなく、支配下においてこの村で採取できる薬草や鉱物資源を手に入れたいようじゃった。


2度とも来た数が少なくて追い払えたが、数が多ければ危ういじゃろう。

1人で来たお主も盗賊の手先かと思うたわ」


なるほど。

1人で身軽な格好できたなら、潜入して内側から門を開けることを狙っていると思われたのか。

見張りの手の振り方でそう伝えたのかな。

・・・俺が盗賊っぽい顔をしているから怪しい、とかじゃないよな?



「それは警戒して当然でしょうね。直近で来たのはいつ頃ですか?」


「ちょうど1ヶ月前くらいじゃな」



盗賊がこの村の資源を欲しているとして、その盗賊の拠点はどこら辺にあるだろうか。


途中の道に魔獣が出没する、この村の近くに拠点を置くことは考えにくいよな。

盗賊稼業の実入りが少なそうだ。


この村とはそれなりに距離があって、何度も来訪して心理的圧迫を加えようとしているとかかな。


この村を支配下に置けたなら、拠点もここに移す可能性はあるが、やはり盗賊稼業には向かない立地だ。


・・・魔獣の問題が解決したら、盗賊が本格的に動き始めるかもしれないな。


魔獣の問題が解決しても、すぐには動かないだろう。

魔獣を退治した戦力が村にいる可能性を考えるだろうからな。



盗賊の脅威は喫緊の問題ではなさそうだ。


魔獣退治の後、常置の戦力を置いて盗賊に対抗できるように、俺からノバック商会に提案してみるか?



コミル村の村長(やはり年寄りの男性は村長だった)に俺が考えたことを話すと、「そうかもしれぬ」と消極的な同意が得られた。


常置の戦力は是非ともお願いしたい、とも頼まれた。


門を開けた中年男性と若者は、話の内容はよく分かっていなさそうだが、どことなく俺に尊敬の目を向けてきているように思える。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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